1
「清明」 杜牧
清明の時節 雨 紛々
路上の行人(こうじん) 魂(こん)を断たんと欲す
酒屋 何れの処に有るかと借問すれば
牧童 遙かに指さす 杏花(きょうか)の村
2
清明:二十四節気の一。春分の後15日目。太陽暦で4月5日頃に当たる。
牧童:牛飼いの少年。
杏:早春の花。白、または淡紅色の花を開く。果実は梅に似ているが梅より大きい。種は咳止めの薬になる。アプリコット。
欲す:もうすぐ・・・になろうとしている。
魂(こん)を断ず:元気が切れてしまう、くらいの意味合いだろうか。
3
イヤだな、やっと温かい清明の季節を迎えているのに、雨だ。しとしとと降って来る。人里離れた山道を長く歩いていると、いい加減気が滅入って来た。気を取り直すには酒が一番。牧場の少年に酒屋の所在を尋ねると、彼はずっと向こうの村を指さした。村は杏の花の盛りのようだった。そこだけは雨も上がっているらしい。
4
行ってみたくなった。白い杏の花の畑が広がる村へ。杏の花の咲き誇るところへ。四月は、しかし、まだ遠い。
5
今日の公民館詩吟教室でこの漢詩をお習いした。
詩を吟じながら、たちまち路上を行く人になってしまった。