志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

<詩> 母音 - 子音 (三)

2010-09-07 22:07:48 | 表象文化/表象文化研究会

母音‐子音(三)  与那覇幹夫
 
 
  □…地球は血糊を浴びて

 清々しい朝一番の空に
 ジェット雲が東から西へ
 スーッと鮮やかに伸びて
 瞬く間に、島を二分した。
 
 今日もまた、この島の空には          
 獰猛な金属(アルミ)の鳥が、轟々飛び交い
 無数のジェット雲が、隠喩か直喩か
 網目(マスク)メロンの、あの白い網のように
 陽ざし諸とも、島を覆うであろう。
 
 それにしても、この島を発進した
 金属(アルミ)の鳥や戦艦、あまたの将兵は
 (星条旗(アメリカン・ドリーム)をはためかせ―)
 これまで、何十万の命を標的にし
 また何十万の血を、流すのだろう。
 
 だが有史以来、夕空晴れても―
 この地上に、争いの絶え間はなく
 何くれと、人間の血がざわめくのは
バッファローの角、オオカミの牙
(そう、人間が――)
 〈本能の臍の緒〉を断ち切らぬまま
 余りにも早く、人間になり果(おお)せたゆ
えか
 
たぶん地球は―、
血糊を浴びて自転している。

 

<著作権あり!無断引用、盗用お断り!詩集に収録される詩篇>
<写真はミュンヘンのダッハウ強制収容所の檻>


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。