登録番号 第34号 すんき
特定農林水産物等の区分 第17類 野菜加工品類 野菜漬物のうち、(一)から(八)までに掲げるもの以外の野菜漬物(乳酸発酵漬物(無塩))
特定農林水産物等の生産地 長野県木曽郡(木曽町、上松町、南木曽町、木祖村、王滝村、大桑村)、塩尻市の一部(旧楢川村)
登録生産者団体 すんきブランド推進協議会
特定農林水産物等の特性 木曽郡の伝統野菜である赤蕪の茎葉等を原料に無塩で乳酸発酵させた国内外でも珍しい漬物。べっこう色で乳酸由来の酸味が特徴。
地域との結び付き 標高が高く寒さの厳しい気候・風土が赤蕪栽培に適している。塩が貴重な時代に山深い地で冬季の野菜を保存する必要があったことから、塩を一切使わない製法が発達。300年以上続く木曽地域の伝統食。
*https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/i34.html より
「すんき」は、長野県木曽郡に古くから伝わる伝統食で、この地域の伝統野菜である赤蕪の茎葉若しくは茎葉と葉の付け根部分にあたる胚軸の一部を原料として、複数の植物性乳酸菌によって発酵させる、国内外でも極めて珍しい無塩の乳酸発酵による漬物です。
「すんき」の外観は、長野県で良く漬けられる野沢菜漬けに似た、べっこう色をしています。赤みを帯びた胚軸の一部を刻んで入れるため、その赤みによって漬け汁が薄いピンク色を呈している場合もあります。
乳酸菌発酵による独特の酸味があり、そのまま食することもありますが、木曽郡では古くから、味噌汁に具としてすんきを入れた「すんき汁」や、温かいそばの上にすんきをのせた「すんきそば」が食べられています。
また「すんき」は、木曽郡では古くから健康維持に効果があると言われており、最近では、整腸作用や抗アレルギー作用などの機能性が注目され、研究が重ねられています。1950年に世界初となる「すんき」の乳酸菌についての論文が発表されて以来、栄養成分や機能性等についての研究が行われ、その乳酸菌の免疫調整機能や疾病予防作用が報告されています。
「すんき」の作り方は、赤蕪の茎葉若しくは胚軸の一部を湯通しし、「すんき種」を加えて漬け込みます。「すんき種」は乳酸発酵のスターターであり①前年に製造したすんきを冷蔵、冷凍、又は乾燥したもの、②前年に製造したすんきの漬け汁を冷蔵したもの、③すんきから分離培養された4種類の乳酸菌を利用します。漬け込んだ後、概ね1日後までは保温した状態を保ち、良好な発酵が確認されたら冷涼な場所に置いて、じっくり発酵させます。
最初の漬け込みにはすんき種を利用し、出来上がった「すんき」を種としてさらに漬け込みを行う作業を数回繰り返して、漬け込み量を確保します。
発祥の地である木曽郡木曽町開田高原及び木曽郡王滝村は標高が1000m~1300mと高く、年平均気温がそれぞれ7.4℃、10.5℃と寒さの厳しい地域であり、原料となる赤蕪の品質にも影響を与えていると考えられます。特に、収穫期を迎える直前の10月終わりから11月頃に、赤蕪畑に2、3回、霜が降り霜に当った赤蕪が、美味しいすんき作りには重要であると経験的に知られています。
「すんき」は江戸時代から今日に至るまで日常的に食されてきた伝統食ですが、かつて塩が貴重な時代に、山深い信州木曽の地で冬に不足しがちな野菜を保存するために、塩を一切使わず、乳酸によって保存性を高める食品として発達したと考えられています。元々家庭の味として伝承されてきた「すんき」ですが、1972年には地元の農業協同組合が販売を開始し、地域資源として広く見直されるようになった1985年ころから、木曽郡内の農産加工組織等によって「すんき」が広く商品化されるようになりました。
*https://gi-act.maff.go.jp/register/entry/34.html より
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