EACI News Weekly 第58号(2月19日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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【目次】
【1】《今週のニュース 2/13-2/19》
政治(2)、経済(2)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.141》
第141回UIチャンネル放送は2月29日(月)20時より沖縄からお送り致します。
【3】《EACIレポート/再掲》
3月1日【鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台】に鳩山友紀夫理事長が登壇
【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「柔遠駅」
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【1】《今週のニュース 2/13-2/19》
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【政治】
■安保法廃止法案を提出 5野党、違憲と訴え
(東京新聞 2016.2.19)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016021902000261.html
■沖縄知事「辺野古移設認めない」
(ロイター 2016.2.15)
http://jp.reuters.com/article/idJP2016021501001775
【経済】
■実質賃金低迷でマイナス成長 明白になったアベノミクスの破綻
(ダイヤモンド・オンライン/野口悠紀雄 2016.2.18)
http://diamond.jp/articles/-/86501
■ASEAN諸国のTPP参加を後押し オバマ米大統領
(朝日新聞 2016.2.17)
http://www.asahi.com/articles/ASJ2K4GFVJ2KUHBI01J.html
■USJ、沖縄進出の撤回を検討 振興策の目玉、ディズニー構想で敬遠か
(ハフィントンポスト 2016.2.18)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/17/usj-withdraw-from-okinawa_n_9259002.html
【国際】
■ロシアとスウェーデン、高まる戦争の危機
(ハフィントンポスト 2016.2.14)
http://www.huffingtonpost.jp/yuki-murohashi/russia-sweden_b_9224666.html
■ジカ熱の対策強化 WHOが新計画発表
(NHK 2016.2.18)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160218/k10010413221000.html
【社会】
■沖縄「基地が人権侵害」各国に公式情報 国連NGO報告
(沖縄タイムス 2016.2.19)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=154611
■ガリ元国連事務総長が死去 93歳
(CNN 2016.2.17)
http://www.cnn.co.jp/world/35078021.html
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.141》
第141回UIチャンネル放送は2月29日(月)20時より沖縄からお送り致します。
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【3】《EACIレポート》
3月1日【鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台】に鳩山友紀夫理事長が登壇
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3月1日に札幌で「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」が開催されます。「友愛と東アジア共同体構築」をテーマに当財団の鳩山友紀夫理事長が登壇します。詳細は以下をご参照下さい。
★ ★ ★
柏艪舎では、鈴木邦男氏とゲストをお招きしてのシンポジウムを定期的に開催して「日本の分」について考えていきます。第18回 は、友愛の精神で「東アジア共同体」構想を実現すべく精力的に活動をつづける、元首相・鳩山由紀夫さんをお招きします。
■イベントページ
https://www.facebook.com/events/886271974800599/
【ゲスト】 鳩山由紀夫さん
(元首相・一般財団法人東アジア共同体研究所 理事長)
【テーマ】 友愛と東アジア共同体構築
【日 時】 2016年3月1日(火)18:00~20:30
【場 所】 札幌時計台ホール(札幌市中央区北1条西2丁目・札幌時計台2階)
【参加費】2,000円
【定員】150人 要予約(先着順で締め切ります)
【申込方法】FBからお申込みの方は、「参加する」にしてください。当日は受付でお名前をおっしゃってください。
*書籍の資料用に撮影、録音をさせていただきます。
どうぞご了承くださいませ。
【主催・問い合わせ】
株式会社 柏艪舎 可知佳恵
札幌市中央区北2条西3丁目1タケサトビル6階
Tel 011-219-1211 Fax 011-219-1210
y-kachi@hakurosya.com
■主催団体ページ
http://www.hakurosya.com/books/news.php?news_id=88
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【4】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「柔遠駅」
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福州琉球館の歴史
1月30日(金)から2月4日(木)まで、福建省を旅した。既に山羊の・解体についてはレポートした。
同行は平川宗隆氏とロガイ氏。平川氏は沖縄県獣医師会会長・サン食品相談役・東アジア食文化研究会会長そして東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター特別研究員。ロガイ氏は沖縄大学、沖縄芸術大学、名桜大学で古武道の理論・実践講師を務めている。福州の出身で緒方ゼミの卒業生。
1月30日は午後1時那覇発(1時間遅れ)、香港で乗り継ぎ福州長楽空港へ。到着は夕方5時過ぎ。(昨年、那覇―福州直行便が実現したのだが、乗客が少なく、現在は香港経由、上海経由のいずれかの路線のみ)
夕食は今回のきっかけを作って頂いた林雲・福建省人民代表(拓福グループ社長)、謝必震元福建師範大学中琉関係研究所所長、頼正維教授ほか。
翌、1月31日は朝から頼教授の案内で琉球人墓を訪ねる。住宅街の中だが、文化財地区として指定されているためこのまま残される。墓苑に入ると左側に苔むした一番古い墓が2基。上がってゆくと右手に岩をくりぬいたような形の墓。誰のものか分からない。さらに上へ行くと6基ほどの墓が並んでいる。いずれも石碑には琉球国の文字。枝が垂れ下がったガジュマルの見事な木。大きな線香を捧げ琉球の祖先たちの冥福を祈る。
福州市は平均気温19.5度と本には書いてあったが、寒い。
続いて琉球館へ。ここを訪ねるのは3回目。10年ぶりだ。周りの様子が様変わりしている。左側にあった小さな家々は全て取り払われ、空き地が広がっていた。次回訪ねる時にはきっと高層住宅が並んでいることだろう。館の入口には2名の若い警備員が待っていた。
関係者全員集まった、とのことで約10人のメンバーと会議。
私の方からはこの館を世界遺産に登録してはどうか、と勧めた。琉球人墓と同じように文化財地区にも指定され、開発で消え去ることもない。史跡調査も日中合同でなされている。
世界遺産登録には十分に法律で保護されていること、調査がちゃんとされていること、等が条件だ。条件は整っているように見える。2000年に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」を範囲拡大し、追加登録すれば良い。
世界遺産の申請は各国とも文化遺産、自然遺産、一つずつという制限がある。しかし国境を越えた(トランス・バウンダリー)は例外だ。例えばル・コルビジェの建築物は数カ国に渡っている。上野の国立西洋美術館本館もそうだ。フランスから申請が出されており、トランス・コンチネンタル(大陸をまたぐ)世界遺産としての登録可能性が高い。
メンバーは福建省外事弁公室、琉球館館長、国家一級建築士など。土曜日のこの時間に館を開け、関係者をそろえるにはトップダウンしかない。
様々な質問や意見が出た。
「琉球人墓を修復するが、琉球の人たちはどう考えているか、調査に行きたい。」
「中国政府は海のシルクロードを世界遺産に登録申請中だ。北は朝鮮半島・日本、南は東南アジアだが、琉球との朝貢貿易に関してはまだ条件を満たしていない。」
「館全体を冊封船のイメージでリニューアルしたい。民間からの寄付も募りたい。」
世界遺産には3種類ある。有名な文化遺産、自然遺産、複合遺産は1031件。これはイコモス(国際記念物遺跡会議)がユネスコから委託されて調査をし、結果を世界遺産委員会にあげて承認される。世界記憶遺産は昨年話題になった南京虐殺の資料などだ。ベートーベンの第9交響曲の直筆楽譜、アンネの日記など。世界無形遺産には沖縄の組踊がある。
記憶遺産、無形遺産とも書類審査だけで通る。
中国の海外との交流を記した「歴代宝案」などはすぐにでも登録できそうだ。泡盛などの食文化を無形文化遺産に、という声も上がっている。
柔遠駅
以下は、琉球館および近くにあった進貢廠、球商館、琉球からの使節が着いた河口などの視察レポート。<人の移動と21世紀のグローバル社会>―中国・台湾調査班 福建師範大学中琉関係研究所合同調査報告書(平成20年度琉球大学特別教育研究経費)から引く。
「琉球館には、柔遠駅の碑が建てられている。ここは明初に創建され、外国使臣が滞在した。進貢業務に関連して設置された進貢廠(注・今は残っていない)は、琉球からの貢物を京師へ送るまでの間、保管していた施設。柔遠駅・進貢廠の創設に関しては、泉州から福州への市船司移転に伴う。しかし1649年以前からすでに利用されていた。
琉球館付近の官(中国の字では王編が付く)午街は、球商(牙行)などが住んでいた地域。付近にはクリークが張り巡らされている。」
いまや下水のようにゴミが浮き、汚れた水がゆっくりと流れる川。狭い通りをバイクが警笛を鳴らしながら人をかきわけて走る。木造建ての二階を見上げると狭いバルコニーがある。おそらくこの建物群も近々取り壊しになるだろう。福州市では一番古い街並みだ。旧正月の準備のため、飾りなどを売っている。お菓子、サトウキビ、大根、干し柿、ヤギの頭・・。葬式に臨む人たちが赤い○のついた白い帯を腰に巻いている。帰りは赤の帯らしい。
「歴代宝案(1-14-10号文書)によれば、柔遠駅内には、頭門(大門)・儀門・大堂・月台(月見台)・房舎三十二間(左右)があり、周囲に壁をめぐらせ、住民との問題が起こらないようにしていたという。清初には館駅の施設の多くが破壊されており再建を要していた。
清代の修理は7回、台風や浸水、失火や河の氾濫が原因。
館内には土地祠・天妃宮・崇報祠があった。土地祠は土地君を祀る。天妃宮は琉球側では、「宮之上」と呼ばれ、天妃も菩薩加奈志と呼ばれていた。崇報祠は別名位牌殿とも呼ばれ、中国で亡くなった琉球人の位牌(琉位牌)が900あまり祀られていた。
球陽(読み下し2276)によると同治11(1872)年に福州琉球館二前に告示碑が建てられた。
興味深いのは・・女性や子供などが勝手に館内に入ることや、ゴミなどを館内に棄てないこと、集まっての飲酒、賭博、玉蹴りや喧嘩、騒ぐことなどを禁止した部分である。裏を返せば、琉球館でこのようなことが起こっていたと考えられる。
「仰渡写」には、河舟に乗る遊女を正月に招きいれ招宴を開いていた、という記録。」
正月の華やかな雰囲気をさらに盛り上げるため、「遊女を館内に招いていた」!。
これは現代の風俗街のソープ嬢のイメージではないだろう。「売春婦と王様・人類史上もっとも古い二つの職業」(チャールズ皇太子の言葉)に携わる女性に対しては差別と敬遠、憧れと尊敬、つまり庶民には縁遠い人と見られていたのではないか。河舟を漕ぎまわり売春する女性は、一方では遊芸も身に付けていただろう。
琉球館の暮らしぶりを想像するとほほえましくなる。女子供出入り禁止のはずが監視人は賄賂をつかまされて見て見ぬふり、館内ではサッカーや賭博に興じ、酒を飲んで大騒ぎ、喧嘩は起こる、ゴミは捨て放題。
正月はどーんと騒ごうじゃないか。江戸のような遊郭はない、芸者もいない。新宿のようなソープランドもない、キャバクラもない。そうだあの娘だ、河舟でいつも見るあのきれいな娘を呼んで、歌ったり踊ったりパーッとやろうぜパーッと。
「深沢秋人によれば琉球館で行われた重要な業務として進貢使節の再編がある。二隻の進貢船に200人前後が乗り込んで渡ってくるが、彼らは業務に応じて大きくは三つのグループへと再編される。それは進京し進貢任務を行う「上京」グループ、次に使節が派遣されてくるまでの間、琉球館に滞在する「存留」グループ、開館貿易を行うと進貢船で先に帰国する「摘回」グループである。半数以上を占める。在留グループは足掛け3年にわたり滞在した。300人近くが滞在していた時もあった。」
「琉球王国の進貢は1874年を最後に途絶えてしまい、1879年の琉球処分によって王国も姿を消した。琉球救国(復旧)運動が展開されると脱清人の拠点として利用された。
その後、国民党兵士の宿舎、1945年にはアメリカからの援助物資の保管所である「救済公署」、解放後は「工業学校」、1953年には「木器試験所」、1970年からはスイッチ部品工場。
1980年代から交流、86年から琉・中・台による中琉歴史関係国際学術会議の開催、各市町村の友好都市締結など。1992年に中国大陸3000キロ踏査行が行われた。同年、現在の福州琉球館が復元・開館。以下にその後の沖縄と福建省の主なイベントを記す
1994年 第一回沖縄県・福建省サミット
1995年 第二回
1996年 第三回
1997年 第四回
1998年 第五回
1999年 第六回
2000年 第七回
2001年 中国福建省 習近平省庁一行歓迎夕食会
2005年 沖縄・中国友好協会設立」
(注・習近平は二度沖縄を訪れている。)
球商会館について
「西里喜行によれば琉球の進貢船が福州で貿易を行う際に、貿易の仲買を担当した商人集団。客商や官牙とも称され、御用商人に近い性格を持つ。
そもそも牙行とは、中国において売り手と買い手の商取引の仲買を行い、そこから手数料を取るのを生業とした仲買業者の商人集団(ギルド)のこと。宗代に入ると、塩・茶・絹・米などから土地・家屋・牛馬・人身の取引(売買・雇用)にまで仲買業者が介入するようになった。西里氏は、明末の隆武元(1645年)に「十家牙行」が許可され、琉球との貿易を仲買する商人が限定されたこと、「十家牙行」の成立には1630年代の二度の「王銀詐取」事件が深くかかわっていることを指摘している。
島津家が白糸貿易拡大の意図のもとで対明貿易に関わり、琉球が福州にて商人を介して貿易を行っていたが、1634年、1636年の二度に渡って、購入費の一部が中国商人によって「詐取」された。それが原因となり一時的に琉球の白糸貿易が明朝によって禁止された。
球商会館は、球商たちによって運営されていた。道光3(1823)年に建造された。」
進貢廠について
「進貢廠は、福州府域の東南河口、つまり水部門のクリーク沿いの下流にあるとされる。琉球館の北側と推測。万寿橋の位置から柔遠駅の間にあったとする説も。河口万寿橋は、琉球館のもっとも近くにある橋、新港などに停泊して進貢船を下船した使節は小舟を利用して河口万寿橋まで遡上した。このあたりに進貢廠があったのではないか、という説。」
河口天午宮について
「琉球の進貢使節が那覇港を発する際には久米村の上天妃宮にある媽祖を船中に奉安し、福建に到着すると河口天午宮に媽祖像を降ろした。帰国の際にまた船中に奉安して那覇港に着くと上天妃宮に媽祖像を戻して祀りをした。また進貢船・渡唐船には「香工」という媽祖を祀る係が置かれた。(沖縄大百科事典)」
これまで述べた進貢廠、球商会館は今はない。天午宮は昔のままの位置かどうかは不明だが、現存する。柔遠駅(福州琉球館)も再建されている。
琉球関係の施設はおそらくもっと広い範囲で広がっていた。船着き場、倉庫、宿舎・事務所付の大使館、近くには媽祖を祀る天午宮、お祭り広場、御用商人たちの会議室・倉庫などが完備した巨大な貿易フリーゾーンだったはずだ。
琉球の進貢使節は、1週間の船旅の後、福州の五虎門に着く。福州市内へは現在車で2時間、当時はおそらく一日がかりだったろう。五虎門から小舟に乗り換えて万寿橋へ。この橋は200年前に修理した記録がある。石造りだが、いつ壊れてもおかしくないようなボロ橋だ。河に通じる石段も進入禁止になっていた。
明治の初期まで何百年もの間、進貢は続いた。琉球からの進貢使たちは清流を楽しみながら川を遡り、期待に胸はずませてこの石段を踏みしめたに違いない。
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