誰かがいる。誰かがいつもわたしを助けている。一人じゃない。どっさりいる。いるようだ。それはハタラキだから、目には見えない。目には見えないけど、たしかに誰かがわたしを助けている。いつもいつもいつも助けている。さまざまな力をくれている。
そんなふうに思える。どうしてなのかなあと思う。
誰かがいる。誰かがいつもわたしを助けている。一人じゃない。どっさりいる。いるようだ。それはハタラキだから、目には見えない。目には見えないけど、たしかに誰かがわたしを助けている。いつもいつもいつも助けている。さまざまな力をくれている。
そんなふうに思える。どうしてなのかなあと思う。
高菜漬けがおいしい。
高菜は畑から抜いて来る。成長途中だから、そんなにでかくはなっていない。だから、3~4株ほど抜いて来る。ここまではお爺さんの役目。後はお婆さんの仕事。
洗って、1時間ほど日干しにする。ちょっとだけ萎れる。これをボールに落として塩で揉む。揉まれたら青みがうんとはっきりする。
高菜漬け専用の漬けもの器に入れ替えて、刻んだ赤唐辛子を適量加える。蓋をする。重石を載せる。すぐに汁が出る。数日間はそうしたままにしておく。できあがる。
朝になる。白ご飯が炊き上がる。高菜漬けを1株分、取り出して来て洗って、絞って、細かく刻む。皿の上に載せる。鰹節を1袋加える。醤油を落とす。混ぜる。ご飯の湯気の上に置く。香りが薫り立つ。
うまいうまいを言う。2,3度では足りない。朝ご飯を食べ終わるまで、うまいおいしいを繰り返す。毎週毎週、新しい高菜漬けが登場する。
今日は、いきなり春になった。昼間の気温が17℃まで上昇した。一枚脱いでよかった。窓を開けて風を入れてよかった。
畑に出て、ひとり、草取りをして楽しんだ。草は冬でも伸びる。根を深く地中に下ろして、耐える。それを抜く。農機具を使って、根から抜いてしまう。それに土がいっぱいついて来るので重たい。
草取りは楽しい。こんなに楽しんでいいのかと思うほど楽しい。無心になれる。爽快になる。座禅をしているのと同じ効果が生まれているかもしれない。
田舎は畑に恵まれている。ここで多くの静かな時間を過ごせる。田舎暮らしは不便だが、得られるものも多い。頗る多い。
ここだけの話。ふっふっふの話。
こっそり泥棒をしているわけでもないのに、お金が財布に入って来て、わたしの消費に間に合わせてくれている。
必要とするだけのお金が財布に入っている。使っても使っても入っている。大金はないが、そこそこなら。花や野菜の種を買うくらいなら。
お金は天下の回り物だから、わたしの財布にも立ち寄ってくれているらしい。ご贔屓にしてもらっているようだ。
ひょっとして、福の神様という神さまの仕業なのかもしれない。
とにかくこの年までお金が財布に入っていてくれている。もうそろそろ使い果たしてしまうはずなのに、泉の水が涸れない。
何処かから湧いて出て泉の水になってわたしの財布まで流れ込んで来ている。冨士山の伏流水が深い地下を流れて、わたしの財布のところで湧き上がって来ている。お小遣いの分は。
ここだけの話だ、これは。これはきっと福の神様の仕業だ。
忘れないようにしなきゃ、と思っても、忘れてる。炬燵の電源を切るのを忘れている。
帰って来て、炬燵の中に足を入れるとあったかい。またやったのかと思う。臍をかむ。つけたままになっているのだ。
電気料金が高いのに。お金持ちでもないのに。利用していないときには消せばいいのに。
それを忘れている。消すのを忘れている。注意しても注意してもこうだ。情けない。財務大臣の家内にも見つからないので、これですんでいる。
お日様が射してきた。地上がぽっかり明るくなった。いいぞいいぞ。気温も上がった。手袋が要らなくなった。ジャンパーも脱ぐ。軽くなった。気分もこれにふさわしくなった。
偉大だなあ、お日様は。よくぞよくぞ偉大でいて下さった。わたしは一度でもそうして下さいと頼んだ覚えはない。ないけれど、そうなっている。このオートマチックはどうだ。
畑の小松菜が、氷が解けたので、葉っぱを広げてゆったり寛いでいる。伸び伸びしている。かといって、お礼を言うわけではない。そんなケチな仲ではないからだ。お礼を求めるお日様でもない。
手袋をしているのに、我慢が出来ない。寒さがやわらがない。かじかむ。指先が痛い。炬燵の中のお尻の下に敷いて耐える。
今日から2月。もうすぐ立春だというのに。
庭には水仙が咲いている。木瓜(ぼけ)は12月からもう蕾をつけている。それが開きかけている。愛らしいピンク色をしている。
お辞儀をするからお辞儀鳥とも言うらしい。なるほど、外にいれば、すぐ近くに来て、尻尾を振って頭を下げて、ぴょこんぴょこんとお辞儀をする。そしてキックックック、コキッキッピと鳴く。「さあ、山から来ましたよ、わたしと遊んで下さいな」とでも言うように。
とにかく人に懐(なつ)く。人なつこい。とにかく人間に興味があるらしい。
ジョウビタキさんである。オスには背中にキレイな紋付きがある。メスにはそれがない。さっき挨拶をしに来たのはそのメスの方である。餌をねだるでもない。人間を好む。人間を信頼しているのであろう。珍しい山鳥だ。
外に取り付けてあった水道の水漏れ。早朝に来てもらって、水道屋さんに修理をしてもらう。水道管が摩滅してしまっていて、工事がなかなか進まない。ぴったりの部品がない。外は寒い。7・4℃。曇り空。日が射して来ない。傍らで見ているだけでくしゃみと鼻水が出る。もういっときは掛かるようだ。