沖縄の新聞が熱心に応援している新作組踊「聞得大君」の舞台である。玉三郎さんが「国立劇場おきなわ」で1月4日から6日まで稽古をしたことが紙面に大きく掲載されている。玉三郎という歌舞伎界の女形のスター、人間国宝があえて沖縄の新作組踊、しかも琉球王府の信仰体系の頂点に立った聞得大君の役を演じること、三八六の組踊の唱えで登場するということが、悩ましく麗しいに違いない、と期待感が増す。このコラボレーションが、将来的に共演する若い沖縄の組踊役者にとって大きな意味を持つに違いない。玉三郎という目標ができたのである。日本の伝統芸能の花と沖縄の花が並ぶ。歌舞伎役者が新作組踊の主役となる。紅型衣装に身を包む。歌舞伎の組踊への影響関係がまたそこからにわかに立ち上がってくるのかもしれない。芸能の融合美が、多様性・多文化性、interperformativityがそこからあらたな美を醸し出すのかもしれない。cross-cultural、 trans-culturalな舞台芸術の水のような交わり、の美！新たな誕生、聞得大君の誕生は、組踊のさらなる進化ということになるのかもしれないね！
