ベートーヴェンの音楽の中で、とくに若い頃の作品に、溌剌とした魅力を感じます。多くのジャンルで、野心と意欲を感じる「第1番」は特に魅力的なものが多い(*1)のですが、3番目に作曲されたとされる第2番においても、優雅さや軽やかさなど、また別な面で魅力があります。
過日、山形弦楽四重奏団の第49回定期演奏会で実演に接した(*2)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番ト長調Op.18-2を、しばらく通勤の音楽としてCDを聴き、週末にあらためてPCオーディオで聴きました。演奏はスメタナ四重奏団、DENON の全集から。
第1楽章:アレグロ、ト長調、4分の2拍子。ソナタ形式。映画の中の王宮の場面で、左手を後ろに回し、少し身を屈めてハンカチを振るような挨拶の身振りを見ることがありますが、ちょうどあんな感じの、第1ヴァイオリンによる始まりです。
第2楽章:アダージョ・カンタービレ~アレグロ、ハ長調、4分の3拍子。ヴァイオリンが、とってもステキな、伸びやかな主題を歌います。優しい音楽の後に、速くせっかちな曲想も出てきますが、じきにチェロがあのゆっくりとした旋律を奏し、もとの優しい音楽に戻って、やがて静かに終わります。
第3楽章:スケルツォ、アレグロ。ト長調、4分の3拍子。第1ヴァイオリンが活躍する軽やかで優雅な始まりが、4人の掛け合いに変化していきます。このあたりの流れが、聴いていて快いものです。
第4楽章:アレグロ・モルト・クワジ・プレスト、ト長調、4分の2拍子。ソナタ形式。チェロの「挨拶」に応えて他の三人もそれぞれに挨拶をするところから始まり、小規模な転調を示したり、四つの楽器が互いに充実した絡み合いを見せたりしながら、快速テンポで演奏されます。曲の終わり方も晴れ晴れとしていて、まだあまりしつこくないところが、若いベートーヴェンらしくて良いですなあ(^o^)/
Wikipedia によれば、1800年に作曲され、1801年に他の曲と一緒に作品16として発表されたこの曲は、ロプコヴィッツ伯爵に献呈されているそうです。青木やよひさんの『ベートーヴェンの生涯』によれば、この頃のベートーヴェンは、その圧倒的なピアノ演奏の力で社交界の寵児となっており、テレーゼとヨゼフィーネ姉妹にピアノを教えながら、自作の「交響曲第1番」や「ピアノ協奏曲第1番」、「七重奏曲」というプログラムで自主演奏会を開いておりますが、一方で聴覚障碍に不安を持つという、複雑な内面生活の時期のようです。その割には、音楽の中にあまり深刻な危機を感じとる要素は少なく、むしろ若さと幸福な希望を感じさせてくれるものになっています。
スメタナ四重奏団によるCDの型番は、260C37-7711です。1976年6月にプラハのスプラフォン・スタジオで収録された、最初期のPCM/デジタル録音です。たしかこの第2番と第4番が、全集のスタートとなる最初の録音で、二曲を収めたLPがこの年のレコードアカデミー賞を受賞したのではなかったか。高音部がきつい感じを受けるのは、おそらく当時の機器の技術的な制約によるものでしょう。制作を担当したのは、スプラフォン側がエドゥアルト・ヘルツォーク、日本コロムビア側が結城亨さん、録音は、それぞれスタニスラフ・シコラ、穴沢健明の各氏とクレジットされています。
(*1):ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番」を聴く~「電網郊外散歩道」2012年1月
(*2):山形弦楽四重奏団第49回定期演奏会でハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを聴く~「電網郊外散歩道」2013年10月
※インフルエンザの予防接種後の経過は、発熱やかゆみなど変調を来すこともなく、たいへん順調です。今年こそ、インフルエンザはごめんこうむりたい(^o^;)>poripori
過日、山形弦楽四重奏団の第49回定期演奏会で実演に接した(*2)ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第2番ト長調Op.18-2を、しばらく通勤の音楽としてCDを聴き、週末にあらためてPCオーディオで聴きました。演奏はスメタナ四重奏団、DENON の全集から。
第1楽章:アレグロ、ト長調、4分の2拍子。ソナタ形式。映画の中の王宮の場面で、左手を後ろに回し、少し身を屈めてハンカチを振るような挨拶の身振りを見ることがありますが、ちょうどあんな感じの、第1ヴァイオリンによる始まりです。
第2楽章:アダージョ・カンタービレ~アレグロ、ハ長調、4分の3拍子。ヴァイオリンが、とってもステキな、伸びやかな主題を歌います。優しい音楽の後に、速くせっかちな曲想も出てきますが、じきにチェロがあのゆっくりとした旋律を奏し、もとの優しい音楽に戻って、やがて静かに終わります。
第3楽章:スケルツォ、アレグロ。ト長調、4分の3拍子。第1ヴァイオリンが活躍する軽やかで優雅な始まりが、4人の掛け合いに変化していきます。このあたりの流れが、聴いていて快いものです。
第4楽章:アレグロ・モルト・クワジ・プレスト、ト長調、4分の2拍子。ソナタ形式。チェロの「挨拶」に応えて他の三人もそれぞれに挨拶をするところから始まり、小規模な転調を示したり、四つの楽器が互いに充実した絡み合いを見せたりしながら、快速テンポで演奏されます。曲の終わり方も晴れ晴れとしていて、まだあまりしつこくないところが、若いベートーヴェンらしくて良いですなあ(^o^)/
Wikipedia によれば、1800年に作曲され、1801年に他の曲と一緒に作品16として発表されたこの曲は、ロプコヴィッツ伯爵に献呈されているそうです。青木やよひさんの『ベートーヴェンの生涯』によれば、この頃のベートーヴェンは、その圧倒的なピアノ演奏の力で社交界の寵児となっており、テレーゼとヨゼフィーネ姉妹にピアノを教えながら、自作の「交響曲第1番」や「ピアノ協奏曲第1番」、「七重奏曲」というプログラムで自主演奏会を開いておりますが、一方で聴覚障碍に不安を持つという、複雑な内面生活の時期のようです。その割には、音楽の中にあまり深刻な危機を感じとる要素は少なく、むしろ若さと幸福な希望を感じさせてくれるものになっています。
スメタナ四重奏団によるCDの型番は、260C37-7711です。1976年6月にプラハのスプラフォン・スタジオで収録された、最初期のPCM/デジタル録音です。たしかこの第2番と第4番が、全集のスタートとなる最初の録音で、二曲を収めたLPがこの年のレコードアカデミー賞を受賞したのではなかったか。高音部がきつい感じを受けるのは、おそらく当時の機器の技術的な制約によるものでしょう。制作を担当したのは、スプラフォン側がエドゥアルト・ヘルツォーク、日本コロムビア側が結城亨さん、録音は、それぞれスタニスラフ・シコラ、穴沢健明の各氏とクレジットされています。
(*1):ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番」を聴く~「電網郊外散歩道」2012年1月
(*2):山形弦楽四重奏団第49回定期演奏会でハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを聴く~「電網郊外散歩道」2013年10月
※インフルエンザの予防接種後の経過は、発熱やかゆみなど変調を来すこともなく、たいへん順調です。今年こそ、インフルエンザはごめんこうむりたい(^o^;)>poripori