かっ飛ばせ借金 打ち勝て倒産

 
 ‐オグチ経営研究所‐

 ☆★自分でできる経営の再生と整理★☆

  

サブリースの悲劇

2013-08-28 | 事例
「何て説明しようか。」
考えれば考えるほど答えが出ません。
質問は簡単です。
「貴方は先週2000万下ろしましたね。此の使途は何ですか。それであのお金は何処に有りますか。」
「修理です。明細は後日詳しく説明します。」
咄嗟の答えは出鱈目でした。

彼の職業はアパートの賃貸業です。
之を始める時、地元の地銀から借りて、現在の6億強です。
家賃は全部銀行に入る様になっており、経費振り替えなども此の銀行1本です。
逆に個人の預金も有ります。彼名義で普通預金が9000万、父親名義が6000万有ります。
先週此処から2000万を引き出しました。
今は300万以上引き出す時は必ず銀行に断る約束です。黙って下ろしたから其れを聞かれた
のです。

「あれ修理費ですね。見積もりを見せてください。其れとあのお金前払いですか」
「来週、お伺いしますから。」
実は2000万は、奥さんがサロンを開く為に別の不動産を買ったのです。
銀行に知られるわけには行きません。
どう辻褄を合わせた良いでしょうか。

都心から1時間以上、農家でした。
農業を継ぐのは嫌で、地の利は悪いけれど、熱心な勧誘に負けて、自宅の隣にアパートを建て、サブリースを始めました。
折しも不動産ブーム。都心から1時間位の距離は平気でした。
売込みのD社は一括借上げの先駆者です。
資金全部を地銀から借りて始めたサブリースは、意外の成功でした。

気を良くした彼は、増築を計画しました。地銀とD社は賛成より、薦めていました。
有りたけの土地を全部賃貸物件にしたのです。中には自動車修理とか老人ホームなども
有りましたが、60%以上はD社のサブリース物件です。
「30年は収入は同じさ。返済もそれに合わせてOKだ。よい事を始めたな。」

破綻は直ぐ来ました。
不動産ブームは収まり、都心にも安い供給物件が幾らも出来たのです。アパートでなく、
マンションンです。彼のところはどんどん入居者は減って、且つ入居者の家賃の相場も
下がったのです。

彼が自分でやっているのはアパートは少ないですから余り影響はしません。
サブリースのアパートには響いたらしいです。
それでも、自分は入居者に関係なく30年は同じと思って安心していたら、突如D社から、値下げ交渉が有りました。
契約書に毎年見直しが出来ると謳って有ったのです。
しかも契約は修理代は全額彼負担となって居り、補修箇所がどんどん増え始めたのです。

値下げ交渉は強烈でした。それが何回も有ったのです。断ればサブリース契約そのものが
なくなります。
銀行返済は金利だけでなく、預金からも落とされるようになりました。

入る家賃は月450万、出る方は固定資産税が月割り80万。銀行金利が150万、彼と父の
生活費兼アパートの維持費が150万。元金返済400万を続けられる筈は有りません。
リスケを申し込みました。

当初、銀行は渋りました。
彼の窮状は良くわかっています。しかし当初は普通預金が1億5000も有ります。これが7000万にならないうちは、リスケNOと云う意見でした。
漸く、条件付でOKが出ました。
「300万以上、1回で引き出す時は銀行に断ってからにしてくだい。」

此の頃、彼はノイローゼと同じでした。「不動産は間違いなく全部取られる。預金も取られるだろう。
今のうちに何処かに移動すれば、其れは助かる。」
矢も盾もたまらなくなって、2000万を下ろしたのです。

「修理と言っちゃった。今更ほかの理由にはならないだろう。」
困り果てた彼は、老人ホームが問題点が多いのに目をつけ、知り合いの工事屋に2000万の
見積もりを作ってもらいました。
「解かりました。それで全額お支払いになったのですか。」
「イヤ、半額払えばよかったんだ。半分は持って居ます。」
それ以上は追及しませんでしたが、銀行は見に来ます。誤魔化せる位の工事をやらねば成りません。其の費用はもう貰えません。

これは息子をネタにしました。今年から都内の大学に通っています。
大変だから下宿させます。その時に本や機材もそろえますと言う口実で1000万引き出しましたが、考えると全くの無駄金を使ったものです。

基は隣に建てたサブリースのアパートからです。
良いと思って、契約書を十分に読まず、増やしました。それが完全に命取りになったのです。
説明だけで思い込んだ罪です。
冷静に考えれば30年間条件が同じなんて事を信じるほうが馬鹿とも言えます。

まだ預金は1億2000万有ります。これからどうやって、他行に移すか、
又全部抵当権付きの家賃を1ヶ月でも、2ヶ月でも貰う事は出来ないか、彼の正念場です。


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8月27日(火)のつぶやき

2013-08-28 | 事例


過去の反省が強く他人には愚痴に聞こえる。会社をやっていく自信もなくなったと嘆く。
「もう人前で愚痴っぽい事は言うな。此の会社はどんな事が有っても私はやっていく。」
と、皆に言って居なさい。漸く出来る様になった。周囲の態度が違ってきた。
挨拶すら目礼だった支店長が顧客を紹介してくれた。