志情(しなさき)の海へ

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『地元を生きる』を読んだ。去年購入して序章と1章だけ読んでいた。ノンフィクションの物語のように興味深く読んだが~!

2021-03-26 22:09:58 | 沖縄の過去・現在・未来
沖縄の階層と共同性がテーマのインタビュー形式のドキュメント!科研研究の報告書の様相もあるのだろうか。ひとくくりにされる沖縄イメージに対して沖縄の地元とはなにかの問を立てて、4人の研究者がインタビュー形式を土台に、一部フィールドエスノグラフィー的にまとめている。内部の差異と構造を1.安定層の生活史、2.中間層の共同体、3.不安定層の男たち、4.不安定層の女たち(章の見出しは一人で生きる)で全部で5章からなっている。すでに著書のアウトラインもBook Reviewもいろいろ紹介されている。沖縄の共同性の多様性を具体的に個々の階層の集団や個人にインタビューし、まとめている。すでに最後の章の上間陽子さんは「裸足で逃げる』(2017)の著書で展開している少女の一人についてさらに中身を充実させたナンフィクヨンになっていて、打越正行さんのテーマの章は『ヤンキーと地元』(2019)ですでにまとめられている。排除される不安定層の男たちは、しーじゃとうっとぅの上下関係と暴力、暴走族と建築業、その現場のしんどさや逃げられないパシリの構造など、興味深い。このドキュメントでは個々の物語風ですんなり読ませる。ライフストーリーになっている。10年後の彼らはさらにどう変わっているだろうか。時間感覚の欠如が続いていくのだろうか。

岸 政彦さんの「安定層の生活史」はなんとなくダラダラと聞き取りした中身をまとめている感じもした。安定した公務員や学校の先生の語りで最後の女性はどうも執筆者の上間陽子さんへのインタビューになっているのらしい。ジェンダーと結びつける意味合いだったのか、地元との距離という意味で、その脱出の手段としての進学という事例がちょっと安直に思えたのだが、それだけかと~。

上原健太郎さんの「没入 中間層の共同体」はいかにも地縁、血縁の絆を元にした水平的な沖縄の現在に見えた。学歴によって階層を区分けしているが、それには必ずしも当てはまらないのではないか、と思ったのは、中学卒でも会社を経営し、独自の人脈で成功している事例も意外と多いこともありえる。学齢云々より地縁・血縁がまだまだ大きい島社会沖縄なのでは?と思うのだが、実際どうなのだろう。居酒屋を経営している面々の姿はかなり重なっていくようだ。彼らの互酬性は郷友会(どれほどの結びつきを持っているのか、すでに関連する著書は発行されているようだ)共々どのように推移しているのだろうか。

沖縄の共同性の現在がそれぞれの階層の固有な関係性の中から見えてきたのは良かった。沖縄とは何だろう。流通する画一商品のように、はいこれよと出せそうで出せない多様な装いを持っている。調査され分析される沖縄に生きる者として、発見があったのも事実で、一方で越境しあう階層間の関係性や地域性はどうなのだろうと、更に踏み込んだ社会の諸相が立ち現れて来ることを期待したい。沖縄という地元、更に細分化された地元がある。

例えば映像ドキュメントによるミネソタの黒人と白人家族の物語、貧困との闘いは家族の30年にわたる物語でそれも社会をえぐりとるエスノグラフィだった。

この手法で他のテーマでも聞き取りを中心にまとめたいテーマなどが浮かんでくる。物語をどう編み込んでいくか~。





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