震える天秤 染井為人
まずはストーリーから
北陸のコンビニで高齢ドライバーによる死亡事故が発生した。
86歳男性の運転するトラックがコンビニに突っ込み、店長を轢き殺したのだ。
アクセルとブレーキを踏み違えたという加害者は認知症を疑われている。
フリーのライターの俊藤律は、高齢者の運転問題についてのレポートを作成するため
愛車のベスパで取材に向かう。
現場を訪れた律は、被害者の身内から取材を開始するのだが
被害者は、店長とは名ばかりでぼんぼんのチンピラであった。
その親はコンビニのオーナーで息子の死より、
いかにして息子の死を金にしようかと画策するような人間であった。
律は取材として加害者の村を訪ねるが、村人の過剰な緊張に迎えられる
村でコンビニのアルバイト店員であった少女を見かけ
取材をしようとするが、村人が必死で少女から律を遠ざけます。
「この村はおかしい。必死で何かを隠している」
ジャーナリスト宿命か、
事故に疑問を持って取材に乗り出した律は、
少女をきっかけに、続々と予想外の事実を知ることに…。
事故か事件か?
調べるうちに、被害者のろくでもない実態が明らかに
あわせて過去の事件が浮かび上がってくる
殺されても仕方がない人間が、事故で死ぬ
事故を起こしたのは、認知症の老人
老人と被害者の間にはなんの接点もないが
そこには、村の人間との隠された事実があった。
はじめ、田舎の村の隠された因習のような
おどろおどろしい物語を想像してましたが
全く違いました。
フリーのジャーナリストの律が、疑問に思ったことを
一つ一つ丹念につぶしていく様は
ジャーナリストの使命というよりも
真実を求める律の正義感を強く描いてます。
そしてたどり着く真実。
そこには正義と人間としてのありかたとでも言いましょうか
決して人間は正義だけでは生きていけない
律は悩みます
正義をとるのか人間としての在り方をとるのか
まさに「震える天秤」です
ラストの30ページは、途中でやめられない
ラストまで突き進みます
そして最後、律は天秤をどちらに傾けるのか?
批評が分かれるところですが
私は律の判断が正しいと思います
あなたはどう感じますか