志情(しなさき)の海へ

かなたとこなた、どこにいてもつながりあう21世紀!世界は劇場、この島も心も劇場!貴方も私も劇場の主人公!

約束の課題に応答するためにパソコンに向かったりして、時が流れ、ブログの更新ができなかったが~!

2023-09-03 01:58:04 | 詩、詩集
同人誌に出した詩のゲラが送られてきた。
いわゆるある女性との約束で彼女の物語を纏めることがいつも念頭にあって、去年、末期癌で亡くなった彼女の顔が浮かぶようになった。
という理由からでもないが、記憶をとどめるためにこのブログで書いていた雑文を散文詩にしていたのだ。その中で彼女のことばが、沖縄語(うちなーぐち)ゆえに、その表記で悩んだりして、今日知人にゲラを送って「どんな点でも、気になったところを指摘してほしい」と頼んだ。
 良かった。気が付かないところを指摘してくれたのだった。
 うちなーぐちの表記は難しい。ネットで沖縄語辞典があり、それも参照した。また『沖縄古語大辞典』も開いた。しかし漢字と沖縄語の関係があいまいな語が残っている。「洗いざらい私の人生を書いてほしい」と語った彼女は日本語と沖縄語をまぜて話していたので、どうしても沖縄語の口調が脳裏に浮かんでくる。物語として書き進めることも可能だが、詩にするとどうなるのだろうか、と思い立って、はじめてみた。物語をスライスして、様々なスタイルで暗喩をこめて書いてみるのも悪くないのかもしれない。
 沖縄語の口語表現であいまいな語は、沖縄芝居役者に明日にでも電話で確認しなければと思う。
 ところでこのブログに書こうと思ったのは、まだ片付けていない故人の部屋を、沖縄語辞典を探すために電気を付けたら、一つの詩集が目に入った。題名が『赤花(鼻)の島』だ。めくってみるとなかなかペーソスとユーモアが手をつないで書かれている詩集で面白いと思って、先ほどまで読んでいた。
 全編読んでみて、ユーモアとアイロニー、そしてやはりペーソスが込められた詩はごく身近な、沖縄では当たり前の対象やことばが踊っていて、言葉遊びも含めて面白い。いったいなかなかの力量のこの作者は誰かとネットで調べてみたら、驚いた。野原誠喜さん、1986年生まれだから現在37歳。そして琉球新報短編賞を受賞し、第53回九州芸術祭文学賞 で、沖縄地区優秀作に野原さんの小説「恋文翻訳家」が選ばれている 。そして連載している小説を一話だけ読んでみたが、面白いことが分かった。
連載小説・宮城亜茶子の生活と意見 第十回
 HUB沖縄というニュースネットで連載していたのらしい。宮城亜茶子の生活と意見の10回連載だったようだ。最終回を読んでみたら面白かった。
詩と小説をこなす才能ある方のようだ。注目!
 『赤花(鼻)の島』は、タイトルがよくないね。アカバナの咲く道化の島ということなのだろうけれど、当人の自嘲的なスタンスも、それなりに感じられるが、目の前の事象を見据える目線が飛躍したり、飛んだり跳ねたり、幻想や夢想の中を動きまわるが、それは沖縄の現実なんだ。「バス・ロマン」がリアルで空想が面白い。辻のソープランド街が竜宮城になるんだね。ペーソスとユーモアがあふれている。
 野原誠喜さんは、新しいスタイルで沖縄を切り開いていく詩人であり小説家としてさらに花開く方かもしれないね!自虐的なユーモアだろうか。飛躍する言葉のファンタジーも現実もゴーヤーチャンプルーのように料理しているようなのだ。新報短編賞を読んでみたい。かつて又吉栄喜さんや目取真 俊さんは琉球新報短編賞を受賞して後に芥川賞を受賞している。

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