涅槃会(ねはんえ)の釈迦のみ足の土踏まず 海の入り江のごとく安らふ
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これはS新聞読者文芸短歌部門今泉選者が3席に選んでくれたわたしの作品。次なる選評も頂いた。
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涅槃会のときに、涅槃図を見て詠んだ歌だろう。お釈迦様の土踏まずを山脈に見立てた山口誓子の「釈迦眠るあうらに山を画かれて」という俳句があるが、この歌は穏やかな海の入り江に見立てたのがユニークで、「土踏まず」からの連想が豊かで自在だ。
(・・・ふううう、選者は博学博識だなあ。感心してしまった)
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釈迦の足の裏の、土踏まずでさえもが安らかな涅槃寂静に入っている、ということを僕は作品にしたかった。インドを旅したときに黄金の巨大な涅槃像を見ることが出来た。波静かな海の入り江のように奥の奥まで凪いでいた。