昨日、傘も折れよと吹きつけ、叩きつける強風と雨の中、井の頭公園に出かけた。お目当ては桜ではなく西望アトリエ、だが、前日とは打って変わっての荒天の中、花見客はほぼ皆無ゆえ、9分咲きの桜も楽しみつつ井の頭自然文化園へ。ブロンズの「天女の舞」が出迎えてくれ、雑木林の中に点々と配置された彼の彫刻を鑑賞しながら彫刻園へ。西望は長崎県に生まれ19、20歳で彫刻を志し、建畑大夢、朝倉文夫と友人になったが、他の2人と異なり彼は遅咲きの花、苦悩の日々が長かった。32才、「これでもう彫刻を止めよう」と思った時の文展出品「怒涛」が最高賞受賞、100才越えても現役で平和と自由を理想としてきた。絵も勿論温かい筆致、書は力強い達筆だ。1987年102才で死去したが事前に作品全てを東京都に寄贈していた。東京都名誉都民、長崎県名誉県民、武蔵野市名誉市民だ。
何と数多くの彫像たちがアピールしてくることか。「平和と自由」を。それを犯すものへの闘魂や防衛を。「猫-防衛」、「光に打たれる悪魔」等。「笑う少女」も「若き母」も何と微笑ましいことか。永久平和の象徴、平和祈念像の原型はここにある。日本の平和と自由が危なっかしくなってきた今こそ多くの人にここに来て鼓舞されて欲しい。(彩の渦輪)
平和記念像作者の言葉 あの悪夢のような戦争 身の毛もよだつ凄絶悲惨 肉親を人の子を かえり見るさえ堪えがたい真情 誰か平和を祈らずにいられよう 茲に全世界平和運動の先駆として この平和祈念像が誕生した 山の如き聖哲 それは逞しい男性の健康美 全長三十二尺余 右手は原爆を示し左は平和を 顔は戦争犠牲者の冥福を祈る 是人種を超越した人間 時に仏時に神 長崎始まって最大の英断と情熱 今や人類最高の 希望の象徴 昭和三十年春日 西望塑人