絵本の読み聞かせをしていると この子どもの年齢には合うけれど
この年齢には無理とか 分かってしまいます
大人の感覚でかかれた絵本も多いので そういう本は選びません
でも 「子どものおはなし会」を3月でやめ 自由な立場で もう一度 絵本に目を向けると 様々な絵本を読みたいと思うようになりました
例えば この絵本
「 ジェーンと キツネと わたし 」
イザベル・アルスノー 絵 ファニー・ブリット 文 西村書店
カナダのモントリオールの 小学5年生のエレーヌ
しばらく前から 友達の輪から外されています
それは あの子がエレーヌとしゃべっちゃダメと命令しているから・・
ひそひそ笑いや 悪口が聞こえてくるたび
エレーヌの胸のなかに また一つ穴が開きます
エレーヌが逃げ込むのは 「ジェーン・エア」の本の世界の中です
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シャーロット・ブロンテの小説「ジェーン・エア」が出てきて
ちょっと びっくり
私が子どもの頃に読んだ本ですもの・・
刊行された1847年当時 自立した女性として描かれたジェーンの物語は 画期的なものだったのです
長い年月が経ちながらも読まれるのは 普遍的な内容だからでしょう
最近 ミュージカルにもなっています
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エレーヌの家は お母さんと 弟が二人
このお母さんが働き者で 昔の日本のお母さんをほうふつとさせます
一日中働き 子どもの世話をし 夜はエレーヌの服を縫い・・・
みんな寝静まってから お母さんは思わず誰かに聞いてほしくて 声に出します
「 ああ もう疲れて 死にそう 」
夏になり 5年生全員が英語特訓合宿に行くことになりました
(モントリオールは英語と仏語が公用語 エレーヌはフランス系ですね)
幾つかのグループに分かれる時
エレーヌの戦術は なにか探すふりをしてカバンをゴソゴソします
そうしたら 友達のいない子はみんなゴソゴソやっていて
その子たちと一緒のグループになりました
その夜 みんなの前で傷つけられ ひとりぼっちでいたエレーヌの前に キツネが現れました
エレーヌは 心の中で祈ります
( あなたが 私の手に触れてくれたら すべてが良い方に変わるのに )
キツネは 少しずつ エレーヌに近づき あと一歩というところで
女の子の叫び声に 姿を消してしまいます
もう すべて ダメ・・・!
そう思ったエレーヌの前に ジェラルディーヌという女の子が現れます
「 あっちのテントから追い出されちゃったの ここで寝かせて 」
そして てんでんバラバラの友達のいない子たち 一人一人に話しかけ
みんなは 名前で呼び合う仲良しグループになりました
エレーヌは お母さんに言います
「 わたしは太ってて ソーセージみたいだし・・ 」
↓
エレーヌは気づき始めていたのです
自分が気にしなければ 悪口は悪口でなくなっていくと
それに おかあさんも エレーヌの年頃には同じようだったのね!
「 わたし 将来は作家になろうと思うんだ!
ジェラルディーヌも『それはいいね』って 」
「 だれなの ジェラルディーヌって?」
「 わたしのいちばんの友だち 」
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この絵本は ティーンエイジャー向けでしょう?
豊田市の小6の女の子2人が マンションから飛び降り死亡する事件がありました
悩みを抱え込み 外からは気づき難い年齢の子どもたち
本を読むことで 自分だけではないこと
そして 道はいくつもあるという事を知ってほしいと思うのです