シャツの胸のポケットに運転用眼鏡を入れたままで、外出を思い止まって、ほんのしばらくのつもりで裏へ回って、蕗の畑の草取りをした。
蕗の畑は広い。草を抜いて抜いて抜いて、蕗が育ちやすいようにして、精を出している内に、その運転用眼鏡を紛失してしまった。気がついて探し回ったが見つからない。
胸のポケットからならすぐにずり落ちてしまうことくらい百も承知していたはずなのに。ズボンのポケットに移しておけば紛失は避けられたのに。それを怠った。横着者をした。
これがないと運転が出来ないのだ。運転免許切り替えの時に、条件がついた。裸眼では視力検査がパスできなかったのだ。眼鏡を掛けて運転するという条件付きで免許が下りたのだ。
抜いた草を捨てる草の山に眼鏡が落下した可能性が高い。草の山は１～１・５ｍほどの高さになっている。朝、この草の山を崩してみよう。眼鏡が出て来るかも知れない。大変な労力である。
それを僕に書かせたいのだ。だから僕は、彼の手だ。手の役割をしている。
僕は鉛筆を握る。
ウ・レ・シ・イと書く。
彼はにっこりする。
それでいいという顔をする。
彼は文字を持たない。だから僕の文字をせがむ。せがまれているのを僕は知っている。だから僕にその役目が下りる。
＊
１３８億年、宇宙はウレシサを広げてきた。膨張膨張を続けて来た。
彼は１３８億年もただただ、ただただウレシサを膨らませて来たのだ。
その事実を知っている僕を、彼はほっとけないでいるのだ。
ふふふ ふふ ふふふ ふふふふ 雲間から含みきれないふが零れ出る
薬王華蔵
＊
嬉しいのだろう、宇宙空間が嬉しがっている。
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宇宙には宇宙意識というものがあって、嬉しいという意識をいつも意識している。
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意識がふくらむと持ち堪えきれなくなって、溢れ出てしまう。春の３月の、大空の、雲間からはみ出てしまう。
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ふふふ ふふ ふふふ ふふふふになる。
もう少し気温が上がったら外へ出ようかな。
まだ寒い。炬燵に入って、ジャンパーの上にもう一枚ジャンパーを重ねている。新聞を読んでいる。
＊
ジャンパー二枚とも脱いで、わわわっと外に出て、ららららららしたい。体重１０ｍｇになって浮かれたい。ハミングして浮かれて、蜜蜂になって空を飛びたい。
わたしはお爺さん。そんなことできるわけがない。
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じゃ、そのお爺さんも脱ぎ捨てる。お爺さんなんかかなぐり捨てても惜しくない。
♪♪♪ららららららららしたい。
＊
ららららのらの音 これはにんげんの重さを軽くする いまそれを知る
薬王華蔵
二倍生きたことになりそうで、それで、わくわくしている。現実のわたしは恋なんかしない、できない。のに、非現実へ移住してくると、している。することができる。
短歌でもいい、俳句でもいい、詩でもいい。わたしをそこで主人公にして、舞台に立たせる。これでわたしの二人分になる。人生がふくらんで２倍の大きさになる。
非現実の仮想わたしは、じめついていない。暗がりを出ている。やりたいことをやろうとしている。海までの明るい道を歩いている。いいじゃんいいじゃん、している。
＊
わくわくをしないとソンだソンしないために歩いた海までの道
薬王華蔵
玄関に明るい声がして、ご近所さんが膨らんだ蕾のシモクレンを枝ごと届けて下さいました。庭に咲き出したんでしょう。
さっそく大きな花瓶に押し入れから出してきて、ざくんと挿して、お座敷に飾りました。春を迎えて我が家が華やかになりました。ご厚意に感謝です。
うっすらとですが、屋根瓦に霜が降りています。明け方冷え込みました。午前７時４０分現在、気温は４・７℃。今日の最高気温は２０℃の予報。一日の寒暖の差が大きいようだ。
いつも通り東からお日様が昇ってきて天地が明るく輝いています。快晴。ああ、よかったなあと思います。一日明るくして過ごせます。春の鳥が来てピピピと鳴いています。
昨日鶏糞肥料を５袋（１袋１１０円）を、近くの店で、買って来ました。（あ、もう茄子の苗が売ってありましたよ）肥料を撒いて耕して、夏野菜を植え付ける前の土作りをしておかねばなりません。忙しくなります。
