電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

『ビジネス手帳で中高生の「生活習慣力」がみるみる変わった!』を読み、考えたこと

2013年12月14日 06時02分21秒 | -ノンフィクション
以前、「手帳甲子園」の報道に高校の生徒手帳の一件を思い出したことを記事(*1)にしたことがありました。これが頭のどこかに残っていたためか、図書館で『ビジネス手帳で中高生の「生活習慣力」がみるみる変わった!』を見つけ、読んでみました。日本能率協会マネジメントセンター編の単行本で、B6判148頁のビジネス書スタイルです。
本書の構成は、次のとおり。

序章 ビジネス手帳で「学ぶ力」が育つ
第1章 遅刻や忘れ物が減るだけじゃない!
第2章 時間の大切さを実感すると行動が変わる!
第3章 目標を達成できる人になる!
第4章 失敗を活かす人が成功できる!
終章 手帳を使っている学校の先生に聞きました

内容は、まあ、目標や生活を自己管理できる力を育てることが眼目です。「手帳を使いはじめて3か月でこれだけ変わった~中高生4万人アンケート調査」の結果がコラムとして挿入されておりますが、劇的な結果というほどのことではありません。半分以上は「変わらない」と答えており、シビアに見ると「効果のあるタイプの人には効果があるが、そうでないタイプの人にはあまり効果がない」もののようです。

ただし、考えたのはまったく別のことでした。
時間を無駄にしない、勤勉な受験生としての生活習慣を身につけるのは、本当に良いことなのだろうか? 人生を豊かにすることなのだろうか?

私の場合、夕食は家族で仲良く話をしながらとりますが、たいてい夜は自室に引っこみ、PCや読書、音楽三昧の生活です。若いころは、夜も昼もなくプログラミングに没頭していた時期もありました。ちょうど佳境に入っている最中に妻に話しかけられて、「お願いだから今は話しかけないで」と言ってむくれられたこともありました。成長し嫁いだ娘に、嫁ぎ先の賑やかさと比較し、我が家の一家団らんの不足を指摘され、ドキッとしたものです。ああ、受験生の生活習慣が、何十年と続いてしまっていたのだな、と感じました。

山崎豊子著『白い巨塔』では、エネルギッシュな財前五郎と対比して里見脩二の清廉さが描かれますが、彼の生活がまさにこれで、夕食の後は書斎に引っこみ、学究的な生活スタイルを守っています。妻は学者としての夫の成功を祈りつつ、もう少し家庭生活に温かさがほしいと願い、夫婦の間には隙間風が吹いています。そこに登場するのが親友の東佐和子で、という想定でした。

おそらく、受験生としての生活習慣は、結婚し子供ができた時点で見直すべきだったのでしょう。もう遅いけれど、いささか反省(^o^;)>poripori
年を取って、良いこともたくさんありますが、後ろを振り返ることが多くなるのは、あまり気持ちの良いものではありません。若い人には、ワークライフバランスを上手にとってほしいと願うばかりです。

(*1):「手帳甲子園」の報道に高校の生徒手帳の一件を思い出す~「電網郊外散歩道」2013年2月

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