緻密なご研究に頭が下がります。組踊の台本に関して、「その成立に伝承文芸としての要素があるという考え」はとても興味深かったですね。戯曲の成り立ちなのですが、様々な台本の存在は(異本)書写が多様になされた時代の象徴なのかもしれない。現在のようにコピー機がなかったので、個人の記憶や写し書きの検証があったのも、なるほどと思う。伝承文芸の要因は、前から示唆されていたのかもしれないが、1719、1756、1800、1808、1838,1866の全6回の冊封を受けての催しはあまりに時間的スパンが長すぎる。毎年仮説舞台で上演されることのない組踊だったのだ。どこでなされてきたのか、座敷だとの論文もなるほどで、座敷芸としての組踊にももっと視線を向けるべきなのかもしれない。辻や中島でもまた組踊が披露された痕跡が残っているのかもしれない。実際に近代以降はその事例はありますね。すると近代から近世を推し量ることも可能ではないのだろうか?
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