なにやら嫌な感じです。
「保証人の件で、お話が有ります。」
取引の無い銀行からの電話です。20年前にやった住宅ローンの保証の件では無いかと直感しました。
あの時、彼の社員の住宅ローン、2000万を保証しました。
しかしあの保証は債務者が会社を辞める時、銀行と新雇用主にお願いして、
新雇用主に変わった筈です。
何か嫌な胸騒ぎがしましたが、銀行に出向きました。
案の上、この件でした。
「もう半年以上、ローンが払えません。
本人とも話して、物件を処分する事にしました。
恐らく1000万くらいでしょう。当行はそれでやむを得ないと考えて居ります。
そうしますと、現在の残は2300万ですから1300万残ります。
恐れ入りますがこれが保証人の貴方に請求と成ります。
本日は保証物件を処理する事の了解と、この残債の件をお伝えしたかったのです。」
「冗談じゃ有りませんよ。
この件は保証人が交代して居る筈ですよ。
あの時に担当者が本日正式に書類を本部に回しました。
間違い有りませんと言うので、私も債務者に退職金を払ったのです。
そうでなければ、こんな保証をして簡単に退職金など渡せませんよ。
それで後日、万一駄目の時は、駄目と私に連絡がある筈です。
それが大丈夫ですで終って居ますから、私は保証人では有りません。
それに今、残が2300万と云いましたが、あの時私が保証したのは2000万です。
20年も返済をしていて残が、増える事は無いでしょう。」
銀行は彼の反論を予想して居たかの様でした。
驚きもせず、彼の反論に直ぐに答えたのです。
「そうですね。
確かに保証人交代の申請はして居りますね。
ただし、これは直ぐに否決されて居ます。新保証人の保証能力からです。」
「でもお宅の行員は間違いなく交代してと云いましたよ。」
「その行員は今違う支店に居ます。私の方も確かに云ったか確認しましょう。」
「それと保証額は2000万の筈ですがローンと云うのは途中で打ち切れば残債は、
増えるのですか。」
「いや貸付金は3700万です。それを今迄約1400万返済して居ります。」
「3700万? 私はそんな保証をした事が有りません。しかし後で埋めると云う事で、
記入欄は全て白紙と記憶して居ります。」
空欄の記入は行員の字です。
「之を予め記入して確認の上、ご捺印を頂いて居ります。
後で勝手に数字を変えるような詐欺紛いの事は絶対にやりません。」
「いずれにせよ私はもう保証人では有りません。お調べください。」
これ以上言い争っても無駄です。ひとまず帰りました。
1週間過ぎた頃、支店長が融資の責任者と二人で尋ねてきました。
「あの時の行員は稟議が正式に通って居ない事を決定と云う事は、
有りませんと云って居ます。これは銀行員として鉄則です。
また、結果は後で電話で連絡したと申して居ります。
若し、彼が云って居れば、電話などで無く、直ぐに飛んで来る筈です。
それほど重要な事です。」
易しい言い方ですが支店長の言葉はがんとして動かし難いものが有ります。
「御行の主張はわかりました。暫く考えさせてください。」
彼はどちらが訴訟に持っていくと覚悟したのです。
「それと貸付額の件ですが、あの後、思い出しました。
2000万では予定をはるかに下回った家しか出来ない。
もっと借りれないかと債務者が私の前で切り出したことが有りました。
その時御行は次の理由で断ったのを覚えて居ます。
1つは収入が少なくて、どうやっても2000万が限度だと云って居ました。
もう1つは、土地が小さいために、これ以上大きな建物は建蔽率にも
容積率にも違反する。違反建築には融資が出来ない。
と言って居ました。それから見ても3700万も融資は出来無かった筈です。
若し、融資をしたものならば、書類上大きな間違いが有ると思います。
当初の融資の契約書が有るでしょう。それを見せてください。」
支店長は「書類は当然あります。しかし今はお見せ出来ません。」と云って帰りました。
物件の売却は間もなく終りました。1200万でした。
彼には未だ何も云って来ません。
果たして保証人では無いと認めるでしょうか。
それとも残2300から1200万を引いた1100万を請求してくるでしょうか。
または貸付が2000万で今迄1400万を払い残が600万、
担保が1200万ですから残債は無いと何も云ってこないでしょうか。
弁護士はこれは裁判でしか双方妥協しないだろう。裁判になれば、
確証が1つも無いお前が負けると云って居ます。
でも私は真実と自分のために戦います。
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取引の無い銀行からの電話です。20年前にやった住宅ローンの保証の件では無いかと直感しました。
あの時、彼の社員の住宅ローン、2000万を保証しました。
しかしあの保証は債務者が会社を辞める時、銀行と新雇用主にお願いして、
新雇用主に変わった筈です。
何か嫌な胸騒ぎがしましたが、銀行に出向きました。
案の上、この件でした。
「もう半年以上、ローンが払えません。
本人とも話して、物件を処分する事にしました。
恐らく1000万くらいでしょう。当行はそれでやむを得ないと考えて居ります。
そうしますと、現在の残は2300万ですから1300万残ります。
恐れ入りますがこれが保証人の貴方に請求と成ります。
本日は保証物件を処理する事の了解と、この残債の件をお伝えしたかったのです。」
「冗談じゃ有りませんよ。
この件は保証人が交代して居る筈ですよ。
あの時に担当者が本日正式に書類を本部に回しました。
間違い有りませんと言うので、私も債務者に退職金を払ったのです。
そうでなければ、こんな保証をして簡単に退職金など渡せませんよ。
それで後日、万一駄目の時は、駄目と私に連絡がある筈です。
それが大丈夫ですで終って居ますから、私は保証人では有りません。
それに今、残が2300万と云いましたが、あの時私が保証したのは2000万です。
20年も返済をしていて残が、増える事は無いでしょう。」
銀行は彼の反論を予想して居たかの様でした。
驚きもせず、彼の反論に直ぐに答えたのです。
「そうですね。
確かに保証人交代の申請はして居りますね。
ただし、これは直ぐに否決されて居ます。新保証人の保証能力からです。」
「でもお宅の行員は間違いなく交代してと云いましたよ。」
「その行員は今違う支店に居ます。私の方も確かに云ったか確認しましょう。」
「それと保証額は2000万の筈ですがローンと云うのは途中で打ち切れば残債は、
増えるのですか。」
「いや貸付金は3700万です。それを今迄約1400万返済して居ります。」
「3700万? 私はそんな保証をした事が有りません。しかし後で埋めると云う事で、
記入欄は全て白紙と記憶して居ります。」
空欄の記入は行員の字です。
「之を予め記入して確認の上、ご捺印を頂いて居ります。
後で勝手に数字を変えるような詐欺紛いの事は絶対にやりません。」
「いずれにせよ私はもう保証人では有りません。お調べください。」
これ以上言い争っても無駄です。ひとまず帰りました。
1週間過ぎた頃、支店長が融資の責任者と二人で尋ねてきました。
「あの時の行員は稟議が正式に通って居ない事を決定と云う事は、
有りませんと云って居ます。これは銀行員として鉄則です。
また、結果は後で電話で連絡したと申して居ります。
若し、彼が云って居れば、電話などで無く、直ぐに飛んで来る筈です。
それほど重要な事です。」
易しい言い方ですが支店長の言葉はがんとして動かし難いものが有ります。
「御行の主張はわかりました。暫く考えさせてください。」
彼はどちらが訴訟に持っていくと覚悟したのです。
「それと貸付額の件ですが、あの後、思い出しました。
2000万では予定をはるかに下回った家しか出来ない。
もっと借りれないかと債務者が私の前で切り出したことが有りました。
その時御行は次の理由で断ったのを覚えて居ます。
1つは収入が少なくて、どうやっても2000万が限度だと云って居ました。
もう1つは、土地が小さいために、これ以上大きな建物は建蔽率にも
容積率にも違反する。違反建築には融資が出来ない。
と言って居ました。それから見ても3700万も融資は出来無かった筈です。
若し、融資をしたものならば、書類上大きな間違いが有ると思います。
当初の融資の契約書が有るでしょう。それを見せてください。」
支店長は「書類は当然あります。しかし今はお見せ出来ません。」と云って帰りました。
物件の売却は間もなく終りました。1200万でした。
彼には未だ何も云って来ません。
果たして保証人では無いと認めるでしょうか。
それとも残2300から1200万を引いた1100万を請求してくるでしょうか。
または貸付が2000万で今迄1400万を払い残が600万、
担保が1200万ですから残債は無いと何も云ってこないでしょうか。
弁護士はこれは裁判でしか双方妥協しないだろう。裁判になれば、
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