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EACI News Weekly 第55号(1月29日号)
東アジア共同体研究所(East Asian Community Institute )
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「いいね!」で、東アジア共同体研究所の最新情報をお届けします。
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【目次】
【1】《今週のニュース 1/23-1/29》
政治(3)、経済(3)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.138》
2月1日(月)20時 第138回UIチャンネル生放送
「北朝鮮による拉致問題の真実」ゲスト:蓮池透氏
http://ch.nicovideo.jp/eaci/blomaga/ar957729
【3】《EACIレポート》
3月1日【鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台】に鳩山由紀夫理事長が登壇
【4‐1】《研究員コラム》
鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
「宜野湾市長選挙結果について」
【4‐2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「植民地『オキナワ』の始まり」
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【1】《今週のニュース 1/23-1/29》
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【政治】
■辺野古新基地建設を加速 防衛省、専従の3幹部ポスト増設
(沖縄タイムス 2016.1.27)
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=151438&f=i
■普天間問題、きょう新協議会 県、国に辺野古断念要求へ
(琉球新報 2016.1.28)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-211692.html
■拉致問題を「政治利用」してのし上がった安倍総理の罪と罰
(高野孟のTHE JOURNAL 2016.1.20)
http://www.mag2.com/p/news/140558
【経済】
■甘利氏辞任、TPPや経済政策への影響問う 海外報道
(日経新聞 2016.1.28)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H83_Y6A120C1FF1000/
■TPP参加国に驚き
(毎日新聞 2016.1.28)
http://mainichi.jp/articles/20160129/k00/00m/020/129000c
■田原総一朗「日本のAIIB不参加の本当の理由は『米国の顔色』」
(週刊朝日 2016.1.29)
http://dot.asahi.com/wa/2016012700049.html
【国際】
■台湾政権交代と東アジア
(毎日新聞 2016.1.22)
http://mainichi.jp/articles/20160122/ddm/004/070/034000c
■ジカ熱は「爆発的に拡大」 400万人感染の恐れ WHO
(AFP通信 2016.1.28)
http://www.afpbb.com/articles/-/3074963?pid=0
【社会】
■宮崎駿氏、新基地反対を再表明 「辺野古の海 残した方が沖縄の人のため」
(琉球新報 2016.1.29)
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-212375.html
■普天間か辺野古か「どっちか選べなんて酷だ」 疑問抱えながら宜野湾市民投票
(東京新聞 2016.1.25)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012502000130.html
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【2】《UIチャンネル放送予告 No.138》
2月1日(月)20時 第138回UIチャンネル生放送
「北朝鮮による拉致問題の真実」ゲスト:蓮池透氏
http://ch.nicovideo.jp/eaci/blomaga/ar957729
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2月1日(月)20時からの第138回UIチャンネル放送は、拉致被害者家族連絡会の元事務局長で昨年末に上梓された「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」の著者である蓮池透氏をゲストにお招きして鳩山友紀夫×高野孟×蓮池透鼎談「北朝鮮による拉致問題の真実」を生放送でお送り致します。
番組の予約・詳細はコチラから→ http://live.nicovideo.jp/gate/lv250332488
蓮池透氏プロフィール
1955年、新潟県に生まれる。東京理科大学工学部電気工学科卒業後、1977年、東京電力に入社。2002年、日本原燃に出向。同社燃料製造部副部長。核廃棄物再処理(MOX燃料)プロジェクトを担当。2006年、東京電力原子燃料サイクル部部長(サイクル技術担当)。2009年に東京電力を退社。1978年に北朝鮮に拉致された蓮池薫氏の実兄。北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の事務局長などを歴任する。 著書には、『奪還 引き裂かれた二十四年』 『奪還第二章 終わらざる闘い』(以上、新潮社)、
『拉致 左右の垣根を超えた闘いへ』 『私が愛した東京電力 福島第一原発の保守管理者として』 (以上、かもがわ出版)などがある。
番組内では質問を受け付けておりますので、コメント欄またはinfo@eaci.or.jpまでお寄せ下さい。
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【3】《EACIレポート》
3月1日【鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台】に鳩山由紀夫理事長が登壇
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3月1日に札幌で「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」が開催されます。「友愛と東アジア共同体構築」をテーマに当財団の鳩山由紀夫理事長が登壇します。詳細は以下を参照下さい。
★ ★ ★
柏艪舎では、鈴木邦男氏とゲストをお招きしてのシンポジウムを定期的に開催して「日本の分」について考えていきます。第18回 は、友愛の精神で「東アジア共同体」構想を実現すべく精力的に活動をつづける、元首相・鳩山由紀夫さんをお招きします。
■イベントページ
https://www.facebook.com/events/886271974800599/
【ゲスト】 鳩山由紀夫さん
(元首相・一般財団法人東アジア共同体研究所 理事長)
【テーマ】 友愛と東アジア共同体構築
【日 時】 2016年3月1日(火)18:00~20:30
【場 所】 札幌時計台ホール(札幌市中央区北1条西2丁目・札幌時計台2階)
【参加費】2,000円
【定員】150人 要予約(先着順で締め切ります)
【申込方法】FBからお申込みの方は、「参加する」にしてください。当日は受付でお名前をおっしゃってください。
*書籍の資料用に撮影、録音をさせていただきます。
どうぞご了承くださいませ。
【主催・問い合わせ】
株式会社 柏艪舎 可知佳恵
札幌市中央区北2条西3丁目1タケサトビル6階
Tel 011-219-1211 Fax 011-219-1210
y-kachi@hakurosya.com
■主催団体ページ
http://www.hakurosya.com/books/news.php?news_id=88
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【4‐1】《研究員コラム》
鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所理事)
「宜野湾市長選挙結果について」
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宜野湾の市長選挙は現職の勝利に終わりました。私も最終日に志村候補の応援に入り、支持者の輪の中で追い上げている感触はありましたが、残念ながら現職の壁は厚かったです。
選挙は激戦と言われ投票率も5%ほど上がりましたが、結果としてほとんど佐喜真候補に流れました。知事選挙を機に、自民と距離を置いた呉屋会長率いる金秀グループなどの経済界の支援があった中で、志村候補はなぜ票を上積みすることができなかったのでしょうか。
まず擁立が遅れた候補者の知名度の差と、自民、公明の推薦を受けた現職のこまめな運動量の差が挙げられます。そして、地元の普天間飛行場の早期返還のみで他市の問題である辺野古への移設に触れない「争点隠し」とも言えるような自公の戦略が「功を奏し」ました。給食費の減額問題など、市民にとって普天間移設以外のより切実な課題に対して、国との関係が良好な現職が新人候補に勝ったのだと思います。
しかし、辺野古への新基地移設反対を謳った昨年の翁長知事誕生の選挙では、宜野湾市で相手候補に8,000票もの差をつけたのは事実であり、今回の現職支持者の6割が辺野古新基地建設には反対しているというデータもあります。それは今回の投票者の4人のうちの3人が辺野古移設反対を示していることになります。普天間基地を有する宜野湾市で、これだけの方が辺野古移設反対を支持していることは素晴らしいことです。
政府与党はこの結果を受け、案の定、「直近の民意を得た」として、「不都合な真実は覆い隠し」、辺野古沖の埋め立て工事を更に推進する構えですが、「オール沖縄の絆」に些かのダメージもありません。さらに結束を固め、「辺野古NO!」の沖縄の民意を、国民全体の民意につながるよう、私たちもさらに理解と協力の輪を広げていきたいと思います。 ご協力をお願いいたします。
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【4-2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「植民地『オキナワ』の始まり」
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「フェンスをなくそう」≠「辺野古移設」
1月25日、朝5時。窓ガラスを叩く雨が砂礫のような
音を立てている。さてはみぞれかあられか、と窓を
開けてみたが、普通の雨だった。
昨夜遅く名護市ではみぞれが降ったようだ。沖縄本島では観測史上初めて。
本島北部の国頭村奥では3.1℃を記録した。県民は雪を見たことがない人が多い。
寒さにとまどうより、はしゃいでいる感じだ。
琉球新報には左に名護、久米島でみぞれ、右に大きく佐喜眞氏が再選の見出し。
こちらは心が寒くなる。
佐喜眞氏は「フェンスをなくそう」を繰り返した。市民は、その後のことまで考えない。
政府は、選挙中は工事をストップさせ、安倍首相は一地域の選挙で左右されることはない、と予防線を張り、徹底して辺野古隠しに努めた。翌日から、一転して辺野古容認が得られたとして、新基地を造る動きを加速させている
対立候補の志村恵一郎氏は、知名度がなく現職に敗れた。選挙対策本部長代行の伊波洋一氏(宜野湾市長を2期務めた)の評判が悪い。参院選挙の候補と目されていたがこれで難しくなった。現職・島尻あい子の発言が、県民感情をさかなでしていた。だから楽勝で伊波、と考えていた人が多い。伊波氏も同様ではなかったのか。候補擁立から選挙戦まで、陣営はまとまらず、選挙対選対本部は連日深夜まで議論を繰り返した。有効な手を打てないまま自滅した感がある。
自公のまきかえしが本格始動した。これからも政府は、辺野古移設を袖の下に隠し、普天間基地の「危険性除去」一本槍で選挙に臨むだろう。宜野湾市長選をふりかえって佐藤学沖縄国際大学教授は「オール沖縄は今から実体化しなければならない」と指摘した。
琉球新報(1月28日)に載ったコメントを紹介する。
「必死の思いでシュワブゲート前に座りこむ人々の思いを、多くの県民に広げてつなげるのは政治家の仕事だ。名護市民を踏みつけて宜野湾だけが明るい未来を求める、と解釈されかねない結果を生み出した県政・与党の責任は重い。」
植民地「オキナワ」の始まり
年末、年始に戦国時代から明治初期までをあつかった沖縄関連本を読んだ。時代が古い順番に並べると「世界史のなかの戦国日本」(村井章介著・ちくま学芸文庫)、「琉球王国衰亡史」(嶋津与志・平凡社ライブラリー)、「小説琉球処分」(大城立裕・ケイブンシャ文庫上下)。―以下、「戦国日本」、「衰亡史」、「琉球処分」と略す。
「戦国日本」は、「16世紀から17世紀前半の日本列島および周辺地域・海域の歴史」を取り上げている。陸と海、日本史と世界史をつなぎあわせて考えている。当たり前のことだが、
日本の歴史は陸地内に限られたり、世界史と無関係に進んできた訳ではない。また海からの視点、だけが重要な役割を担った訳ではない。「むしろアジア自身のなかで(略)大きなうねりが生じていた。」。「日本史における統一権力の登場、中世から近世への移行」、「中国における明清交代という世界システムの激変」があった。
第3章、「古琉球の終焉」の冒頭に、琉球の進貢船の絵が載っている。キャプションは
「中国との正式の外交を担う進貢船の派遣は、中世~近世の琉球にとって、もっとも
大事なイベントだった。」
この交流は最初から首里城が一元的に行っていたのではない。
「1368年に明朝が成立してまもなく、沖縄本島に分立した中山・山南・山北三つの王権(三山)は競うように朝貢を始める。」
(注・緒方―普通は中山、南山、北山と呼ぶ。山南・山北という表現は初めて聞いた)。
明が欲しかったのは馬と硫黄であった。明は海禁策を取り、琉球を特別扱いにする。船を送り人を派遣し、子弟を国子監(当時の国立大学)に受け入れるなどである。名残が那覇中心部より海岸よりに広がる久米にある。いまも孔子廟、福州園が建てられ、松山公園内の進貢船をかたどった石碑には久米三十六姓の名前が刻まれている。
500年以上も続く中国との交流。この間に中国は琉球を乗っ取ろうとは考えなかった。だから今でも沖縄島の住民は中国に親しみを持つ。
「中国は攻めてこなかったけど、アメリカは攻めてきた。」と聞いたことがある。この事実に重ねて復帰後の日本のパフォーマンスが、アメリカの冷酷な代理人と映る。
「こんな国(注・緒方―日本のこと)と一緒にやって行けるか」とも聞いた。
「戦国日本」に戻ろう。進貢船派遣は、おみやげ一杯のおいしい仕事だった。しかし良いことずくめではない。1474年、福州で殺人・放火事件が起こる。琉球国から派遣された役人たちの仕業だ。早速、明は懲罰として二年に一度来れば良い、と云い渡す。中継貿易に頼る琉球王国にとっては死活問題だ。1478年に即位した尚真王は一年一貢に戻してくれと頼むが、聞き入れられない。その理由を中国皇帝あての内部文書が語っている。
「王尚円がなくなって、その世子尚真が、一年一貢の復帰を願って、先朝の洗礼をもちだし、諸夷を制御する役に立ちたいといってきた。しかし実状を調べてみると、中国との貿易を図ったものにすぎない。いわんや近年の都御史からの報告によれば、琉球の使臣は多くは逃亡した福建人だという。ずるがしさはかぎりなく、殺人・放火におよび、また中国の物資を買って外夷の利益をむさぼろうとしている。その要求には従いがたい。」
久米三十六姓の末裔は、沖縄に沢山いる。たいていは祖先が中国皇帝から遣わされた貴族のように考え、誇りを持っている。「(私たちの祖先は)最近の金儲けの中国人たちとは違う」と聞かされたこともある。しかし実態は「殺人・放火犯」!。
この文書は、中国皇帝あての内部報告書だから、その時の国際政治の反映でもあるだろう。既に明は東南アジアとの直結ルートを築き、琉球を優遇する理由はなくなっていた。
進貢・冊封体制はなんと明治の初期まで続く。
第6章、「統一権力登場の世界史的意味」では、近世日本の「四つの口」が挙げられている。
「もちろん、近年の日本近世史学会では、長崎だけを「鎖国日本」の窓口としてみるのではなく、対馬を通じての朝鮮との関係(対馬口)、松前を通じての蝦夷地との関係(松前口)、薩摩を通じての琉球・中国南部との関係(薩摩口)の三つを加えて、<四つの口>として把握し、それらの総体として近世の対外関係を考える視点が一般化しつつある。」
日本を開国するための「鍵穴」
「琉球王国衰亡史」で、島津斉彬は次のように描かれている。
「愛用の地球儀をくるくる回しながら、蘭学師匠のような磊落さで、世界の形勢と解き聞かせるのであった。」
斉彬は海運の充実を計る。蒸気船を求め海外への雄飛を進めていた。
「貴国に逗留する英人宣教師がいみじくも言うたではないか。なにゆえ仏英米の艦隊が琉球にまっさきに殺到して来たか。琉球は日本を開国せんがための鍵穴にひとしい、と。武力にまかせて鍵穴をぶっこわしては元も子もない。しかるがゆえに琉球にたいして諸国は干戈を交えることなく和談におよぶと。これはけだし琉球が末々まで心すべきことであろう。しからば、此方にも考えがあろうというもの。向うから開けられる鍵穴ならば、此方からも開けられるが道理、琉球は長崎の出島と同様にわが国が海外に雄飛してゆく玄関口である。琉球はもとより身に寸鉄をおびぬ文治の国柄、これまでの異国人の硬談判にもよくぞ柔をもって国難を防いできた。これこそ琉球が諸国に誇るべき取柄ではないか。」
仏英米の艦隊が、武力にものいわせて琉球を強奪しなかったのは、鎖国日本を開国させるための重要な鍵穴と見ていたのだ。ちなみに英人宣教師とは民謡にも残る(カラオケまである)ベッテルハイムのことだ。西武門節(にしんじょうぶし)の囃子に「がんちょう ふるがんちょう ちゃんなぎれ」(眼鏡 古眼鏡 は捨てなさい)と入る。古い眼鏡(古女房)は捨てて新しい(私という)女と一緒になりましょう、と呼びかける歌だ。ベッテルハイムは当時珍しいがんちょう(眼鏡)をかけていた。
大久保利通の怒り
小説 琉球処分(大城立裕著)は明治5年の琉球の描写から始まる。明治4年に全国に廃藩置県が施行されたが、まだ琉球は独立国としての面目を保っていた。やがて宮古島民が台湾で殺害され、明治政府は台湾へ出兵を強行する。その後、休戦の始末について清国がのらりくらりとしていて埒があかない。大久保は明治7年に北京へ赴く。日本帝国として初めて賠償をとることになるが、「北京外交」は並大抵の苦労ではなかった。
「なに。琉球の進貢使が到来した?」
大久保全権は、思わず訊きかえすほど、驚いた。
10月18日、交渉はちょうど最高潮というところで、大久保の辛苦も頂点に達していた。かれのいちばんの苦労は、北京駐在の外国使節たちが、みな清国がわに支援を与えて、大久保を圧迫したことであった。これは台湾征討に踏み切るまでのかれの予測を完全に裏切るものであった。かれにはフランス人のギュスタフ・ボアソナードが法律顧問でついていたが、完全に孤立し、たびたび決裂、開戦の危機にひんしていた。
「このような苦労も、もとはといえば琉球のためにしているのだというのに、いまだに清国に朝貢するとは。・・・・・よし会ってみよう」
進貢使は宮廷内にいた。清国政府を通じて対面を申し入れると、清国はこれをことわった。清国朝廷は、明らかに満悦であった。この満悦の胸中は、大久保の憤懣(ふんまん)とまさに正反対のものであった。つまり―進貢使たちは、到着するとただちに、清国朝廷に服従を誓う儀式を、伝来の習慣どおり取り行なって疑わなかった。かれらは黙々と、あるいはしらじらしく日本を裏切っていた。それはいかにも清国への絶対の忠誠を示していた。」
21世紀の現在、斉彬のような開明的な政治家は不在、大久保のような強権主義者がのさばっている。
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【目次】
【1】《今週のニュース 1/23-1/29》
政治(3)、経済(3)、国際(2)、社会(2)
【2】《UIチャンネル放送予告 No.138》
2月1日(月)20時 第138回UIチャンネル生放送
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【3】《EACIレポート》
3月1日【鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台】に鳩山由紀夫理事長が登壇
【4‐1】《研究員コラム》
鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所理事長)
「宜野湾市長選挙結果について」
【4‐2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
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【政治】
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■ジカ熱は「爆発的に拡大」 400万人感染の恐れ WHO
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■宮崎駿氏、新基地反対を再表明 「辺野古の海 残した方が沖縄の人のため」
(琉球新報 2016.1.29)
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■普天間か辺野古か「どっちか選べなんて酷だ」 疑問抱えながら宜野湾市民投票
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蓮池透氏プロフィール
1955年、新潟県に生まれる。東京理科大学工学部電気工学科卒業後、1977年、東京電力に入社。2002年、日本原燃に出向。同社燃料製造部副部長。核廃棄物再処理(MOX燃料)プロジェクトを担当。2006年、東京電力原子燃料サイクル部部長(サイクル技術担当)。2009年に東京電力を退社。1978年に北朝鮮に拉致された蓮池薫氏の実兄。北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)の事務局長などを歴任する。 著書には、『奪還 引き裂かれた二十四年』 『奪還第二章 終わらざる闘い』(以上、新潮社)、
『拉致 左右の垣根を超えた闘いへ』 『私が愛した東京電力 福島第一原発の保守管理者として』 (以上、かもがわ出版)などがある。
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【3】《EACIレポート》
3月1日【鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台】に鳩山由紀夫理事長が登壇
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3月1日に札幌で「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」が開催されます。「友愛と東アジア共同体構築」をテーマに当財団の鳩山由紀夫理事長が登壇します。詳細は以下を参照下さい。
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柏艪舎では、鈴木邦男氏とゲストをお招きしてのシンポジウムを定期的に開催して「日本の分」について考えていきます。第18回 は、友愛の精神で「東アジア共同体」構想を実現すべく精力的に活動をつづける、元首相・鳩山由紀夫さんをお招きします。
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【ゲスト】 鳩山由紀夫さん
(元首相・一般財団法人東アジア共同体研究所 理事長)
【テーマ】 友愛と東アジア共同体構築
【日 時】 2016年3月1日(火)18:00~20:30
【場 所】 札幌時計台ホール(札幌市中央区北1条西2丁目・札幌時計台2階)
【参加費】2,000円
【定員】150人 要予約(先着順で締め切ります)
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「宜野湾市長選挙結果について」
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宜野湾の市長選挙は現職の勝利に終わりました。私も最終日に志村候補の応援に入り、支持者の輪の中で追い上げている感触はありましたが、残念ながら現職の壁は厚かったです。
選挙は激戦と言われ投票率も5%ほど上がりましたが、結果としてほとんど佐喜真候補に流れました。知事選挙を機に、自民と距離を置いた呉屋会長率いる金秀グループなどの経済界の支援があった中で、志村候補はなぜ票を上積みすることができなかったのでしょうか。
まず擁立が遅れた候補者の知名度の差と、自民、公明の推薦を受けた現職のこまめな運動量の差が挙げられます。そして、地元の普天間飛行場の早期返還のみで他市の問題である辺野古への移設に触れない「争点隠し」とも言えるような自公の戦略が「功を奏し」ました。給食費の減額問題など、市民にとって普天間移設以外のより切実な課題に対して、国との関係が良好な現職が新人候補に勝ったのだと思います。
しかし、辺野古への新基地移設反対を謳った昨年の翁長知事誕生の選挙では、宜野湾市で相手候補に8,000票もの差をつけたのは事実であり、今回の現職支持者の6割が辺野古新基地建設には反対しているというデータもあります。それは今回の投票者の4人のうちの3人が辺野古移設反対を示していることになります。普天間基地を有する宜野湾市で、これだけの方が辺野古移設反対を支持していることは素晴らしいことです。
政府与党はこの結果を受け、案の定、「直近の民意を得た」として、「不都合な真実は覆い隠し」、辺野古沖の埋め立て工事を更に推進する構えですが、「オール沖縄の絆」に些かのダメージもありません。さらに結束を固め、「辺野古NO!」の沖縄の民意を、国民全体の民意につながるよう、私たちもさらに理解と協力の輪を広げていきたいと思います。 ご協力をお願いいたします。
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【4-2】《研究員コラム》
緒方修(東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター長)
「植民地『オキナワ』の始まり」
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「フェンスをなくそう」≠「辺野古移設」
1月25日、朝5時。窓ガラスを叩く雨が砂礫のような
音を立てている。さてはみぞれかあられか、と窓を
開けてみたが、普通の雨だった。
昨夜遅く名護市ではみぞれが降ったようだ。沖縄本島では観測史上初めて。
本島北部の国頭村奥では3.1℃を記録した。県民は雪を見たことがない人が多い。
寒さにとまどうより、はしゃいでいる感じだ。
琉球新報には左に名護、久米島でみぞれ、右に大きく佐喜眞氏が再選の見出し。
こちらは心が寒くなる。
佐喜眞氏は「フェンスをなくそう」を繰り返した。市民は、その後のことまで考えない。
政府は、選挙中は工事をストップさせ、安倍首相は一地域の選挙で左右されることはない、と予防線を張り、徹底して辺野古隠しに努めた。翌日から、一転して辺野古容認が得られたとして、新基地を造る動きを加速させている
対立候補の志村恵一郎氏は、知名度がなく現職に敗れた。選挙対策本部長代行の伊波洋一氏(宜野湾市長を2期務めた)の評判が悪い。参院選挙の候補と目されていたがこれで難しくなった。現職・島尻あい子の発言が、県民感情をさかなでしていた。だから楽勝で伊波、と考えていた人が多い。伊波氏も同様ではなかったのか。候補擁立から選挙戦まで、陣営はまとまらず、選挙対選対本部は連日深夜まで議論を繰り返した。有効な手を打てないまま自滅した感がある。
自公のまきかえしが本格始動した。これからも政府は、辺野古移設を袖の下に隠し、普天間基地の「危険性除去」一本槍で選挙に臨むだろう。宜野湾市長選をふりかえって佐藤学沖縄国際大学教授は「オール沖縄は今から実体化しなければならない」と指摘した。
琉球新報(1月28日)に載ったコメントを紹介する。
「必死の思いでシュワブゲート前に座りこむ人々の思いを、多くの県民に広げてつなげるのは政治家の仕事だ。名護市民を踏みつけて宜野湾だけが明るい未来を求める、と解釈されかねない結果を生み出した県政・与党の責任は重い。」
植民地「オキナワ」の始まり
年末、年始に戦国時代から明治初期までをあつかった沖縄関連本を読んだ。時代が古い順番に並べると「世界史のなかの戦国日本」(村井章介著・ちくま学芸文庫)、「琉球王国衰亡史」(嶋津与志・平凡社ライブラリー)、「小説琉球処分」(大城立裕・ケイブンシャ文庫上下)。―以下、「戦国日本」、「衰亡史」、「琉球処分」と略す。
「戦国日本」は、「16世紀から17世紀前半の日本列島および周辺地域・海域の歴史」を取り上げている。陸と海、日本史と世界史をつなぎあわせて考えている。当たり前のことだが、
日本の歴史は陸地内に限られたり、世界史と無関係に進んできた訳ではない。また海からの視点、だけが重要な役割を担った訳ではない。「むしろアジア自身のなかで(略)大きなうねりが生じていた。」。「日本史における統一権力の登場、中世から近世への移行」、「中国における明清交代という世界システムの激変」があった。
第3章、「古琉球の終焉」の冒頭に、琉球の進貢船の絵が載っている。キャプションは
「中国との正式の外交を担う進貢船の派遣は、中世~近世の琉球にとって、もっとも
大事なイベントだった。」
この交流は最初から首里城が一元的に行っていたのではない。
「1368年に明朝が成立してまもなく、沖縄本島に分立した中山・山南・山北三つの王権(三山)は競うように朝貢を始める。」
(注・緒方―普通は中山、南山、北山と呼ぶ。山南・山北という表現は初めて聞いた)。
明が欲しかったのは馬と硫黄であった。明は海禁策を取り、琉球を特別扱いにする。船を送り人を派遣し、子弟を国子監(当時の国立大学)に受け入れるなどである。名残が那覇中心部より海岸よりに広がる久米にある。いまも孔子廟、福州園が建てられ、松山公園内の進貢船をかたどった石碑には久米三十六姓の名前が刻まれている。
500年以上も続く中国との交流。この間に中国は琉球を乗っ取ろうとは考えなかった。だから今でも沖縄島の住民は中国に親しみを持つ。
「中国は攻めてこなかったけど、アメリカは攻めてきた。」と聞いたことがある。この事実に重ねて復帰後の日本のパフォーマンスが、アメリカの冷酷な代理人と映る。
「こんな国(注・緒方―日本のこと)と一緒にやって行けるか」とも聞いた。
「戦国日本」に戻ろう。進貢船派遣は、おみやげ一杯のおいしい仕事だった。しかし良いことずくめではない。1474年、福州で殺人・放火事件が起こる。琉球国から派遣された役人たちの仕業だ。早速、明は懲罰として二年に一度来れば良い、と云い渡す。中継貿易に頼る琉球王国にとっては死活問題だ。1478年に即位した尚真王は一年一貢に戻してくれと頼むが、聞き入れられない。その理由を中国皇帝あての内部文書が語っている。
「王尚円がなくなって、その世子尚真が、一年一貢の復帰を願って、先朝の洗礼をもちだし、諸夷を制御する役に立ちたいといってきた。しかし実状を調べてみると、中国との貿易を図ったものにすぎない。いわんや近年の都御史からの報告によれば、琉球の使臣は多くは逃亡した福建人だという。ずるがしさはかぎりなく、殺人・放火におよび、また中国の物資を買って外夷の利益をむさぼろうとしている。その要求には従いがたい。」
久米三十六姓の末裔は、沖縄に沢山いる。たいていは祖先が中国皇帝から遣わされた貴族のように考え、誇りを持っている。「(私たちの祖先は)最近の金儲けの中国人たちとは違う」と聞かされたこともある。しかし実態は「殺人・放火犯」!。
この文書は、中国皇帝あての内部報告書だから、その時の国際政治の反映でもあるだろう。既に明は東南アジアとの直結ルートを築き、琉球を優遇する理由はなくなっていた。
進貢・冊封体制はなんと明治の初期まで続く。
第6章、「統一権力登場の世界史的意味」では、近世日本の「四つの口」が挙げられている。
「もちろん、近年の日本近世史学会では、長崎だけを「鎖国日本」の窓口としてみるのではなく、対馬を通じての朝鮮との関係(対馬口)、松前を通じての蝦夷地との関係(松前口)、薩摩を通じての琉球・中国南部との関係(薩摩口)の三つを加えて、<四つの口>として把握し、それらの総体として近世の対外関係を考える視点が一般化しつつある。」
日本を開国するための「鍵穴」
「琉球王国衰亡史」で、島津斉彬は次のように描かれている。
「愛用の地球儀をくるくる回しながら、蘭学師匠のような磊落さで、世界の形勢と解き聞かせるのであった。」
斉彬は海運の充実を計る。蒸気船を求め海外への雄飛を進めていた。
「貴国に逗留する英人宣教師がいみじくも言うたではないか。なにゆえ仏英米の艦隊が琉球にまっさきに殺到して来たか。琉球は日本を開国せんがための鍵穴にひとしい、と。武力にまかせて鍵穴をぶっこわしては元も子もない。しかるがゆえに琉球にたいして諸国は干戈を交えることなく和談におよぶと。これはけだし琉球が末々まで心すべきことであろう。しからば、此方にも考えがあろうというもの。向うから開けられる鍵穴ならば、此方からも開けられるが道理、琉球は長崎の出島と同様にわが国が海外に雄飛してゆく玄関口である。琉球はもとより身に寸鉄をおびぬ文治の国柄、これまでの異国人の硬談判にもよくぞ柔をもって国難を防いできた。これこそ琉球が諸国に誇るべき取柄ではないか。」
仏英米の艦隊が、武力にものいわせて琉球を強奪しなかったのは、鎖国日本を開国させるための重要な鍵穴と見ていたのだ。ちなみに英人宣教師とは民謡にも残る(カラオケまである)ベッテルハイムのことだ。西武門節(にしんじょうぶし)の囃子に「がんちょう ふるがんちょう ちゃんなぎれ」(眼鏡 古眼鏡 は捨てなさい)と入る。古い眼鏡(古女房)は捨てて新しい(私という)女と一緒になりましょう、と呼びかける歌だ。ベッテルハイムは当時珍しいがんちょう(眼鏡)をかけていた。
大久保利通の怒り
小説 琉球処分(大城立裕著)は明治5年の琉球の描写から始まる。明治4年に全国に廃藩置県が施行されたが、まだ琉球は独立国としての面目を保っていた。やがて宮古島民が台湾で殺害され、明治政府は台湾へ出兵を強行する。その後、休戦の始末について清国がのらりくらりとしていて埒があかない。大久保は明治7年に北京へ赴く。日本帝国として初めて賠償をとることになるが、「北京外交」は並大抵の苦労ではなかった。
「なに。琉球の進貢使が到来した?」
大久保全権は、思わず訊きかえすほど、驚いた。
10月18日、交渉はちょうど最高潮というところで、大久保の辛苦も頂点に達していた。かれのいちばんの苦労は、北京駐在の外国使節たちが、みな清国がわに支援を与えて、大久保を圧迫したことであった。これは台湾征討に踏み切るまでのかれの予測を完全に裏切るものであった。かれにはフランス人のギュスタフ・ボアソナードが法律顧問でついていたが、完全に孤立し、たびたび決裂、開戦の危機にひんしていた。
「このような苦労も、もとはといえば琉球のためにしているのだというのに、いまだに清国に朝貢するとは。・・・・・よし会ってみよう」
進貢使は宮廷内にいた。清国政府を通じて対面を申し入れると、清国はこれをことわった。清国朝廷は、明らかに満悦であった。この満悦の胸中は、大久保の憤懣(ふんまん)とまさに正反対のものであった。つまり―進貢使たちは、到着するとただちに、清国朝廷に服従を誓う儀式を、伝来の習慣どおり取り行なって疑わなかった。かれらは黙々と、あるいはしらじらしく日本を裏切っていた。それはいかにも清国への絶対の忠誠を示していた。」
21世紀の現在、斉彬のような開明的な政治家は不在、大久保のような強権主義者がのさばっている。
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