『王女御殿』はこの映画『雨月物語』を幻想的な歌舞劇に翻案しているのですね。村の百姓で陶器作りの兄弟がいて、弟は侍にあこがれ、兄は陶器を売って一儲けをしたいと思っている。戦国時代、織田信長の時代だ。
【映画】雨月物語(1953年公開)Ugetsumonogatari
https://www.youtube.com/watch?v=Jr0f3ZE5DkI
【映画】雨月物語(1953年公開)Ugetsumonogatari
https://www.youtube.com/watch?v=Jr0f3ZE5DkI
百姓は収奪の対象だったのですね。死霊のお姫様の屋敷跡があり、市場がある背景が映像ではくっきりと描かれている。陶器を作る職人の姿!琉球王国時代の設定で『王女御殿』を翻案するに当たり、登場人物の類似性はあるが、物語の筋もある程度類似するが、設定する時代と市場が描けていない。「王女御殿」の場合、布商人の兄弟たちは小奇麗だ。布作りの職人や商人の存在があったかどうか、という点では確かに那覇の街の市場ではいろいろな物の商いがされていたことが推測できる。山田城址を推定しているとも聞いたがー。
赤い瓦屋根の芝居幕、どうも台本の中では街の設定だった。
商い風景の場面を入れることは可能に違いない。戦国時代のカオスが映像には満ちている。弟の嫁が謎の男に誘惑され、ジュリに身を落とし(?)、今度は唐に売られるという寸前のところで実の夫(兄弟の弟)に救われる設定。
映画のストーリー
大正十一年春。--琵琶湖周辺に荒れくるう羽柴、柴田間の戦火をぬって、北近江の陶工源十郎はつくりためた焼物を捌きに旅に上った。従う眷族のうち妻宮木と子の源市は戦火を怖れて引返し、義弟の藤兵衛はその女房阿浜をすてて通りかかった羽柴勢にまぎれ入った。彼は侍分への出世を夢みていたのである。合戦間近の大溝城下で、源十郎はその陶器を数多注文した上臈風の美女にひかれる。彼女は朽木屋敷の若狭と名乗った。注文品を携えて屋敷を訪れた彼は、若狭と付添の老女から思いがけぬ饗応をうける。若狭のふと示す情熱。--もう彼はこの屋敷からのがれられなかった。
一方、戦場のどさくさまぎれに兜首を拾った藤兵衛は、馬と家来持ちの侍に立身する。しかし街道の遊女宿で白首姿におちぶれた阿浜とめぐりあい、涙ながらに痛罵される。日夜の悦楽から暫時足をぬいて町に出た源十郎は、一人の老僧に面ての死相を指摘される。屋敷に戻った源十郎は若狭たちに別れを切り出す。怒りの中引き留めようとする若狭たちだが、彼に触れることが出来ない。源十郎の背中には呪符がかかれていたためであった。翌朝源十郎は廃墟の中で目覚める。若狭たちは織田信長に滅された朽木一族の死霊だったのである。--
源十郎はとぼとぼと妻子のまつ郷里へ歩をかえした。戦禍に荒れはてた北近江の村。かたぶいた草屋根の下に、彼は久方ぶりでやせおとろえた宮木と向いあう。しかし一夜が明けて、彼女も幻と消えうせた。宮木は源十郎と訣別後、落ち武者の槍に刺され、すでにこの世を去っていたのである。--源十郎は爾後の半生、宮木を弔いつつ陶器つくりに精進した。その傍らには、立身の夢破れて帰村した義弟、藤兵衛と阿浜の姿もあった。
作品データ
原題: Ugetsu Monogatari/Tales of Ugetsu
製作年: 1953年
製作国: 日本
配給: 大映
上映時間: 96分
スタッフ
監督: 溝口健二
製作: 永田雅一
脚本: 川口松太郎 、 依田義賢
企画: 辻久一
撮影: 宮川一夫
キャスト
若狭: 京マチ子
阿浜: 水戸光子
宮木: 田中絹代
源十郎: 森雅之
藤兵衛: 小沢栄
老僧: 青山杉作
[1953年3月26日公開]雨月物語