「万一何時までにお支払いなき時は、貴殿を詐欺罪で刑事告訴をいたします。」
弁護士からの手紙ですから少し不穏当です。
6年前の依頼事件の着手金450万を貰ってない。払って下さいと手紙が来たのは2週間ぐらい前の事です。
そう、確かに6年前確かにある事件を依頼しました。
火災保険金請求の件でした。
この時は、事件のあらましを説明すると、早くも弁護士は「簡単に勝訴できます。報酬は後でも良いです。」
と云って簡単に引受けたのですが、後は見込み通りにならず、1年ぐらい争った後、全面敗訴したのです。
彼の請求は却下され1円も入りませんでした。
敗訴後請求書が届きました。
「完敗の癖になんだ。」
彼は広言の割りには簡単に負けちゃった事に腹がたって居ます。請求を無視したのです。
それから今日まで何一つ言って来ません。
ところが2週間前突然に、何の説明も無く、金額だけの請求書が届いたのです。
6年前の話しで、1円にもならなかった事です。
弁護士には着手金と云って、事件に着手する前に払うお金が有るらしいですが、そんな事何一つ聞いていません。
届いた請求書は着手金となって居ました。私は成功報酬しか考えて居ませんでした。
いずれにせよ払いたく有りません。
その時「時効」と云う言葉を思い出したのです。
調べました。弁護士費用は2年です。
彼は時効の援用の内容証明を送りました。
直ちに弁護士から反論が有りました。
「あなたは私が最初に送った請求を無視した。之は詐欺罪にあたります。詐欺罪の刑事告訴の時効は7年で
す。あなたは刑事告訴を希望しますか。」
知人の弁護士に参考意見として聞いて居ります。
「ちとおかしいね。弁護士ならばたとえ成功報酬でも2年で時効と言う事は知って居ますよ。
第一前途金を、裁判が終ってからの 請求と 云う事も、それ自体がおかしい話です。
又、3,000万くらいの請求事件の前途金が450万と云うのも高すぎると思いますね。
仮に、本件が時効で無くて、刑事事件にしたくても、受け付けてくれるかな。
其の弁護士、一体誰? 弁護士会に報告してやるよ。」
彼は此のまま全てをほうって於きました。それから半年、弁護士からは何にも云ってきて居ません。
こんな時効の反論は、相手が弁護士だからこそしたのでしょう。
刑事問題に驚いて払う人も出るかも知れません。
時効の援用は全部が成功とは限りません。
時効の援用で、一番古い失敗はもう10年になります。
信販会社全盛の頃です。地方の信販社も盛んでした。
債務者の息子は行方不明。親父が保証人で毎月振り込んで居ました。
保証人が払い始めて5年以上になります。
息子が全然払って居なければ時効になると教えてくれた人が居ます。
振込み控えは3分の1位しか有りませんでしたが、全て保証人の支払ったものです。
倅は事業が失敗してから家に寄り付いたことが有りませんから、時効は間違いないでしょう。
時効の援用をしました。ところが失敗でした。
相手から、倅の払ったと云う振込み用紙のコピーが1枚、送られてきたのです。
筆跡は間違いなく倅の手です。
結果は保証人の時効の援用に怒った、信販が自宅を競売しました。
又こんな例も有ります。
祖母が保証人で、不動産を持って居ます。
5年を過ぎたために、時効の援用をしました。ところが相手は、其れにも構わず請求の裁判の訴訟です。
裁判で解かった事でしたが、之は時効寸前に内容証明が届き、郵便局員が直接祖母に書類を手渡したのです。
痴呆症に近い祖母は其れを全く覚えていなかったのです。
之も裁判に負け、その後不動産の差押になって居ます。
これ以外にも間違いは有りましたが、改めて債務を確認し直すくらいで、別段ひどい目に有ったと言う事は有りません。
いずれも此方の手落ちでした。
時効は、よく調べて援用を速やかに行うべきでしょう。
時効になって居ても、殆どのところは時効ですという返事は有りません。
最近2社のサービサーが、「債務不存在の証明」を送ってきましたが、之が本当の態度の様な気がします。
普通は即座に反論が有るか、または請求が直ちに止まるだけです。
保証人の時効の援用で一番難しい事は、その間、債務者は確かに中断行為をして居ない事を見極めることです。
後は全て自分の行動が元になりますから正確に思い出せば良いです。
折角の権利ですから、是非時効の援用はやりたいと思います。
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