志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

秋葉原の亡霊

2010-09-07 21:20:56 | グローカルな文化現象
  現代詩(本来縦書きを横書きで紹介します!できれば縦で読んでほしい!与那覇幹夫の詩!詩集に編まれる詩の一遍)


□… 亡霊 

労働者派遣法という代物を後ろ盾に
「社員だが‐社員ではない―」と
 日々、何十万もの派遣社員や契約社員が
白々と差別され、寒々と浮遊する
―それが平成日本ですが
 
二〇〇八年六月八日午後〇時三十分ごろ
 「文明とは喧騒だ」と定義するかのような
秋葉原の歩行者天国に、トラックで突入した
二十五歳の阿修羅に、彼固有の名前はない。
 彼は、幽かな靴音にも震える死刑囚のように
 「契約」の二文字に怯える、時代の囚人だ。
いや全く、「社員(ひと)だが‐社員(ひと)ではない―」と
思わずルビを振りたくなる、何十万という
平成の浮遊物体の、その中の一物体だ。
 
 (差別は 心貧しい者たちの 茶請けときくが)
 (この国は 心貧しい者たちの 住む国なのか)
 
 それにしても、時代は遥か江戸の、あの―、
制度の伏流水が、労働者派遣法と名を変え
国会で、滔々と噴出したのが―一九八六年七月。    
間口を、製造業まで広げたのが二〇〇四年三月。
これが、社員(ひと)だが‐社員(ひと)ではない者たちが
全く鼠算のように、この国で増殖した一切だ。
 
 (アア ワレヒトハ ナニヲセムトヤ ウマレケム)
 
 そうそれゆえ、あの秋葉原の年若い阿修羅は
 財界がほくそ笑む、禁断の労使関係の獣道に
赤ジュウタンを敷いた国会議員と、その者に
一票を投じた、破廉恥な国民の亡霊である。
 
 (利潤が匂えば 牛婚(うしたわけ)‐馬婚(うまたわけ)‐犬婚(いぬたわけ)も厭わず)
 (この国は 心貧しい者たちの 住む国なのか)
 
そして潮溜まり、派遣法という流れの岸には、
ヒトに非(あら)ずと放逐された派遣切り‐契約切れの
路上難民‐ネット難民が陸続となだれ、ついに
この国は、「持てる者」と「持たざる者」とに
二分化したが、向後、陽ざしの闇は一層深まり、
 人面(ひとづら)の魔物や亡霊、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が飛び交おう。見
るがいい、明るい陽ざしには魔物が棲んでいて
あの煌めく陽ざしが、人を魔物に変える。
 
 (ところで)ミショオの「悪魔祓い」を、思い
ついた矢先、あの悪食の鵯(ひよどり)が「神のしっぽ(☆)」
のようなヒモをくわえ、ビーチャイ、何処かえ
飛び去ったが、あれは一体、何の暗喩であろう。
  それが、母の死を知らされた
ときのように、さびしい
  

   ☆()の中のカタカナの行は「梁塵秘抄」の行句のバージョン。
   ☆「神のしっぽ」は、何方(どなた)の詩句か失念、申し分けありません。

<*著作権あり、引用禁止>
<ダッハウ強制収容所の檻>
*************
経営者幹部と労組が手に手をとって人間以下の存在を生み出す!?
その構造はあからさまである!同じ人間が同じ人間を殺し、虐殺に導く、日常の戦場?
ま昼間の静かな虐殺がシステムとして機能する、そのどちらかに貴方もワタシモ位置する?
右はガス室、左は重労働?飢え?そしてほくそ笑む者たち?!




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