「フナずし」
主な伝承地域 県内全域
主な使用食材 フナ、米、塩
歴史・由来・関連行事
なれずしは、古来のすしの一つで、塩漬けした魚と米を漬け込み発酵させたものである。発酵が進むにつれて「馴れる、熟れる」ことから「なれずし」と呼ばれている。なれずしは魚を長期保存するための加工方法で、腐敗しやすい魚を発酵させて年間にわたって食べることができるようになり、優れた保存法である。滋賀県ではフナを始め、ウグイ、ハス、モロコ、アユ、ハイ、ビワマス、コイ、ドジョウなどがなれずしにされる。「ふなずし」はその代表格で、五穀豊饒を祈る神社の祭礼に神撰として奉納されることが多い。「ふなずし」は琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナを使用することが多い。フナを丸ごと漬け込み、発酵中に産生する乳酸で骨が軟らかくなり、骨まで食べることができる。また増えた乳酸菌による整腸作用もあり、栄養価も高い。滋賀県では古くから腹痛や体調不良の際は、薬の代わりに「ふなずし」を食す習慣がある。このように古くから親しまれてきたなれずしは、平成10年(1998年)に滋賀県の無形民俗文化財の「滋賀の食文化財」として選択されている。
食習の機会や時季
「ふなずし」は、ハレの日など祝いの席や正月など人寄せの際に食されている。以前は各家庭でつくられていたが、近年は琵琶湖の産卵環境の悪化、外来魚による食害などの原因により、ニゴロブナが減少し、「ふなずし」をつくる家庭が減少しつつある。
飲食方法
琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナを使用することが多く、春先に塩漬けし、夏に塩切フナを上げて、水洗いして干したのち、桶に飯を敷き、その上にフナを重ならないように並べる。数回繰り返し蓋をして重石をのせる。これを「本漬け」という。本漬け後、正月まで数か月漬けこみ発酵させる。
保存・継承の取組(伝承者の概要、保存会、SNSの活用、商品化等現代的な取組等について)
以前は、各家庭で保存食としてつくられていたが、近年、ニゴロブナが減少したこともあり、「ふなずし」をつくる家庭は減少傾向にある。しかし、滋賀県の特産品である「ふなずし」は現在も人気があり、飲食店で提供されている。他にも家庭で「ふなずし」をつくる場合は、すでに塩漬けした魚を購入し、本漬けのみ行う家庭が多いという。近年、水で密封して発酵させる昔ながらの方法以外に、ポリ漬物袋で密封するより簡単な漬け方が開発されて、あらたな手作りファン層を広げている。また、「ふなずし」の飯(いい)を使ったお菓子なども開発されて人気を呼んでいる。
*https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/funa_zushi_shiga.html より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます