今奈良の各地で、“ムジークフェスト・なら”と題する音楽祭が、行われている。
私は、奈良在住のMさんの紹介で、その音楽祭の行事の一つ・合唱コンサートに、行かせていただいた。
合唱コンサートは、JR奈良駅からほど近い『なら100年会館』で、13日の午後行われた。
『なら100年会館』に行くのは、今回が初めてだった。
下は、初めて見た100年会館の建物。
今回の合唱コンサートは、3部に分かれていた。
【Ⅰ部】は、詩人≪川崎洋≫氏の5つの詩に、
【Ⅱ部】は、詩人≪谷川俊太郎≫氏の「ことばあそびうた」に、
【Ⅲ部】は、事故のため手が使えなくなって、口にペンをくわえて絵や詩を書かれ、素晴らしい本を何冊も出版された≪星野
富弘≫氏の詩に、
いずれも、作曲家≪新実徳英≫氏がつけられた曲が歌われた。
Ⅰ部とⅡ部では、「万葉オペラ・ラボスタジオ」の方々のハーモニーが、とっても素晴らしかった。
Ⅲ部は、それに、自由参加の「うたうかい」のメンバーが加わられて、美しくも迫力あるコーラスだった。
(Mさんは、「うたうかい」のメンバーとして、参加されていた。)
私は、作詞者の川崎洋氏、谷川俊太郎氏、星野富弘氏については、割とよく知っている。
特に星野富弘氏については、過酷すぎる境遇の中、苦難の末紡ぎ出された彼の美しい絵と詩に、私は心から感動してきた。
そしてある時期、彼の詩と絵は、私の心の支えであり、励ましでもあった。
なので、家に帰ってから、星野さんの絵本をもう一度見たいと、私は最近ほとんど開けなくなった本箱を開けて、彼の本を捜した。
けれど、何故か本箱の中に、彼の本は見当たらない。 (川崎洋氏と谷川俊太郎氏の詩集はあるのに…)
星野さんの絵本は何冊か買ったはずなのに、1冊も見つからないのは何故だろう? (もしかして、誰かにあげた?)
2.3回捜したけれど、結局見つからないので、私は捜すのを諦めた。
今回のコンサートでは、コーラスと共に、≪浅井道子≫さんのピアノ伴奏と、≪三原剛≫氏の指揮も、本当に素晴らしかった。
作曲者も含めて、このお二人のことは、このコンサートで初めて知った。
今回の合唱コンサートで、素敵なコーラスと、初めて知った素晴らしい方々に巡り会えて、私はとても嬉しかった。
帰り、JR奈良駅の東口に出てみた。
奈良駅は今では新しい駅舎になっているが、奈良の伝統を伝える古い駅舎は、今では「観光案内所」として活用されている。
(新しい駅舎)
建物の外では、“ムジークフェスト・なら”の催しの一つとして、若い人たちが歌われていた。
観光案内所となった旧駅舎に入ってみた。
天井の赤い梁が印象的だった。 “せんとくん”もいました!
私は、歌うのも楽器の演奏もからきし駄目だが、音楽を聴くのはとても好きだ。
でも今までは、オーケストラやピアノやヴァイオリンなどの演奏会に行くのが中心で、歌を聴きに行く機会はあまりなかった。
その私が最近、人間の声って本当に素晴らしい!と思うようになってきた。
そのきっかけを作ってくれたのが、NHKの≪ららら、クラシック≫という番組で、ある日聴いた歌だった。
その日の≪ららら、クラシック≫は、番組がその1年間で取り上げた曲の中から、もう一度聴きたい曲を視聴者の投票で決めるリ
クエスト特集だった。
数々の素晴らしい、私も好きな曲が、リクエスト曲として演奏されたあと、いよいよリクエストNO・1の発表になった。
そのNO・1の曲というのが、ラフマニノフの≪ヴォカリーズ≫という曲だった。
恥ずかしながら私は、この≪ヴォカリーズ≫という曲を、それまで全く知らなかった。
(≪ヴォカリーズ≫が取り上げられた以前の番組も見ていなかった。)
私は、この時初めて、≪ヴォカリーズ≫を聴いた。
途端に私の心は、静かな幸福感に満たされ、大袈裟でなく、涙が溢れそうになった。
女性が、母音だけで歌う、歌詞のない歌……それが心の隅々まで響き渡り、心を満たす。
この曲を歌われていたのは、≪幸田浩子≫さん。
彼女の透明感のある麗しい声と、美しくて清楚な顔立ち&表情に、私は心から惹きつけられた。
(もしまだこの曲を聴いておられない方があるなら、ぜひ一度聴いてみてください。)
幸田浩子さんのことも、私はこの番組で初めて知ったのだけれど、今度彼女のコンサートがあれば、必ず行こうと思っている。