電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ディーリアス「ヴァイオリン・ソナタ、ロ長調(1892)」を聴く

2013年12月16日 06時01分41秒 | -室内楽
ここしばらく、通勤の音楽として、ディーリアスの「ヴァイオリン・ソナタ集」を聴いておりました。Susanne Stanzeleti(Vn)、Gusztav Fenyo(Pf) のデュオによるナクソス盤(8.572261)です。作曲の順序にしたがって冒頭に置かれた番号なしのロ長調の曲は、いかにも19世紀末の音楽です。セザール・フランクとかサン・サーンスといったフランス音楽のテイストも感じますし、また一方では黒人霊歌ふうの味もあります。

リーフレットの解説によれば、作曲者30歳の1892年に作曲され、翌年にピアニストの Harold Bauer の、パリのアパルトマンで初演されたけれど結局は日の目を見ず、20世紀の近年になってようやく再評価されたものだとか。

第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ
第2楽章:アンダンテ・モルト・トランクィロ
第3楽章:アレグロ・コン・モト

後のディーリアスの、番号付きのソナタと比較すると、まだストレートに情熱を発散するところがあり、それはそれで魅力的な音楽です。そういえば、私はディーリアスという作曲家のことをほとんど知りません。どんな人なのか、どんな音楽を書いているのか、こういうCDを通して、あまりなじみのない作曲家と作品を知るのは、楽しいことです。素人音楽愛好家の醍醐味というべきでしょう(^o^)/

■Stanzeleit(Vn)盤
I=8'26" II=9'35" III=8'20" total=26'21"

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宮城谷昌光『呉越春秋~湖底の城(2)』を読む

2013年12月15日 06時01分27秒 | -宮城谷昌光
講談社刊の単行本で、宮城谷昌光著『呉越春秋~湖底の城』の第二巻を読みました。今のところは、楚の高官である伍奢の次男、好漢・伍子胥の物語です。
兄の伍尚が邑主として政治を行っている棠で、伍子胥は永翁を襲撃しようとした海賊の手先を捕えます。しかし、彼らも根っからの悪人ではなさそうだし、その特殊技能を惜しんだ兄・伍尚は彼らを釈放します。単に恩義がある人の頼みを承知しただけのことだとして、恨みを残さない、情のある解決です。
棠の邑主としての伍尚の貢献はまだあります。呉王の大船団が川を遡行し楚を攻めてきた規模・陣容等をいち早く楚王に報せます。楚も大船団を組織して迎え撃ちますが、引き分けの形で呉軍は撤退します。そんな貢献も、愚かな楚王と悪臣の費無極には何の効果もなく、太子の婚姻のために向かったはずの費無極は、秦の公女を太子ではなく楚王の妃にしてしまいます。息子の嫁を横取りするとは、ヴェルディの歌劇「ドン・カルロ」以来のスキャンダルです(^o^)/
愚王と悪臣の企みはこれで終わらず、太子を辺境に追いやり、傅の伍奢も同行させただけでなく、太子に誅殺の使者を差し向けます。ところがこの使者がなかなかの武人で、あらかじめ自分の用件を太子に報せたため、太子建は国外に亡命、費無極は伍奢を人質に二人の息子も殺すことを企てます。父親を人質に取られた伍尚は、弟まで死ぬ必要はないと、自分だけが都にのぼります。良主を見送る棠邑の民の嘆きは、兄・伍尚の名誉ではあっても、弟を慰めるものとはなりません。伍子胥は、少数の配下を連れて、父と兄を奪還すべく王宮に侵入します。そしてその結末は……というのが本巻のあらすじです。

とにかく息をつかせぬおもしろさです。悪役は悪役らしく、善玉は力強く頭が切れるけれど、残念ながら権力はない。そんな想定は、冒険活劇にはお約束のものです。第三巻が楽しみです。

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『ビジネス手帳で中高生の「生活習慣力」がみるみる変わった!』を読み、考えたこと

2013年12月14日 06時02分21秒 | -ノンフィクション
以前、「手帳甲子園」の報道に高校の生徒手帳の一件を思い出したことを記事(*1)にしたことがありました。これが頭のどこかに残っていたためか、図書館で『ビジネス手帳で中高生の「生活習慣力」がみるみる変わった!』を見つけ、読んでみました。日本能率協会マネジメントセンター編の単行本で、B6判148頁のビジネス書スタイルです。
本書の構成は、次のとおり。

序章 ビジネス手帳で「学ぶ力」が育つ
第1章 遅刻や忘れ物が減るだけじゃない!
第2章 時間の大切さを実感すると行動が変わる!
第3章 目標を達成できる人になる!
第4章 失敗を活かす人が成功できる!
終章 手帳を使っている学校の先生に聞きました

内容は、まあ、目標や生活を自己管理できる力を育てることが眼目です。「手帳を使いはじめて3か月でこれだけ変わった~中高生4万人アンケート調査」の結果がコラムとして挿入されておりますが、劇的な結果というほどのことではありません。半分以上は「変わらない」と答えており、シビアに見ると「効果のあるタイプの人には効果があるが、そうでないタイプの人にはあまり効果がない」もののようです。

ただし、考えたのはまったく別のことでした。
時間を無駄にしない、勤勉な受験生としての生活習慣を身につけるのは、本当に良いことなのだろうか? 人生を豊かにすることなのだろうか?

私の場合、夕食は家族で仲良く話をしながらとりますが、たいてい夜は自室に引っこみ、PCや読書、音楽三昧の生活です。若いころは、夜も昼もなくプログラミングに没頭していた時期もありました。ちょうど佳境に入っている最中に妻に話しかけられて、「お願いだから今は話しかけないで」と言ってむくれられたこともありました。成長し嫁いだ娘に、嫁ぎ先の賑やかさと比較し、我が家の一家団らんの不足を指摘され、ドキッとしたものです。ああ、受験生の生活習慣が、何十年と続いてしまっていたのだな、と感じました。

山崎豊子著『白い巨塔』では、エネルギッシュな財前五郎と対比して里見脩二の清廉さが描かれますが、彼の生活がまさにこれで、夕食の後は書斎に引っこみ、学究的な生活スタイルを守っています。妻は学者としての夫の成功を祈りつつ、もう少し家庭生活に温かさがほしいと願い、夫婦の間には隙間風が吹いています。そこに登場するのが親友の東佐和子で、という想定でした。

おそらく、受験生としての生活習慣は、結婚し子供ができた時点で見直すべきだったのでしょう。もう遅いけれど、いささか反省(^o^;)>poripori
年を取って、良いこともたくさんありますが、後ろを振り返ることが多くなるのは、あまり気持ちの良いものではありません。若い人には、ワークライフバランスを上手にとってほしいと願うばかりです。

(*1):「手帳甲子園」の報道に高校の生徒手帳の一件を思い出す~「電網郊外散歩道」2013年2月

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ボーナスが出て喜ぶ

2013年12月13日 06時01分26秒 | 季節と行事
師走の10日に、定年退職して現在の職に変わって初の「冬のボーナス」が出ました。このご時世に、職を得て一定の給料をもらい、健康保険にも加入できることはありがたいことです。さらに「冬ボ」までとは嬉しい。
もちろん、額面は往時の半分にも届かないものですが、健康で働き続けることができているのですから、むしろ思いがけなくたくさんのお釣りをもらったような感じです。これで、この冬の暖房の灯油代の心配はなくなりますし、大蔵大臣殿にとっては生活のゆとりにもなるでしょう。当方にとっては来シーズンの山響の定期会員の費用も出せるというものです(^o^)/

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宮城谷昌光『湖底の城(1)~呉越春秋』を読む

2013年12月12日 06時05分10秒 | -宮城谷昌光
宮城谷昌光著『湖底の城~呉越春秋』第一巻を読みました。先に同氏の『草原の風』を読んだ際に、主人公が伍子胥(ごししょ)は好きだが終わりがわるい、やはり范蠡(はんれい)がよい、というような評価をしておりました。これをきっかけに、伍子胥や范蠡という人物を知り、興味を持ちました。たまたま図書館で見かけたのが、この伍子胥や范蠡を主人公とする物語とは、偶然とはいえ、なにかご縁があったのでしょう(^o^)/

楚の高官である伍氏の次男である伍子胥は、身長が2mを越す大男で、気性も明るいが、激しいものがあります。加冠の答礼のために、父とともに諸家をまわった時に、伊礼家で美しい娘を見初め、求婚します。はじめはこころよく応対してくれていたのに、急に断られてしまいます。理由も不明で、伍子胥は割りきれない思いを抱いて棠邑の兄・伍尚のもとに行くことになります。旅の途中に、伍子胥は楚の国の乱れと船戦の難しさを感じますが、楚王の太子の傅佐である費無極の横暴をとがめ、対立してしまいます。舟を使えず、徒歩で棠に向かうこととなりますが、道案内をした才松は、楚王に恨みを持っているようです。
棠邑の領主である兄の伍尚は、商人に橘50本の移植を発注すると同時に、弟の提案を受け入れて、武術大会を開催することとします。
ここで、従来からの家臣である御佐や右祐らに加え、弓の名人の陽可や矛戟の達人の徐兄弟、あるいは抜群の視力を持つ朱毛などを配下に加えます。また、斉の孫武を助け、知己となります。河のほとりに住む永翁から、桃永と屯の母子を預けられますが、どうやら何かいわくがありそうです。
そんな時に、費無極の嫌がらせで、伍尚は佞臣の訪問を受けます。先の武術大会で、無頼の者を召し抱えたのは謀反の兆しだというのです。要するに賄賂の要求なのですが、無実の証明は難しい。陽可のヒントで、都の子常という権力者を動かし、なんとか困難を切り抜けます。
しかし、呉王の服喪が明ければ戦となることは明白です。さて、どうなるか?

当面は、まだ伍子胥の物語で、范蠡は影も形も出てきません。『孟嘗君』でも、最初は風供の物語であったのと似ています。伍子胥から描き始めることで、物語の広がりが出てくるという作者の意図なのでしょう。現在はまだ雑誌連載中だそうで、大長編になりそうな予感がします。

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ジャレド・ダイアモンドの新著『昨日までの世界』(上下)を購入する

2013年12月11日 06時01分37秒 | -ノンフィクション
老母から頼まれていた日記帳を買いに、某書店に立ち寄り、ついでに人文書籍コーナーにまわったら、ジャレド・ダイアモンドの新刊を見つけました。『昨日までの世界』(上下)です。著者の既刊書は、『銃・病原菌・鉄』(上下)、『文明崩壊』(上下)も興味深く読んでいますので、今度の本もどんな内容か、楽しみです。時間はかかるでしょうが、じっくりと読んでみたいと思います。



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藤本ひとみ『維新銃姫伝』を読む

2013年12月10日 06時03分04秒 | 読書
今年は、NHK-TVの大河ドラマ『八重の桜』をおもしろく観ています。戊辰戦争における会津攻防戦を前半のクライマックスとして、後半は明治の京都を舞台として、新島襄と再婚し同志社英学校の運営に苦心する話が中心でした。
これをきっかけに読んだ『幕末銃姫伝』に続き、「会津の桜・京都の紅葉」の副題を持つ、藤本ひとみ著『維新銃姫伝』を読みました。前著に続く物語は、大河ドラマとの相乗作用で、なかなか興味深く、おもしろいものです。
本書の構成は、

第1章 会津開城
第2章 求婚
第3章 斗南の苦闘
第4章 それぞれの決断
第5章 再会
第6章 銃姫と武士

というものですが、本書ではテレビの大河ドラマとは想定が異なっている点がいくつかあるようです。
例えば本書では、山本八重と山川大蔵との相思とすれ違いをドラマのポイントとしていますし、兄・山本覚馬の支えとなった時栄さんは、ずいぶん狡猾な女性のように描かれています。また、西南戦争での西郷隆盛の描き方なども、番組とはだいぶ違っています。どちらがどうだと言うよりも、映像として求められるものと想像力の世界との違いなのでしょう。
この点、最も典型的な例が、大久保利通の描き方かもしれません。捕えられ、裁判にかけられる江藤新平を見たその日、山川大蔵が聞いたのは、大久保が腰巾着の岩村に言った言葉:

「おい、岩村、江藤のあのくやしそうな顔を見たか。笑止千万。わが生涯にこれほど愉快なことはない」
「今夜は祝杯だ」

という具合です。それが番組では、西南戦争終結後に大久保が西郷の戦死を嘆く場面を作っていました。このあたり、万人向けに配慮しなければならない大河ドラマと、「嫌なヤツ」大久保利通という作者個人の考えを強く打ち出せる小説との違いでしょう。

いずれにしろ、会津の側から維新を描けば、御宸翰の存在や勅許の偽造など、皇國史観あるいは薩長史観とはまるで違うものになってしまいます。この大筋では、本書も大河ドラマも共通のものになっているようで、このあたりがおそらく歴史の実状に近いのでは、と思われます。

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山響第233回定期演奏会でドヴォルザーク、マルティヌー、ショスタコーヴィチを聴く

2013年12月09日 06時04分19秒 | -オーケストラ
師走の日曜日、山形市のテルサホールで、山響こと山形交響楽団(*1)の第233回定期演奏会を聴きました。本日の曲目は、

(1) ドヴォルザーク:交響的変奏曲 作品78
(2) マルティヌー:チェロ協奏曲 第1番(1995年改訂版) 
(3) ショスタコーヴィチ:交響曲 第9番 変ホ長調 作品70
   チェロ独奏:遠藤真理
   ミハウ・ドヴォジンスキ指揮山形交響楽団

というものです。

第1曲、ドヴォルザークの「交響的変奏曲」。楽器配置は、ステージ左から、第1ヴァイオリン(10)、第2ヴァイオリン(8)、チェロ(6)、ヴィオラ(7)、コントラバス(4)、フルート(2)、オーボエ(2)、クラリネット(2)、ホルン(4)、トランペット(2)、トロンボーン(3:うちバストロンボーン1)、ティンパニ、コンサートマスターは犬伏亜里さん。ドヴォジンスキさんは、燕尾服ではなくて、黒い柔らかそうな上着です。若いドヴォルザークが作曲した主題と25の変奏、フィナーレを含めれば全部で27曲が奏されます。演奏される機会は少ない曲だそうですが、けっこういい曲(*2)で、多彩な音色です。

第2曲、マルティヌーの「チェロ協奏曲第1番」。チェロの遠藤真理さんは、朱色と白のドレスで登場です。朱色に金色の模様が入って両サイドが開き白い裾がのぞく、まるで巫女さんみたいな衣装ですが、胸に金色のリボンがあるので、やっぱり巫女さんではないですね~
(^o^)/
楽器配置は基本的に同じで、左後方に打楽器(3)が加わります。
第1楽章:アレグロ・モデラート。徐々に力と熱を加えて大きくクレッシェンドしていくマルティヌーの音楽。遠藤さんのカデンツァも、気迫がこもります。第2楽章:アンダンテ・モデラート。冒頭のクラリネットとファゴットの響きに独奏チェロが加わり、充実した緩徐楽章となっていきます。チェロ独奏とヴィオラのかけあいのところは、どうやら倉田さんみたいでした。第3楽章:アレグロ。速いテンポで、生き生きとした音楽になります。あまり大きくないホールのせいで、遠藤さんの息遣いも間近に感じられ、すごい気迫です。良かった~。

ここで休憩です。



後半は、ショスタコーヴィチの交響曲第9番。以前、藤岡幸夫さんの指揮で同曲を聴いたことがあります(*3)が、あれはいつだったろう?
第1楽章:アレグロ。本日はピツィカートが多い(^o^)なあと余計なことを考えながら、トロンボーンの「バブ~ン」とピッコロの軽快な対比に「うふふ」です。第2楽章:モデラート~アダージョ。川上さんのクラリネット・ソロと、チェロとコントラバスのピツィカートのところが素晴らしい。クラリネットは低音で郷津さんと二重奏になり、さらにファゴット、フルートとオーボエも加わっての木管アンサンブルがまたまた素晴らしい。不安気な弦楽合奏にオーボエが入るところも、フルートの哀しく不安な気分も、最後のピッコロのロングトーンも、実に素晴らしい!第3楽章:プレストから第4楽章:ラルゴへはアタッカで、そして終楽章のラルゲットへ。威嚇的なトロンボーンとチューバのファンファーレの後に、高橋あけみさんの息の長い素晴らしいファゴットソロを、再び聴くことができました。これはこの曲の白眉と書いた記憶があり、再び実演で聴くことができて、嬉しくなりました(^o^)/

終演後、ファン交流会に参加、指揮者のドヴォジンスキさんとソリストの遠藤さんのインタビューを聞きました。首席客演指揮者となったドヴォジンスキさんの英語はわかりやすいことに驚きました。山響との関係が、今後も良好に長く続いてほしい指揮者の一人です。




ドレスでなく、私服に着替えた遠藤真理さんは、舞台上の大きな印象でなく、お目々クリクリの、たいへんキュートな女性でした。東日本大震災以後の三年間について、マルティヌーの難曲を演奏するために必要な時間だったと語ります。何よりも音楽のことを考えているようです。残念ながらマルティヌーの録音はありませんでしたが、「サリー・ガーデン」という愛奏曲のCDを購入し、サインしてもらいましたので、良い記念になりました。



(*1):山形交響楽団オフィシャル・WEBサイトより当日の案内
(*2):ドヴォルザーク「交響的変奏曲」を聴く~「電網郊外散歩道」2011年1月
(*3):第185回山形交響楽団定期演奏会を聴く~ショスタコーヴィチ第9他~2007年12月

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古いノートPCを点検しVineLinux4.2を導入する

2013年12月08日 06時00分47秒 | コンピュータ
2002年春に購入して以来、妻が長く愛用したノートパソコンが、電源を入れると何やらピーと音がしてうるさくて仕方がないということで、新しいノートPCに更新しております。で、不調のノートPCを、少し時間ができたので、じっくり点検してみました。どうやら音がしていたのはフロッピーディスクドライブのようで、WindowsXP を起動するとピーピー音がして、たしかにうるさい。

この機種は、富士通の FMV-BIBLO NB8/900L という2001年冬モデルで、CPU が PentiumIII(900MHz)、メモリが 256MB で標準で最大というスペックですので、SP3 のせいでハードディスクにスワップしまくるという状況だったようです。それでも、HDD 30GB, CD-RW/DVD-ROM ドライブを装備し、高輝度低反射型の液晶は、当時のものとしてはなかなかきれいです。10年超の製品でいまだに動くというのは当時の国産製品の品質を物語り、四年も経たないうちに壊れた某社に見せてやりたいほどです(^o^)/
今となっては拡張性も低く、ずいぶん低スペックのものですが、ネットで調べてみると、2001年12月の時点で、RedHatLinux7.1 や TurboLinux7 Workstation で動作確認が行われ、内蔵モデム以外は動作が確認されています。それなら、以前、単身赴任時に使った VineLinux4.2 くらいなら充分に動くのではないかと考えました。ハードディスク上に残る各種個人情報を異なるファイルシステムで上書き消去するという意味でも、恒例のLinuxインストールです。数年前に焼いて保存していた CD-R を見つけ、起動ドライブを CD-ROM に変更してまずは新規にフルインストール。



この作業は全くひっかかることなくすんなり成功。おや、フロッピーディスクドライブのピーピー音がピタリと止まりました。これで味をしめて Synaptic パッケージマネージャーで関連ファイルを更新した上に OpenOffice.org もダウンロード。バージョンは 2.0と低いものですが、とりあえず無いよりはマシでしょう。



というわけで、DELL の Inspiron Mini 10v が昇天して以来、持ち運び可能な Linux ノートが無くなっていましたが、なんとか対応が可能になりました。あとどれくらい持つものか、ハードウェアの寿命は不安ですが、しばらくはこれでしのぎましょう。



午後からは、山形テルサホールにて、山響第233回定期演奏会の予定。楽しみです。

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山響第233回定期ドヴォルザーク、マルティヌー、ショスタコーヴィチは明日のマチネで

2013年12月07日 06時03分08秒 | クラシック音楽
山響こと山形交響楽団の第233回定期演奏会は、本日土曜日の夜と明日の午後の2回開催されます。今回は、昨日の庄内公演に続き、ミハウ・ドヴォジンスキさんの首席客演指揮者就任記念として、「反骨者の証言」と題する演奏会となります。曲目は、

(1) ドヴォルザーク 交響的変奏曲 作品78
(2) マルティヌー チェロ協奏曲第1番(1955年改訂版) Vc:遠藤真理
(3) ショスタコーヴィチ 交響曲第9番 変ホ長調 作品70
   指揮:ミハウ・ドヴォジンスキ、山形交響楽団

となっていますが、このうちマルティヌーのチェロ協奏曲は、2011年3月12日の「幻の定期」で演奏する予定となっていたものです。ソリストは、同じ遠藤真理さん。先ごろ出産し、赤ちゃんを育てながら演奏活動を再開した遠藤さんは、たまたま命のつながりを断ち切られてしまった多くの人々のことを、何らかの形で思わずにはいられなかったのでは。同じ曲目を隣県の山形で演奏するとき、どんな音楽になるのでしょうか。マルティヌーの望郷の音楽が、テルサホールにどのように響くのか、期待したいと思います。

当方、土曜日は半日勤務と野暮用のため、日曜のマチネに行く予定。楽しみです。

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高橋昭男『仕事文をみがく』を読む

2013年12月06日 06時02分09秒 | -ノンフィクション
岩波新書で、高橋昭男著『仕事文をみがく』を読みました。前著『仕事文の書き方』(*1)で、テクニカル・ライティングの流儀をもっと拡大し、一般の仕事文の書き方としてまとめたのを受けて、本書では文章の構成や論理性、簡潔さと言葉の平明さ等の点から、説得力のある文章づくりを演習します。

本書の構成は、次のとおり。

1. 書く技術は思考力を育てる
2. 帰納法を活用する作文技術
3. 演繹法を活用する作文技術
4. 帰納・演繹の応用と「考える力」
5. 平明・率直が説得力をもつ
6. 論文の論理構造

この中で、実例として取り上げられているのは、「天声人語」であり夏目漱石の「三四郎」や「こころ」であり、いずれも練達の文章であるわけですが、これを仕事文という観点で見た場合の優秀さ、というところがおもしろい。

一方で、「5. 平明・率直が説得力をもつ」の章で紹介されているスワン・ベーカリーの話が興味深いものです。養護学校の先生だった小島靖子さんが、「ふつうのこどもよりもゆっくり時間をかけて成長」している知的障碍のある若者たちの、それぞれの得意なところを生かす形でベーカリーを運営し収益をあげ、もうすぐ黒字化という段階に至っている話。彼らが働いて得る収入が1ヶ月に7万から10万だといいます。ふつう、福祉作業所等で得られる報酬がいくらぐらいなのかは知りませんが、たぶんスワンベーカリーの報酬は破格なのではないか。「商売として、正常な利益をあげ、その実績を維持することによってのみ、働く若者たちにも、もっと高給を分配できる」とする考え方は、ごく自然なものです。
もちろん、人口の多い大都市圏で成り立つ考え方が、パン屋さん自体がなかなか成立しにくい、人口密度も人口規模もごく小さな田舎でそのまま成り立つとは思えませんが。

(*1):高橋昭男『仕事文の書き方』を読む~「電網郊外散歩道」2009年10月

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『Bun2』2013年12月号を読む

2013年12月05日 06時05分07秒 | 手帳文具書斎
行きつけの文具店で、コクヨのキャンパスハイグレード澪をまとめ買いしてきたついでに、ステーショナリー・フリーマガジン『Bun2』の2013年12月号(通巻51号)をもらってきました。今号の特集は、「2013Bun2大賞~読者が選んだベスト文具30発表」というものです。毎年恒例ではありますが、世の中でどんなものが流行しているのかを知ることができます。

例えば第三位の「シクオス」。朱肉と印マットが合体した製品で、外回りの多い銀行員や営業の人には便利この上ない製品でしょう。
筆記具では、12位の「ユニボール・シグノRT-1」やパイロットの「ジュース」などのゲルインク・ボールペンが目に付きました。当方、これまでは Jetstream と PowerTank ひとすじで来ていますので、多色展開のゲルインク・ボールペンがやけに眩しい(^o^)/

第16位に、A4判の1/3サイズのノート「カ・クリエ」が入ったのにも驚きました。同じA4判1/3サイズの発想でも、「オレッタ」がベスト30に入らず、A4判三つ折りをはさんで持ち歩くこともメモすることもできる「カ・クリエ」が評価された、ということでしょう。実際に両方を購入し使ってみて、これは私も同感です。

以前の記事で、「カ・クリエ」の用紙について、裏抜けが甚だしいと指摘しましたが、考えてみれば、ミシン目で切り取って使うメモパッド的な使用が想定されているノートなのでしょうから、裏抜けも問題なし、ということなのでしょう。



ところで、私の2013年ベスト文具は、

依然として販売を継続するプラチナの古典ブルーブラックインクと
プラチナ社の#3776センチュリー・ブルゴーニュ万年筆

との組み合わせでしょう。ほぼ裏抜けの心配がないインクと、ほぼ乾燥の心配のない万年筆で、備忘録ノートやシステム手帳のダイアリーなどに、実にたくさん書きました。ジェットストリーム・ボールペンを使うようになって以来の大きな「事件」でした。

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青~ブルーブラック系ボールペンを試す

2013年12月04日 06時03分24秒 | 手帳文具書斎
過日、コクヨの「キャンパスハイグレード澪」ノートをまとめ買いした際に、三菱ユニのシグノというゲルインク・ボールペンを購入してきました。これで、青~ブルーブラック系のボールペンがだいぶ増えてしまいました。顔ぶれは、購入年度が古い順に、

(1) パイロットの G-knock ブルーブラック (0.7mm) ノック式
(2) 三菱ユニ パワータンク 青 (0.7mm) キャップ式
(3) 三菱ユニ ジェットストリーム 青 (0.7mm) ノック式
(4) 三菱ユニ シグノ(Signo) ブルーブラック (太字) キャップ式
(5) 三菱ユニ シグノ(Signo)RT 青 (0.7mm) キャップ式
(6) 三菱ユニ シグノ(Signo)RT ブルーブラック (0.5mm) ノック式

となります。



このうち、パイロットの G-knock は、最初に使ったゲルインク・ボールペン(*1)で、ブルーブラックの色がお気に入りのものです。明瞭で鮮やか、書き上がりの紙面は強さがあります。
三菱ユニのシグノRT 0.7mm。キャップ式だけに、ガタつきは皆無です。青色は落ち付いています。ゲルインクの 0.7mm は、油性の 1.0mm くらいに感じます。ちょうど良い太さです。
三菱ユニのシグノのブルーブラック(太字)。ボテッとした書き味は、封筒の宛名など、大きな文字には適しますが、A罫のノートでもいささかもて余すほどです。迫力があります。
同じく三菱のジェットストリーム(Jetstream)青の1.0mm。新油性の滑らかな書き味は、すっかり定番となりました。やや紫方向に振れた鮮やかな青色です。いわゆる「滲み抜け」がなければ最強なのですが。




シグノRTのブルーブラック(0.5mm)。ずいぶん細く、また筆記感もひっかかるような抵抗があります。たぶん、ボールだけでなくパイプも紙に接しているような感じです。色の傾向は、ややピーコック寄りのブルーブラックといったところでしょうか。細字すぎて演奏会の速記録や備忘録への大量筆記には向かず、手帳などに細々と記録する場合等に向いているようです。

(*1):最近、手書きがマイブーム~「電網郊外散歩道」2007年3月

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Windowsの現状~私の場合

2013年12月03日 06時02分58秒 | コンピュータ
我が家のパソコン稼働台数は、近年ぐっと減少してきています。娘はスマートフォンとKindle-HDで、パソコンはほとんど使っていないようですし、老母は携帯電話のみ。自宅でパソコンを使うのは妻と私だけです。妻は、先年 Windows7 のノートPCに更新しており、便利に使っているようです。私の方は、Ubuntu Linux デスクトップをメインに、Windows8 のサブノートをプレゼン用として用意しています。

デスクサイドに置いた古い WindowsXP デスクトップは、過去に作った WindowsアプリケーションのデータをCSV形式等に書き換えるときに立ち上げる程度になりました。それ以外は、Ubuntu Linux / Libre Office で足りてしまいます。長年の間には、ほとんど必要なデータは変換し終えていると考えられますので、実質的にいつ機器の寿命が来てもかまわない状態になっています。来年春には WindowsXP のサポート期限が切れることがアナウンスされていますが、LAN ケーブルを引っこ抜いてインターネット接続を遮断するだけです。



さて、Windows8 のサブノート機 ThinkPad E130 については、その後(*1)にも少しずつ便利にしています。

(1) アプリケーションを探すときは、スタート画面で [Win]+[Q] とすると、すべてのプログラムの一覧が出てくるので、面倒でなくなりました。
(2) 電源を切るのに便利なように、コマンドターミナルをピン留めしておき、テキストエディタで

echo off
cls
shutdown /s /t 0

という内容を poff.bat という名前で保存し、キーボードで poff とタイプして Enter すれば電源が切れるようにしました。p(ower)off の略ですが、キーボードで「ヒューン」と電源を切ることができた、昔の FMR や FM-TOWNS を思い出します(^o^;)>poripori
(3) LibreOffice/Firefox/Thunderbird/Gimp 等を導入し、便利に使えるようになりました。
(4) SakuraEditor/Gawk 等を導入し、テキストデータ処理ができるようにしましたが、残念ながら sortf は使えないことが判明しました。
(5) LaTeX,dviout,WinTeX 等を導入し、組版の環境を整えました。これまで作成してきたデータや文書を生かすことができます。

要するに、キーボードの活用がテーマです(^o^)/

(*1):Windows8のユーザーインターフェース~「電網郊外散歩道」2013年6月
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高橋義夫『元禄秘曲』を読む

2013年12月02日 06時02分18秒 | 読書
高橋義夫著『元禄秘曲』を読みました。著者は、出羽国(山形県)と思われる土地を舞台とした時代小説をたくさん発表(*1)していますが、本書は江戸を舞台とするという点で、正統派(^o^;)に属する時代小説です。

主人公の花房百助は、本所の石川礫斎の道場の内弟子となり、剣術修行中です。叔父の友二郎は、剣術に出精し江戸の若手で三本指に入ると評判をとりましたが、理由不明のまま家を出て虚無僧となっています。石川礫斎の道場と同じ町内に住む神尾行蔵には、美人と評判の高い鈴という妹がおり、礫斎は百助に、鈴と一緒になって道場を継いでほしいという希望を持っています。ところが百助のほうはいたって硬派というか、鈴については好意を持っているけれど、自分の知らぬ所で話が進むのを嫌います。

たまたま縁のあった男が、女敵を追う身の上だったことから、本所の榊原市之進という悪徳旗本の中間部屋に住む拗ね者たちと対立することになります。石川道場の大天狗・小天狗と異名をとる、百助の兄弟子の古木要蔵の背後に、なにやら怪しい女と、さらに怪しい影がちらつきます。そういえば、師匠の石川礫斎と要蔵とは、かつて堀田筑前守への刃傷事件に関わり処分された藩に、ともに使えていたのだとのこと。なにやら背後にはさらに裏の事情がひそんでいるようなのです。火盗改めに就任した「のっそり十郎」こと能勢惣十郎が、海坊主の斧吉などを動かしているらしい。不穏な動きの渦中にあって、百助はまっすぐに自分の流儀を貫いていきます。どうやら鈴さんも、そのほうが嬉しいようです(^o^)/



作者お得意の、男子校的蛮カラ主人公が登場するという点では、『花輪大八湯守り日記』シリーズと共通点があります。ただし、『湯けむり浄土』『若草姫』等が山形県の肘折温泉を主な舞台にしているのとは異なり、舞台が江戸であるだけに、中央政界に近い分だけ陰謀もスケールが大きいようです(^o^)/

それはさておき、肩の凝らない良質の時代劇エンターテインメントです。

(*1):例えば、『ご隠居忍法』シリーズは笹野藩(米沢市?)、『鬼悠市風信帖』シリーズは松ヶ岡藩(鶴岡市?)、『花輪大八湯守り日記』シリーズは肘折温泉(大蔵村)、直木賞受賞作『狼奉行』は羽州上山藩(上山市)、『風魔山岳党』は最上義光の時代の山形、という具合。

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