畠山義綱のきままな能登ブログ

畠山義綱が見てきた史跡を紹介します。
時々、経済や政治などもつぶやきます。

欧州経済危機の今後の展開予想

2011-11-07 04:44:00 | 政治・経済
 5日。ドイツのメルケル首相は欧州債務危機について「一度に解決することはできず、10年はかかるかもしれない。」と述べた。


 その見方は私も正しいと思う。日本の経済危機は長期信用銀行の破たんに始まった。取り付け騒ぎなどが起きないように、日本国政府は1998(平成10)年10月の金融国会において、金融再生法を制定し、国の資金投入によって金融安定を行った。大規模な資金投入を素早くやった甲斐もあって、日本の金融危機は2年ほどで落ち着き一度は経済の回復基調にも乗った。


 では欧州経済危機はどうだろう。これは素早く解決するのは難しい。日本の金融安定化は、一国の問題であり、一国の政府が強権を発揮すれば銀行は従うほかない状況だった。日本国民も銀行に税金を投入するのは反対の基調も強かったが、政府の強引な取り決めにより法律は制定された。
 しかし、欧州経済危機は複数カ国に分かれており、しかも経済危機を救うのは当事者国ではなく、ドイツやフランスなどのEUの経済大国だ。当然税金で他国を救うことに反論はあるだろう。また、イタリアの破たんは「G8の一員」である国のプライドもあり、簡単に他国に救済を求めることをよしとしない雰囲気もある。


 そうなると、救済するのにも時間がかかる。最悪な終末は「ユーロの解体」が行われること。そうなると、ソ連解体以上の混乱が経済的に起こる可能性もある。


 一応、ユーロ危機克服を自分なりにパターン予想してみる。


1.ユーロ危機克服で、ユーロ維持(ギリシア含む場合
2011年 ギリシア支援策受け入れ
2012年 IMFによるイタリア・ポルトガルなど金融不安国への資金支援
2013年 IMF支援国による緊縮財政開始
2015年 緊縮財政による欧州不況が続く(ロシアは資源輸出で経済好調)
2020年 ユーロ圏経済依然低迷(「ユーロの失われた10年」)

と、10年たっても経済が好転しないことが想定されます。


2.ユーロ危機克服で、ユーロ維持(ギリシア離脱編)2011年 ギリシア支援策受け入れ
2012年 ギリシアの国民デモで、ギリシア政府がユーロからの離脱を決定
    IMFによるイタリア・ポルトガルなど金融不安国への資金支援
2013年 ギリシア自国通貨は、極度のインフレに達し、デノミネーションを行う
2014年 ポルトガルなど金融不安国、EU支援を拒否し、ユーロ離脱。
2015年 ユーロ圏縮小。イタリアがEU支援を受け入れる。伊はユーロ維持。
2016年 ギリシア自国通貨の発行をあきらめ、米ドルを流通通貨に設定。
2018年 東ヨーロッパでは資源輸出で好調なロシアが積極的な支援を行う
    ロシアに対抗するように、米国がフランス、イタリアなどに積極支援
2020年 ギリシア国家破綻。国連による救済決定。

と、10年たって東西対立の再燃が起こりそう。そして、ギリシアは最大級の混乱に。


3.ユーロ崩壊
2011年 ギリシア支援策受け入れ
2012年 ギリシアの国民デモで、ギリシア政府がユーロからの離脱を決定
    IMFによるイタリア・ポルトガルなど金融不安国への資金支援
2013年 ギリシア自国通貨は、極度のインフレに達し、デノミネーションを行う
2014年 ポルトガルなど金融不安国、EU支援を拒否し、ユーロ離脱。
2015年 ユーロ圏縮小。イタリア経済危機、EU支援拒否。IMF支援で極度の緊縮財政へ。
2016年 イタリアの緊縮財政に伴う国民のデモ発生。伊はユーロ離脱へ。
2017年 伊のユーロ離脱を受け、ユーロの解体決定。
    ドイツマルクとフランスフランが復活。
2018年 欧州は貿易縮小により経済低迷が続く。
2020年 米・独・仏・英がFTA協定を結び貿易拡大。
    EUは実質解体し、NAFTA(米・加・墨)を拡大し欧州3国が加わる。


と、EUの実質解体まで進んでしまいました。EUができる前、ヨーロッパは米国・日本などに経済で後れをとっていました。国土が狭く、人口規模も小さいので経済規模では米国に勝てないからです。ですので活路を開くために、米国とのFTAを結ぶのかなあと思いました。


 いずれにしても、欧州の経済は今後10年は低迷すると思います。一方で不気味なのがロシアです。資源輸出で好調なのと、プーチン政権が続く政治的安定ぶりで影響力を増してくることが考えられます。すると米国との対立が再燃し、第二次東西対立(第二次冷戦)が始まる可能性すらあります。


 もっと、楽観的なパターンってないかな…。