テニアン島:サイパンから5km、空路10分で到着する。現在は個人で行けば往復料金69ドル、サイパンからのグループ・ツアーでも行ける。波乗りも楽しめる。島での交通はレンタカーだけでタクシーは無い。レンタカーは格安で契約出来た。南北に走る道路名はブロードウエイ、唯一の村落サンホセまで空港から6分で着く。島の観光起爆剤になっているのがダイナスティ・ホテル&カジノ。ロビーの豪華さは超一流、広く美しく目を見張る。
テニアン島はB29爆撃機が広島、長崎に投下するため原爆を搭載して離陸した場所で有名な島である。当時日本へは12時間で往復出来たので日本戦略基地としてアメリカは狙ったのだ。「テニアンの末日」(中山義秀著)に第二次大戦中日本の惨敗状況が記されているが玉砕した日本兵、民間人は悲惨の一語に尽きた。アメリカ軍は1944年7月24日、北のチュル・ビーチに上陸、30日には南のカロリナス高地に戦車が登って来たとある。ここにも自殺クリフがあり、戦士たちはアメリカ軍の捕虜となることを恐れ、飢えと絶望の中追い詰められ、手榴弾を抱いて断崖から海に飛び込んだ。崖に沿って沖縄平和記念碑、日本人戦没者慰霊碑がある。ジャングルを縫って行く奥に日本に向かうためのB29爆撃機の2400m滑走路が一本現状を留めており、あとの3本やそれらを繋ぐ滑走路はジャングル化していて見られない。歳月は戦争の悲惨さを打ち消しているが、原爆積荷場跡が長方形の穴にガラス張りの枠で囲まれ保存されている。
この島はサイパンと同じくスペイン、ドイツ、日本の統治を経て大戦後はアメリカの国連信託統治領となった。歴史的に「スペインはキリスト教を、日本は働くことを、アメリカは遊ぶことを教えた」と聞いている。
現在両島の日本人観光客は減りつつある一方で中国や韓国の観光客で賑わいだした。30年前の日本の新婚さんは中国の新婚さんに置き換わり、中国語が飛び交っている。時代の変化を間の当たり見た今回のマリアナ諸島訪問だった。マホガニーの大樹は語らないが歴史の全てを見て人間の愚かさを嘆いていることだろう。(自悠人)