のんスケの‥行き当たりバッタリ!

ぐうたら人生を送ってきた私が、この歳になって感じる、喜び、幸せ、感動、時に怒りなどを、自由に書いていきたいと思います。

『花に祈り、命を祈る  映像作家 保山耕一 』 を見て。

2019-05-14 19:04:34 | 日記

 去る3月31日(日)の朝、NHKで放映された、『保山(ホザン)耕一』さんのドキュメンタリータッチの番組。

 

 それまで全く知らなかった保山耕一さんだったが、この番組を見て、私は、保山さんの生き様と、彼が撮られた映像に対して、

深く強い共感を持った。

 番組の中で彼が語られる言葉はとても素直で、真実味に溢れたものだった。


 保山さんは、かつてはフリーカメラマンとして、日本のみならず世界を股にかけて、様々な映像作品を撮ってこられた方だそうだ。

                

 

                              

 


 彼の作品としてよく知られたものの中には、「THE 世界遺産」や「情熱大陸」などがある。


 その彼が、6年前ガンを患い余命宣告もされた。

 しかも4年前には、ガンが再発・転移し、仕事も辞めざるをえなくなった。

 彼は絶望の淵に立たされる。

                   

 

 

  しかし彼は、その苦しみ・絶望の中でも、「このまま世の中(人々)に何の恩返しもしないで死ぬわけにはいかない。」と思われる。   

 そして、「自分の住みなれた奈良を撮っておきたい」と思われるようになる。

 番組の中でまず彼が足を向けられたのが、地元の人には、「氷室さん」と親しみを込めて呼ばれる「氷室神社」。

 その氷室神社には1本の枝垂れ桜があり、「その桜が咲くと春が来る」と言われ、地元の人たちに「春告げ桜」と呼ばれている

桜だ。 

 しかしここ数年、その枝垂れ桜の衰えには、目を覆うものがあるのだそうだ。

 保山さんは、その衰えていく枝垂れ桜の姿を、ガンに冒されて弱っていっている我が身と重ねられる。

 でも、まだ完全に死んでしまってはいない桜、てっぺんの方だけでも花を咲かせようとしている桜を見て、まだ命のある自分が、

その最後の姿を撮らなければならないと思われる。

 

 次に彼が向かわれたのは、奈良、御所市にある≪高天寺・橋本院≫。

 このお寺には、前住職とその夫人が心を込めて造ってこられたお庭があり、保山さんはそこを「休息とチャージができる場所」と

呼んで、疲れた体と心を癒しに、よく訪れられている。

                  

               (≪高天寺・橋本院≫で、福寿草にカメラを向けられる保山さん)

 

 保山さんは、撮られた映像をその日のうちに編集して、SNSにアップされている。

 次は、橋本院を訪れられた日に、アップされた文と画像。

                    

 

                  

 

 

                 

 

                 

 

                 

 

 

                

 

 

                 

 

 

                 

 

                

 

 

               

 

 

  次は、3月8日、≪奈良・平城旧跡歴史公園≫に行かれたときのもの。

 この日は、≪月齢1日の月≫が出る日。

 彼は平城旧跡の原っぱで、月の出を待たれる。

                 

 

 

 そして、待ち焦がれた月が出てきた。

 彼はレンズの中の月を見ながら、言われる。 「きれいやで~! “生まれたての赤ちゃんの月”やな! 」 と。

 その言葉の中に、保山さんの自然に対する感受性の豊かさ、優しさを感じた。

                  

 

                 

 

                 

 

 

 そして、映像を撮り終えて、保山さんが言われた次の言葉は、私の胸に強く響いた。

        誰もが みんな 見ることができる。

        でも 見ることを求めなければ 見つけることができない。

        でも見つけた先には 極上の美が そこにある。

 

  3月17日、保山さんは氷室神社を再度訪ねられ、桜の最初の開花を待って、一日中枝垂れ桜にカメラを向けられた。

 しかしこの日は、あいにくの雨だった。

                 

 

                 

 

                 

 

                  

 

                

 

 

 そして、この日は夕方になっても、桜は花を開いてはくれなかった。

                

 

               

 

 

 そしてその3日後の朝、桜はやっと1輪の花を開いた。

 それを見て、「花はやっぱり、朝の光で咲くんやね。」と、保山さんはつぶやかれた。

                  

 

                 

 

 

 そして彼は、開いた一輪の桜の花を見ながら、次のように言われた。

         僕も満身創痍かも分からないけど 

         この桜が来年も咲こう 生きようとしている

         僕も生きよう 生きて 来年もここの桜を撮ろう

 

 保山さんのSNSは多くの人に読まれ、「保山さんの写真を見たら、その晩よく眠れる。」というファンの声も多いという。

 写真をアップしない日があると、「保山さん、死んだんちがうか!?」と、心から心配する人もおられるとのこと。

 だから保山さんは、多少しんどくても写真をアップするのだと言われていた。

 

 今回の番組で初めて保山さんのことを知った私だけれど、私もいっぺんに保山さんのファン(応援団)になった。

 病気のことは努力だけでどうにかなるというものではないだろうけど、保山さんの健康を、私も心から祈らずにはいられない。

 そして保山さんがこれからも極上の美を見つけられ、映像を通じてそれを私たちに見せてくださることを、心から願っている。