「あきづき」
●あきづきとは
◆あきづきの来歴
「あきづき」は茨城県にある農林水産省・果樹試験場(現 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構=農研機構 果樹茶業研究部門)において「新高」と「豊水」の交配から育成された大果で肉質に優れたやや晩成種で黒斑病に抵抗性のある「162-29」を種子親とし「幸水」を交配して育成されたやや晩生種の赤梨で2001年に品種登録されています。
育成の過程は以下の通りです。
1985年 「162-29」に「幸水」の花粉を交配し実生を得る。
1987年 実生を選抜圃場に定植。
1990年 初結実
1991年 外観品質が優れ、大きさも適切で成熟期も中晩生という目的に合っていたので一選抜
1992年 「ナシ筑波47号」の系統名をつけ、第6回系統適応性検定試験として全国の梨産地、34都道府県36箇所の試験地において特性を検討。
1998年 平成9年度落葉果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会を経て新品種候補として命名、種苗法に基づく登録出願され、「なし農林19号」として農林認定品種として登録される。
2001年 品種登録完了。
「あきづき」は「新高」と「豊水」、そして「幸水」という全国で栽培されている様々な品種の中でも、最も広く栽培されている上位3つ(2018年の時点)の品種を掛け合わせた赤梨です。
名称は秋に収穫でき、果実が豊円形で月のように見えることに因むとあります。
◆あきづきの特徴
「あきづき」の果実は平均果重が500gほどと「豊水」より大きく、果形は扁円形で果皮色は黄赤褐色です。撮影したものは350gほどと「あきづき」としてはやや小ぶりでした。
果点の大きさは赤梨としては中くらいで蜜にあり典型的な赤梨の表情をしています。
果肉は「豊水」並みの硬さで糖度は12度前後になり酸味はほとんど感じられない程度となっています。
日持ち性は25℃の室温下で10日前後と「豊水」と同じくらいとなっています。
「あきづき」は有てい果の発生が多い品種です、有てい果とは下の写真のようにお尻(果頂部)に花の名残であるガク片が残っている果実の事で、「あきづき」に関しては無てい果と品質的には変わらないです。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の形は扁円、果形指数及び梗あの深さは中、広さは広、ていあの深さ及び広さは中、有てい果の有無は有、果実の大きさは大、
果皮色は黄赤褐、果点の大きさは中、密度は密、果面の粗滑は中である。
果梗の長さ及び太さは中、肉梗の有無は無である。
果芯の形は短紡錘、大きさは中、種子の形は卵、大きさは中である。
果肉の色は白、硬さは軟、粗密は密、切口の褐変は中、甘味は高、酸味は弱、香気は少、果汁の多少は多、
開花期は晩、成熟期はやや晩で育成地においては9月下旬、後期落果は無~僅か、裂果は無、貯蔵性は中である。
「幸水」と比較して、花色が白であること、果実が大きいこと、成熟期が遅いこと等で、「豊水」と比較して、花色が白であること、果形が扁円であること、開花期が遅いこと等で、「生水」と比較して、梗あが広いこと、果芯が大きいこと等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたあきづきの食味
撮影試食した「あきづき」は8月下旬にスーパーで購入した果実重350gほどのものです。
食べてみると適度な食感のある歯触りでサクッと歯切れがよく、甘い果汁が口に広がりとても美味しいです。酸味がない分果汁がとても甘く感じます。収穫時期が多少ずれることと大玉であることが違いますが、食味的には「豊水」とあまり違いは感じられない気もしました。
今回のものは糖度を計ると13.5度ありました。
●あきづきの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「あきづき」は既に全国の梨産地で栽培され二十世紀梨に次いで4番目に広く栽培される品種となっています。主な産地は関東やその周辺では千葉県や栃木県、福島県、茨城県などで、その他九州の熊本県や大分県でも広く栽培されています。
あきづきの主な産地と栽培面積
農林水産省の平成30年特産果樹生産動態等調査によると千葉県で71.5haと最も広く栽培されており、次いで熊本県の48.4haとなっています。
◆あきづきの収穫時期と旬
「あきづき」はやや晩生種で育成地の茨城県つくば市では9月下旬ごろに収穫期を迎えます。
本種は産地も全国に広がっており、九州辺りでの収穫期は8月下旬ごろから始まり9月上旬に最盛期となります。
市場に多く出回るのは9月上旬から10月上旬にかけてでこの時期に旬となります。
*https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/nashi-Akizuki.htm より