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イッピンNHK 「徹底的に!自由に!木の魅力を生かす~滋賀の木製食器~」

2023-07-28 08:41:49 | イッピンNHK

 第96回 2015年6月30日 「徹底的に!自由に!木の魅力を生かす~滋賀の木製食器~」リサーチャー: 吉木りさ

 番組内容
 今、滋賀で、便利でスタイリッシュな木製品が続々と誕生している。究極の曲線美を持つ木桶(おけ)のワインクーラー、さざなみのようなノミ跡が美しいプレート、赤ちゃんがこぼさず食べるスプーンなどだ。滋賀の南部は、自然が豊かで、京都や大阪にも近いその環境に魅了され、他県から腕利きの職人が移住しているのだ。知られざる木工品の産地・滋賀の魅力と、斬新な木製食器に秘められた職人の技と思いを、吉木りさがリサーチ。

*https://www.nhk.or.jp/archives/chronicle/detail/?crnid=A201506301930001301000 より

 滋賀県の約50%は森林が占めています。
 県面積のおよそ6分の1は琵琶湖ですので、陸地の60%近くが森林ということになります。
 
 滋賀県東近江市小掠谷は「木地師発祥の地」と言われています。
 平安時代に文徳天皇の第1皇子であった惟喬親王(これたかしんのう)が経典の巻物をヒントに「手挽きろくろ」を発明し、村人に伝授したと伝えられている。
 なお小椋谷地域は「木地師文化発祥の地」として平成30(2018)年度、日本森林学会の「林業遺産」に認定されました。

 そんな滋賀県は、昔から木製品の産地として知られ、最近では多くの職人が移住し、職人同士の交流の輪も広がっています。
 そして、滋賀では木の食器が続々と誕生しており、 木製品が全国で注目されています。
 
 
 1.木桶(「中川木工芸」3代目・中川周士さん)

 京都の老舗割烹料理店や旅館などに長年愛され続けている桶屋「中川木工芸」。
 「中川木工芸」では、釘などの接合道具を使わず木と木を組み合わせて作る「桶物」(おけもの)や「指物」(さしもの)、木をえぐってくぼみを作る「刳物」(くりもの)、そして回転する軸に木を取りつけて刃物で削る轆轤(ろくろ)、こういった日本に古くから伝わる技法を用いて、おひつ、湯桶、寿司桶など白木の美しい木製品を製作しています。
 
 「中川木工芸」は、京都の老舗桶屋「たる源」で修行を積んだ初代の亀一氏が京都白川工房を構えたのが始まりで、現在は、二代目の人間国宝(重要無形文化財保持者)の清司(きよつぐ)さんが白川の工房を受け継いでいます。
 清司さんは、木目の伸び縮みする特性を生かし、木をぴったりと合わせる「柾合わせ」(まさあわせ)の技法を確立しました。

 そして三代目・周士(しゅうじ)さんは大学卒業後、2代目より木工職人として桶、指物、刳物、轆轤などの技術を学び、平成15(2003)年、父の工房より独立して滋賀県大津市に「中川木工芸 比良工房」を構えました。
 
 周士さんは、受け継がれてきた伝統的な木桶の製作技法を用いながらも、現代にマッチする革新的な作品の製作にも挑戦し、国内だけでなく、海外からも高い評価を獲得しています。
 
  楕円形でシャープな口縁を持つシャンパンクーラー「konoha」(このは)は、京都の企画会社「リンクアップ」社長の今井雅敏さんから、
「海外に売り込めるような、今までにない、もっとシャープなデザインの木桶を作って欲しい」という依頼から生まれた桶です。
 平成22(2010)年にドン・ペリニョンの公式シャンパンクーラーとして認定されると、国内外から注文が相次ぎました。

 
 「konoha」(このは)は、樹齢200年以上の「高野槇こうやまき」や「尾州檜びしゅうひのき」といった希少な木が用いられた、白木の端正な佇まいがとても美しい桶です。
 またこれらの木は水に強く、保冷に適し、結露も生じにくいといった特性を持つため、氷を入れるのにも適しています。
 更に軽くて持ち運びしやすいといった実用性も兼ね備えています。

 周士さんの工房が紹介されました。
 周士さんが桶に使う材料は、高野槙や尾州檜の他、木曽椹(きそさわら)や木曽檜(きそひのき)、吉野杉(よしのすぎ)などの日本の木「和木」です。
 
 道具は、主に、鉋かんなや鉈なた、銑せん や割鎌わりがまなど、そのほとんどは昔ながらの形状をした木工専用の道具です。
 鉋だけで400刃、中には200年以上使われてきた道具もあるで、道具を見ているだけでも博物館みたいです。

 木桶の造形に変化を生み出すには、側面の板の角度がカギだそうです
 シャンパンクーラー「konoha」(このは)や「尾州檜シャンパンクーラー shizuku」のように両端を尖らせた流線型のフォルムを生み出すには、
コンマ何ミリの、より高い精度が求められます。

 周士さんは、普通の桶作りでは使用しないPCを駆使し、設計図をもとに3Dモデリングソフトによる解析をし、細かな数値を計算。
 ロジカルな仕組みを作ることで、抽象的な職人技を数値化し、より複雑な形状の製品づくりをしています。

 スペイン老舗ブランド『ロエベ』の「ロエベ・クラフト・プライズ」の記念すべき第1回に出品した、
 日本産の杉から30枚の板を組み合わせた丸盆の『Big Trays of parquetry』は、75カ国3900作以上もの応募の中からファイナリスト26作品のひとつに選ばれました。
 お父様の清司さんから受け継いだ「柾合わせ」の技が世界に認められたのです。
 
 デンマークのデザイナーとコラボして制作した『KI-OKE スツール』は、平成27(2015)年に英ロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)」、平成28(2016)年には「パリ装飾芸術美術館」のパーマネントコレクションに選ばれました。
 
 更に令和2(2020)年に誕生させた新ブランド『滋器-shiki-』はその名の通り、滋賀の木材を使った器のブランドです。

 中川木工芸 比良工房 草庭 滋賀県大津市八屋戸419

 

 2.木製食器(木工職人・川端健夫さん)

 滋賀県甲賀市の里山にある、木工職人・川端健夫(かわばたたけお)さんの工房を訪ねました。
 川端さんの工房には、フランスの三ツ星レストランやアメリカの「シェ・パニーズ」などで経験を積んだ、奥様の美愛(みあ)さんの菓子工房
「マンマミーア(現 pâtisserie MiA)」が併設されています。
 
 川端さんは、東京農業大学林学科卒業後、農業法人で農業者として土に塗れた後、足立技術専門校木工科を経て、木工作家・木内明彦氏に師事し、
修業しました。
 平成15(2003)年、川端さん御夫妻はかつて農業学校だった校舎に出会い、少しずつ、自分達の手で古い校舎を改築して、翌年、工房と菓子工房をオープン。
 
 お子さんが生まれた平成18(2006)年頃からカトラリーやお皿など、暮らしのまわりの小さな道具を作り出しました。
 
  川端さんの食器作りを取材。
 素材にはクルミの木を使用し、ノミで板を刻んでいく。
 彫る際は30度の角度を常に保っている。
 仕上げに表面にオイルを塗り艶出しをしてプレート皿が完成。
 川端さんは彫っている間は無心になれるので、夜中1時2時までやっていると話した。
 
 
 
 3.ベビースプーン(トナリ木工・川口なおこさん)

 滋賀県大津市、琵琶湖のほとりの「仰木の里」(おおぎのさと)にある工房「トナリ木工」では、夫婦が揃って制作活動をしており、
ご主人は木工家具の製作を、奥さんの川口なおこさんは、木の端材を使って、スプーンなどの小物の製作を行っています。
 
 なおこさんが作る、木の器、カトラリー、壁面インテリアものなどは、どれも可愛いものばかり。
 特に、「ベビースプーン」が人気を呼んでいます。
 耐久性や安全性にも配慮した、 塗料やワックスを選んで仕上げています。
 これまで幾度も改良と工夫を重ねてきたとおっしゃいます。
 現在は、お年寄りのためにスプーンを試作中だそうです。
 
 トナリ木工 滋賀県大津市仰木ノ里東8-21-2

*https://omotedana.hatenablog.com/entry/Ippin/Shiga/wood より


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