演劇とはきわめて政治的な表象活動だと考えている。アジア演劇の研究者がインド、中国、韓国、台湾、マレーシア、フィリピン、アメリカ、EUからやってくる。日本の大学で伝統芸能を教授するアメリカ人研究者も発表される。おそらく≪日本以外≫のアジア諸国と日本(もちろん日本もアジアの一員)の中間に位置する沖縄の近代演劇についても報告することになった。毛利先生、永田先生のご配慮に感謝ですが、中身を充実させないと厳しいですね。(開催場所は大阪大学)
自分の能力がカメの歩みであることを自覚しながら、以前、台湾で発表した原稿を紐解きながら再構成が問われている。近代化とは何だったのか?廃藩置県以降の沖縄の歩みが集合的な無意識の表象=演劇・芸能のなかでどう展開されたのか?沖縄の場合、日本への同化がいつでも大きな課題になり、そして異化が続く。同化と異化が近代化の中でせり出してくるのである。
また日本演劇学会の今春のテーマは『東アジア演劇の伝統と西洋受容』だ。中国演劇研究の権威の瀬戸先生が西洋を全面に出されてきた。西洋と東洋、WEST & EASTだが、アジアの近代化の過程で西欧が鏡の役割をしていたりする。他者との対応の中で己が見えてくる構図だが、癒合、模倣、同化、離反、反発、包摂、創造、再創造、再アイデンティティ構築などなど、課題は興味深い。
中国現代演劇がどう伝統を包摂し、再創造につなげているのか、も興味深い。「沖縄演劇の伝統と西洋受容」の題で発表したい。これは以前から一つのテーマとして据えている課題である。
さて15日の発表に向けて中身を練り直さざるをえない。毛利先生、感謝です!少し頭を冷やして組み立てなおします。