(いつもこの黄緑の鮮やかさに心が浮き立つ!)
(ただその論文は資料も盛りだくさんでここに転載できない。ぜひ直接読んでほしい。「マスコミに載らない海外記事」とGOOGLEさんなどに打ち込めばアクセス可能)以下は評判のいい翻訳エッセイの転載です。直接ぜひどうぞ!英語原文サイトにも飛べます。)
所有せざる多数派
Dr. Paul Craig Roberts
2012年8月8日
paulcraigroberts.org
おんぼろな小型トラックのバンパー・ステッカーにこう書いてあった。“友よ、友人達には民主党に投票させるな。”
ドライバーは明らかに裕福ではなかった。それでも、顧客をだまして利益を挙げる強欲銀行幹部を救済するための何兆ものドル、金融詐欺師や、中流階級の雇用をアメリカ外に出してしまった大企業CEOの想像を絶する何百万ドルものボーナス報酬体系等に関するあらゆるニュースにもかかわらず、何かが困窮した小型トラック・ドライバーを大金持ちの政党と結びつけたのだ。
赤貧と超金持ちのこの奇妙な同盟を不思議に思いながら、2004年にトーマス・フランクが、貧しい人々に、貧者達の最善の利益に反する投票をさせるよう説得するのに共和党が、どうやって成功したか疑問に思ったのを思い出した。フランクの答え、あるいは彼の答えの一部は、共和党は、ゲイの結婚や、ジャネット・ジャクソンのあらわになった乳首のような“社会問題”を利用して、リベラルな民主党が倫理観に対してもたらす脅威を巡る憤りをでっち上げたというものだった。
民主党に投票することは、ワーキング・プアーからの税金として得たドルを、働いていないプアーにあげ、医療や教育を不法入国外国人に与え、テロに寛大になることを意味するという、共和党のプロパガンダに、ワーキング・プアーは説得されたのだ。
小型トラックのドライバーにとって、アメリカのために立ち上がるというのは、顧客をだまして利益を挙げる強欲な銀行幹部の救済や、軍安保複合体の何百万ドルもかかる戦争を支持して立ち上がることを意味している。
カール・ローブの不正工作チームが、共和党プロパガンダを磨き上げた。オバマがイスラム教徒だとか、マルクス主義者だとか、オバマが洗脳された大統領候補で、アメリカを新世界秩序や、国連や、何か他の卑劣な陰謀を企む組織に引き渡すのだ、といった類の無数のたわごとをお互いに電子メールで送りあっている。だがオバマはウオール街、軍安保複合体や、イスラエルに、アメリカを引き渡したといって非難されることは決してない。
電子メールの非難の根拠や例証は決して示されない。そうした言葉は共和党が聞きたがっているものなので、根拠や証拠は一切不要なのだ。オバマがイスラム教徒ならば、なぜ彼はイスラム教徒を7ヶ国で殺害しているのか、あるいは、なぜウオール街や軍安保複合体がマルクス主義者をホワイト・ハウスに送り込みたがるのかと、連中に質問すれば、連中真っ赤になって怒るだろう。非難に加わるのでなく、分かりきった質問をしてみるだけで、「国の為に立ち上がろうとしないオバマのカモ連中によって、アメリカが脅かされているのだ」というプロパガンダを確認できる。
福祉、メディケイド、オバマケアや、公立学校に激怒する裕福でない人々は、既知の事実から正確な結論を引き出すことができないもののようだ。顧客をだまして利益を挙げる強欲銀行幹部救済用の7500億ドルもの不良資産救済プログラムのごく一部だけで、こうした予算のどんな穴でも長期間、十分に賄えたはずだ。ところが、その金は、金融危機を引き起こし、何百万人ものアメリカ人を家から追い出した連中の報酬に化けた。私の知る限り、小型トラックのドライバーは所有せざるものの一人だ。
オバマケアに反対して激怒し、ロムニーに投票しようと列をなしている、洗脳されたまさに同じアメリカ人達は、東部のリベラルで民主的なマサチューセッツ州知事時代に、ロムニーが州レベルでロムニー版オバマケアを制定していた事実を忘れているのだ。
オバマケアの最大の皮肉は、それが民営保険会社によって作成されたもので、メディケイドやメディケア資金を連中の利益に振り向けるものだということだ。それは確かに医療制度の社会化だが、民営保険会社にとっての社会主義なのだ。
共和党支持者の多い州を、イラクとアフガニスタン戦争に6兆ドル浪費している軍安保複合体を支持するよう説得するには、黄色いリボンの転写ステッカーと“軍隊を支持しよう”スローガンだけで十分だった。
オバマはシリアや、対イランや、イスラエル支持の為には決して立ち上がらないと共和党は主張する。ところが共和党は、ロムニーがイスラエルに出かけ、イラン攻撃を警告するため、イスラエル軍幹部を“臆病者”と呼んだ、狂って血に飢えたイスラエル首相ネタニヤフに迎合して腹這いになるのを誇りにする。ロムニーはネタニヤフにこう言ったのだ。何でも、私がすべきことをおっしゃってくだされば、私はやりますから。私はイスラエルに忠実です。どうやら、熱狂的な共和党の愛国者達は、自分達の大統領候補が、自分が大統領の座につくやいなや、アメリカ外交政策を、ネタニヤフに引渡し、ネタニヤフのために、より多くのアメリカ人を死や破産に追いやりますと宣誓しても気にしないようだ。
共和党支持者の多い州の人々を、自分達の終焉を支持させるように洗脳するのに、カール・ローブには何の苦労もない。小型トラックのドライバーは“民主党を支持してはいけない。彼はあなたに何かをするかもしれない。”と書いてあるバンパー・ステッカーを誇示していて不思議はなかった。
そう、私は知っている。それは民主党を叩きのめすのと同じくらい簡単だ。ブッシュとチェイニーや連中のネオコンならずもの連中は憲法を破壊し、そして、アメリカを破壊した。しかし民主党が彼らにそうさせたのだ。下院議長として、ブッシュ弾劾は“議題にしない”と断固として宣言したのは、ナンシー・ペロシだった。
ブッシュとチェイニーは疑いなく、アメリカ法と国際法と憲法に違反した。ナンシー・ペロシが連中に責任を問うのを拒否したことは、行政府は最早法律や憲法に責任を持たないという前例を確立したことになる。実際、行政府は今や専制権力だ。行政府は法律や憲法上の制限の埒外で行動している。ある話題については、依然、行政府は議会や裁判所との協議が必要だが、行政府の権力と厚かましさが増すと、協議は形式的手続となり、やがて消え去るのだ。議会は古代ローマ帝国下の元老院以上の影響力を持たなくなり、裁判所は見せしめ裁判の舞台となる。
アメリカ人は、法の支配を回復してくれるだろうと期待して、オバマ大統領を選んだ。彼はそうする代わりに、ブッシュ政権の犯罪を成文化し、自分自身のそれもつけ加えたのだ。私の世代の誰一人として、大統領執務室に座ったアメリカ大統領が、証拠も、適正手続きも無しに殺害されるべきアメリカ国民のリストに署名するなどと想像できなかっただろう。
読者はどちらがお望みだろう? 外交政策は戦争だという金持ちとイスラエルの為の共和党の悪事仲介人、それとも、外交政策は戦争だという金持ちとイスラエルの為の民主党の悪事仲介人? ジェラルド・セレンテがトレンド・ジャーナルの七月号に書いているように、アメリカ人は“なぜ自分たちの変人の方が、相手側の変人よりまともなのかを議論しあっている。もしも彼らの変人を、変人と呼ぶと、連中は立腹するのだ。彼らは実際に自分たちの変人を守るために戦って、死ぬのだ。”
何百万人ものアメリカ人が、実際に、変人ロムニー、変人オバマ、どちらが選ばれるかが重大事だと熱心に信じているとは異様なことだ。もしアメリカ人に多少の分別があれば、家に留まって、投票はしないだろう。1%が国を支配し、99%も同様にそれを認めて、家にこもるのだ。投票結果では何も変わりはしない。
ロン・ポール支持者達はどうすると読者はお考えだろう? 彼らはロムニーの方が二人のうち、より社会主義的でないと考えて、ロン・ポールの指名を盗み取った共和党に投票するのだろうか? (ジャネット・グレン、“共和党支配者集団は、いかにして、ロン・ポールから指名を盗み取ったか”8月6日、OpEdNewsウェブサイトで公開。)
アメリカは民間寡頭勢力に支配されている。政府は連中のフロント組織に過ぎない。国家の資源はウオール街、軍安保複合体のポケットや大イスラエルへの奉仕に流用される。石油、鉱山、材木や、アグリビジネス企業が、環境保護庁や林野局を支配しており、それこそが、なぜ規制は小企業だけに行われ、水圧破砕法、山頂掘削採掘や、大気、水、土壌の汚染が猛威をふるっている理由なのだ。
寡頭独裁者達はアメリカ人を自国内の所有せざる多数派にすることに成功した。11月、アメリカ人は寡頭勢力候補者二人の内の一人を再び承認する。
Paul Craig Robertsは、元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えていた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。
記事原文のurl:www.paulcraigroberts.org/2012/08/08/the-dispossessed-majority/
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隣国の大統領の行動、常軌を逸している。オリンピックでの旗振り行為も。マスコミもブログの皆様も、それについては口をきわめて非難されるが、頭狂土地爺やドジョウの常軌を逸した発言は非難しない不思議。孫崎享氏を含めたごくわずかな方々が指摘するだけ。
引用されているトーマス・フランクの言、彼の著書「What's the Matter with Kansas? How Conservatives Won the Heart of America」にあるようだ。
「われわれは日本ではない。10年あるいは1世紀にわたる衰退と苦難に陥っている国にはならない」と共和党大統領候補が述べたという。残念ながら正論。
これは外交表現で、事実上宗主国の決意、予定を表しているだろう。つまり、
「日本を10年あるいは1世紀にわたり衰退と苦難に陥った国にしてやる」
共和党副大統領候補もすごい。ポール・ライアン下院議員。徹底的歳出削減派。医療制度徹底破壊が狙いの一つ。属国医療制度も、もちろん視野にあるだろう。
どちらが政権をとっても庶民は地獄を見る、素晴らしき二大政党制度。
宗主国は、属国支配を容易にするため、効率的統治機構を属国にも押しつける。
宗主国に習うべく、豪腕政治家が小選挙区制・二大政党化を推進導入してくださり、その過程において、マスコミも多いに応援した。それが今のこの属国。
今属国では、民・自・公と、豪腕政治家一派の皆様と、副大統領候補ポール・ライアン顔負けの歳出削減派、極右、異神の怪連合?が覇を競う。郵政破壊首相の息子までもてはやされる。
どちらが政権をとっても、属国庶民は凄惨な地獄を見る素晴らしいシナリオ。大政翼賛会広報部の仕事は楽だろう。
属国は限りなく宗主国政治を模倣する。
日本は宗主国の民間寡頭勢力に支配されている。政府は連中のフロント組織に過ぎない。日本の資源はウオール街、軍安保複合体のポケットや大イスラエルへの奉仕に流用される。石油、鉱山、材木や、アグリビジネス企業が、環境保護庁や林野局を支配しており、それこそが、なぜ規制は小企業だけに行われ、領土紛争、基地整備、オスプレイ配備、TPP加盟、増税、原発、水俣病、石綿公害、遺伝子組み換え生物や、大気・水・土壌の汚染が猛威をふるっている理由だ。
寡頭独裁者達は日本人を自国内の所有せざる多数派にすることに成功した。来る選挙で、日本人は、宗主国寡頭勢力の走狗、自・公・異神の怪らを多数派として承認する。
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ずいぶん前から拝読させていただいています。
民・自・公と、豪腕政治家一派の皆様と、副大統領候補ポール・ライアン顔負けの歳出削減派、極右、異神の怪連合
うーん、しいて言えばまだ豪腕政治家ですかね。できれば絶滅危惧種となりつつある少数野党を応援したいですが。
投稿: ショウ | 2012年8月17日 (金) 19時12分
まともな状態を保つには努力が必要。しかし、腐敗は楽。
まともな人間であれば腐敗を嫌がるが、堕落した人間は腐敗を好む。
環境が腐敗すれば、本来まともに育つべき人間も強力な腐敗作用に晒され
まともに育たない。
腐敗が拡がるということは、人材の質が悪化して腐敗を止められない
ことを意味する。
隠蔽して事実を見せないのは、とても見せられたものではないから。
酷いと自覚さえあるのに、そのまま突き進むくらいに酷い。
投稿: キョウ | 2012年8月16日 (木) 04時11分