するすると 眠りの深みに落ちていく予感
バタン
大きな音を立てたのは 手からすべり落ちた本だった
車内の人たちの視線が集まる
私はハッと目覚め 「すみません」と 誰に言うでもなく謝りながら 床の上の本を拾った
電車の中は くたびれた沈黙を重りにした 仕事帰りの人たちでいっぱいだ
私は もう一度 本を読み始めた
しばらくすると また 意識が遠のいていく予感
指が緩み 持っていた本がぐらつく
「 いけない・・ いけない・・・ 」
また 同じことを繰り返しそうだ
本をバッグにしまい 「 さあ眠ろう 」と思ったが 返って目が冴えてきた
その時 何処からか 不気味な音が聞こえてきた
グ グ グ ゴゴォ~
聞き違え
ガ ガ ガ ゴォ~
やっぱり
電車の中で これだけ 無邪気に大いびきをかけるなんて !
やっぱり 春ですねぇ
*** 前に撮った写真です ***