ウレシイを百回千回言い出してうるさがられる僕 目と目会ふ
薬王華蔵
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言うたびに嬉しくなっていきます。だから言った方が得です。うるさがられてしまいますが、それでも得をします。わたしは幼児です。いつまでたっても幼児です。幼児の反応をします。
先日行った先のスーパーでその人とばったり。久しぶりの久しぶりでした。その人の目もよろこんでいるのが分かりました。僕は一人で飛び上がりました。
百回千回はオーバーですが、５回１０回はそこで叫びました、ウレシイウレシイウレシイ、と。小さく。生きていると、いい日というのがあるんです。
会いたい人がいる、ってやっぱり嬉しいことなんです。拒否に会うことだってあるのに、それをされないでいられるわけですから。それだけのウレシイ反応をしてもらった相手は？ 困ったかもしれません。
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目と目が合っただけで、もちろんそれであっさりお別れになりました。清々しい一日になりました。もうそれから数年が経ちましたが、まだその日を覚えています。もしかしたら夢の中で、その人は天女だったかもしれません。痴呆症の始まりかもしれません。
僕以外から見た僕は僕をして春をしてます かわいいでせう？
薬王華蔵
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僕には僕以外がいます。僕以外は僕の大きさの何億倍何兆倍もありますが、ふしぎなことに対等で、１対１になっています。見たり見られたりしています。１対１で僕をしているってことが、僕は、ときどき嬉しくなったりします。
一人で僕をしている僕は、僕以外には、小さいけれど独り立ちをしてて、かわゆく映っているかもしれません。
来し方も行き着く先も消されたる春の霞と菜の花の黄金（きん）
薬王華蔵
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来し方なんてもともとなかったんだろう。行き着く先もなくていいのかもしれない。みんなあっさり消されているから。わたしがいま目にしているのは春の霞と菜の花の黄金。
月１で逢いたくなって逢っているメルヘン村のあたらしい僕
薬王華蔵
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月１で新しくなっていたい。新しい僕になっていたい。
でもそこは非現実界のメルヘン村。それでもいい。逢いたくなって探して探して探し回って逢っている。
こんにちは。やあ、こんにちは。ふたりの僕が握手するだけの出遭い。
おっ、お日様だ。やっとご登壇だ。春の大空でお日様がラインダンスを始めたぞ。宝塚星組入団だ。眩しいっ！
何でも、朗らかなのがいい。明るいのがいい。賑やかなのがいい。笑っている方がいい。豊かで輝いている方がいい。
これは、このオレ様にも適用される。オレ様も上記の条件を満たしていたい。できるだけの、数項目でいいけど。
午前１０時現在の気温９・７℃。スマホの予報では、最高気温は、お昼過ぎ２時～３時頃に、１６℃まで上がるらしい。
いまのところは曇り空。太陽が登壇して笑ってスペインダンスを踊っていない。風もない。村里はいつも通り静かだ。
お爺さんはお爺さんして炬燵のお守りをしている。お守りなんかしてもらわなくたっていいと、炬燵は冷淡に言うのだけど。
