志情(しなさき)の海へ

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最強の一人芝居フェスティバル=インディペンデントThe most valuable SPLO-Performance festival!

2020-07-20 00:12:36 | 沖縄演劇

さすが、犬飼さんの演技は飛び抜けていた!作は関戸哲也、演出=大浜暢谷。

当初主演、脚本、演出が犬飼憲子本人だと勘違いしていた。ことばがすんなり普段着感覚で入ってくるので、これが演技かと、気になったりしたが、熱演だった。従来ない恋の浮き立つ気持を軽いリズムの音楽にのせて踊った。

やんばるにある「くいくがり伝承」を元に物語が展開していく。「くいくがりのなみだ」も創造の伝承か~。

筋立てが冒頭と最後で重なり、まさに一つのエピソードが浮かび上がる。妖怪が人間と恋に落ちて恋が実ると人間になれるという筋書き、それは脚本家のディスニーバージョンの横滑り物語の借用だが、妖怪を実物の食堂のおばちゃんにした。聞かせる笑わせる、ゾッとさせる。おまけに首里城を燃やしたのもそのおばちゃんという独白までつけて、燃える城の炎がおきなわの集団の怨恨の象徴にもなる。そしてホラーだ。ヤギ汁は山羊汁だったのか、おばちゃんをぶんなぐって顔をボコボコにする酒呑みで働かない夫(つれあい)の骨なのか~。どうもそれらしく閉じられる。こわ~い物語。

てっきり犬飼さんの脚本と思って見ていたのが、はぐらかされた。演出の新奇さはダンスだ。メインメディアのテレビの大御所たちやその番組、人気俳優の名前もどんどん出る。時代の表象をかすめ取る。かといって沖縄だ。ないちゃーへの沖縄の内なる怨恨のようなものがきれいな海に照らされて放送作家に語られる。何気ない会話、物語がぞっとさせる。作り物めいたおばさんのラブスト-リーも本当らしく聞こえてくる。引き込まれる。舞台のマジックが起こる。ほんとかもしれない。ほんとうに現代にも通じる「くいくがりのなみだ」→「くいくがりぬなみだ」があるのだ?!

脚本に難があるとしたらうちなーウィキガのステレオタイプだろうか。酒飲みで妻、恋人をボコボコ殴るだめ男たちのイメージだ。酒飲みで口笛は上手という~。また大和の男へのうちなー女の幻想か~。山羊汁、首里城火災、ボコボコ、きれいな珊瑚礁の海、ないちゃーの研究者、恋い焦がれるうちなーうぃなぐの幻想。ひいては山羊汁ではなくひょっとしたDV夫を殺した骨が入っている山羊汁~。面白く笑えるが、うちなーんちゅがこれらのキーワードで作れる作品かと思ったら、ちょっとニュアンスは違うものになるのでは~。今、うちなーの女はそれほどによそ者の男に思い入れ深くなるだろうか?男のために尽くして働くけなげなおばさん。どれもシンボリズムのかけらと思えば、なるほどと納得もいくが~。

妖怪にするためにはどしっとしたおばちゃんでなければならなかった~。うまく作られたピュアホラーということになる。ナイチャー(大和)から見える沖縄はホラーで迫ってもおかしくないと想像させうる。しかし去年10月31日の首里城火災が脚本に挿入され真っ赤に燃えるイマージが膨らんでいる。沖縄を素材(題材に)芥川賞や直木賞が続いている。さて、演劇でも?

脚本の関戸哲也は名古屋の演劇集団の代表で「劇作、演出、俳優。空宙空地(クウチュウクウチ)所属。2018札幌TGR優秀賞。大阪30GP俳優賞。2019教文短編演劇祭「ショウアワセルフ」優勝。ベスト俳優賞。そして、2020第12代劇王。」と個人のTwitterで紹介している方~。犬養憲子さんのためにオリジナルでこの作品ができたのだろうか?沖縄と全国の演劇人の交流は好ましい。https://spice.eplus.jp/articles/267109

この作品がナイチャーの役者が演じたら味わいは落ちるだろうと、想像するのだが、どうだろう。犬養さんの独特な対話スタイルがあり、演技があり、この舞台だと思うが、脚本(テキスト)を細かく見ていくと、食堂のおばちゃんの恋物語で、ブッラクユーモアになる。ありえないありえる人間の情ということになるのだろうが~。異常と普通の差異も曖昧で~。

 そう言えば、食堂のおばちゃんは首里城に火をつけた、と言い放つ。つまり八百屋お七のイメージである。珊瑚研究者の恋人に沖縄に振り向いてほしいゆえに~。自分に振り向いてほしいゆえに~。ちょっとやはり物語はつながっているが、どこか、気になってくるのは、なぜ?

「八百屋お七(やおやおしち、寛文8年(1668年)? -天和3年3月28日(1683年4月24日)、生年・命日に関して諸説ある)は、江戸時代前期、江戸本郷八百屋の娘で、恋人に会いたい一心で放火事件を起こし火刑に処されたとされる少女である。井原西鶴の『好色五人女』に取り上げられたことで広く知られるようになり、文学歌舞伎文楽など芸能において多様な趣向の凝らされた諸作品の主人公になっている。」

★久保深樹脚本の「そしてニャーと鳴く」は、わたぬきかなが軽快に演じていた。当初引き込まれたが、人間が猫になりまた人間に戻る筋書き。ストーカー人間が猫になり、そして紆余曲折を経てチリ捨場のような住居に住むババに拾われ優しさに触れいつのまにか人間に戻る物語だったような~。わたぬきが元気よく闊達で人間、否、猫を演じのけて、対象になる人物もまたそれなりにそれらしく演じのけていて、面白かったが、ストーカーする人間=猫の自在な豹変が面白くて、漫画的に思えて、わたぬきのエネルギッシュの演技が、もったいなく思えたのはなぜか~。ネットで検索すると久保さんについて以下のプロフィ-ルがUPされていた。そうか、あの「出停記念日2001-2000」を演出した若者なのだ。若い才能がしのぎを削っているのだ~。いいね!

 

  • 久保深樹プロフィール

    演出・脚本家 久保 深樹(くぼ みき)
    本名:城間 俊宏(しろま としひろ)
    1986年生まれ。

    ――脚本家、演出家。首里東高校演劇部にて、演劇に触れる。その後琉球大学にて心理学・社会福祉を学ぶ傍ら演劇活動を続ける。社会人経験を経て、創作ミュ-ジカル団体「パフォ部」に在籍。舞台監督、演技指導を務める。
    2012年よりフリーとして活動。演劇のみならず、自身の経験から、アサーティブネスコミュニケーションの講師としても活動する。現在は、フリーの演出家・脚本家として、ライジング沖縄アクトクラスにて演劇講師、FMコザ(76.1MHz)にて『KAMたいむ~川満彩杏と久保深樹のアンダンテな月曜日~』のラジオパーソナリティ兼ラジオドラマ脚本 、演出を務める。
    『心に届く作品作り』をテーマに多くの舞台を生み出す。

    ◆活動履歴  ※2014年7月現在

    【2004~2010年】
    首里東高校演劇部自主公演「未来2(ミライジジョウ)」をパレット市民劇場にて上演。
    琉球大学法文学部人間科学科入学
    琉大ミュージカル「雨に唄えば」うるま市石川会館にて上演。舞台監督・演技指導。
    劇団テトラ「アルジャーノンに花束を」沖縄市民小劇場あしびな〜にて上演。演出・舞台監督。
    創作ミュージカル団体「パフォ部」入部。演技指導、舞台監督を務めるとともに団体運営の制作を学ぶ。

    【2012年】
    7月
    パフォ部第1回演劇公演「ひまつぶし」わが街の小劇場にて上演。作・演出。市民ミュージカル「コザ物語」沖縄市民小劇場あしびな〜にて。演出助手として参加。
    11月
    演劇プロジェクト「ユニバース」わが街の小劇場にて上演。作・演出・舞台監督。
    12月〜
    男女共同参画センター「てぃるる」にて、ホールの照明・音響スタッフとして勤務。
    パフォ部を退部し、フリーとして活動を始める。
    【2013年】
    1月〜 GGプロモーションにて、キッズクラス・アクトクラスの演技指導を務める。
    3月  FMコザにてラジオパーソナリティ兼、ラジオドラマの脚本・演出を務める「KAMないと〜川満彩杏と久保深樹の水曜2次元目〜※現KAMたいむ~川満彩杏と久保深樹のアンダンテな月曜日~」放送開始。
    4月  演劇公演「プライマリー」ぶんかテンブス館にて上演。脚本・演出・舞台監督。
    7月  市民ミュージカル「コザ物語」沖縄市民小劇場あしびな〜にて。演出助手として参加。
    8月  GGプロモーションキッズクラス公演「あーそーぼーっ」てぃるるにて上演。作・演出・舞台監督。
    10月  『舞台祭@りうぼう』へ、「ひまつぶし」(再演)にて参加。脚本、演出、舞台監督。
    【2014年】
    2月  久保深樹プロデュース公演「世界が終わる夜に」わが街の小劇場にて上演。初のプロデュース公演。プロデュースから、作・演出・舞台監督まで務める。
    5月  スターリィマン朗読音楽コンサート in おきなわ「いつも君のそばにいるよ」演出協力
        久保深樹演劇公演「出停記念日2001-2000」沖縄県男女共同参画センターてぃるるにて上演。演出・舞台監督。
    7月  theater HIGH LINE × STUDIO パフォ「ぱふぉ!ザ・ミュージカル」照明として参加。
    7月~ ヴィジョンファクトリーにてアクトクラス(演劇レッスン)講師を務める
    8月  沖縄県高校演劇連盟主催、高校演劇合宿にて講師として参加。(予定)
 
 
好きな言葉
  • 子供のように、無邪気に奇跡を信じるのではなく
    大人のように、ただ現実を受け入れるのではなく
    この世に死があるを知り悲しみがあるを知り絶望があるを知り
    それでも、明日を夢見るのを諦めないこと

 


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