沖縄芝居の公演が増えているのは嬉しいのですが、なかなか全部見れない状態がもどかしい。自分のシンポジウムの企画や論稿、編集作業があり、また国際コロキアムでの研究発表もあり、時間がとれない。カタツムリの歩み、論稿を書くのが厳しい。様々な公演が花盛りなのはいいね。その全体をどう読み解くか、アートマネイジメントなど、そのノウハウは大和のブレインが中軸のようだ。東京の経験を沖縄へという流にも見えるが、沖縄独自の視線はどうなのだろう。佐藤 信さんなど、以前フィリッピンとの連携を推し進めていたと空覚えである。香港のダンさんやシンガポールのオンケンセンは今どうしているのだろうか?韓国の斬新な演出家や劇作家の登場も興味深い。台湾のコンテンポラリーダンスも勢いがある。東京・中央と異なる沖縄の創作の芽も出ているのだが、強烈に時代の深部を突き刺しながらかつ面白い井上ひさしさんなどの作品を髣髴させるものが出ていない現代沖縄演劇だ。
劇作家が育っていない。演出は伝統芸能を面白い手法で見せる術は獲得しているように見える。しかし、新たに沖縄そのものを、世界とのリンクの中で見据えた作品がまだ出ていない。組踊も古典と新作をセットでアジアに展開する視点も見えないのだが、今回のシンポジウムで見えてきただろうか?資金が潤沢に得られた現況で、マネイジメントが問われている。中身もだが、お能や歌舞伎や文楽、狂言、日本の現代演劇の経験を沖縄は独自に咀嚼しているという状況だが、沖縄の戦略が世界のウチナーンチュの輪の中でどう生かせるか?ハワイやアメリカでの体験・経験もある。
宮城美能留さんという先駆者もおられた。それらの先達の経験をどう現在に生かしているのだろうか?かつて真喜志康忠氏は世界に飛んで行くことはない。沖縄の芸能が優れていたら世界からここに見に来るはずだと、話していた。真喜志康忠さんらしい沖縄芝居役者、組躍保持者の矜持である。沖縄観光に来る方々が、沖縄の伝統芸能をいつでも見れる環境、またその芸の良さが問われるのだろう。堅苦しい劇場、単なる観賞とも異なる開けた空間もほしい。野外のあしびなー民俗芸能の良さももっとアピールしてほしい。多良間の八月踊りがなぜ人気が高いのか?ですね。毎年公演があって、多良間島の象徴になっていますね。また行きたいと思う。
何度も見たい、聞きたいと思える作品と出会いたい。
首里城内の北殿の前に三間四方の仮設舞台を創って組通を上演してほしい!
(ところで昨今のIPアクセスは認知度が高まったせいか、一日、500人前後と増えているのは興味深い。たまに600人を超えていたりする。)