国立劇場おきなわ『9月自主公演ステージガイド』には詳細が紹介されています。伊良波賢弥寄稿「首里系組踊の歴史と伝承」は手堅いです。どなたが首里系組踊について深く追求していくのだろうか、と思っていたら、新作組踊の創作で注目された伊良波さんが取り組んでいるのですね。
おそらく組踊の原型を追求すると、金武良章の首里系を深く検証していくことが問われます。本年が金武良仁の生誕150年という記念すべき節目だという事も必然な展開としての、この国立劇場おきなわでの公演という事になるのでしょう。
ただステージとしては、国立劇場おきなわは原型ではありえないので、首里に
本式の組踊劇場が建立されてほしいと思っています。おそらく多良間の八月踊りの舞台形式の方が原型に近いのではと考えています。また組踊や舞踊の立ち方や足の運びも琉球王朝時代に近いでしょう。茣蓙の上で上演していた事も史実として記録されています。すり足は近代になってからです。
「組踊の原型の足遣いは、すり足ではなく、踵を上げて歩く「跳ね足」と呼ばれるものでした。これは、組踊が能や狂言などの日本芸能から影響を受けたというよりも、中国の演劇や閩劇などから多くの要素を取り入れたことによるものです。跳ね足は、中国の演劇では一般的な足遣いであり、組踊でもそのまま採用されました。組踊の創始者である玉城朝薫は、中国からやって来た冊封使を歓待するために、琉球独自の芸能と中国や日本の芸能を融合させて組踊を創作しました。そのため、組踊には様々な文化的背景が反映されています。 」←これはWEBチャットの返答ですが、多良間の八月踊りの組踊の足遣いを見ると決してすり足ではありません。
どうも金武流もまた足遣いが異なります。「つま先から突っ込んでいく歩み」そして「波立てぃり」(頭が波のうねりのように高くなったり低くなったりする歩み)と知念績有さんは話しています。渡嘉敷流の足遣いも他の流派とは異なります。源流をたどっていくと、驚きが待っていますね。伊良波賢弥さんはその点については言及していませんが、踊りの所作の違いや唱えの違いなどなど興味深いです。
組踊も古典踊りも変容してきています。雑踊りは近代の創作なので、大きな違いはないのかもしれないのですが、すり足とガマクの入れ方など、それも近代の変化が見られます。ジュリ馬踊りにしても戦前と現在とは微妙に異なります。ガマクが入っているか否かは小さいようで大きいです。
さてこの自主公演、玉城盛重系の組踊との違いは何なのか、興味深々ですね。