2017.8.30.撮影 富田林市伏見堂 石川右岸(東側)
2017年7月22日、府立長野北高校 科学同好会(顧問:岩根 啓樹先生)の清水 大河君(高2)がペットボトルのいかだで川下りをしながら探索中に、100万年前+αと思われる大阪層群に根を張った直立樹幹の化石木を発見しました。
南北70㎝、東西40㎝、高さ26㎝(水面より)
すこし砂利が堆積していますが、この直立樹幹の化石木は大阪層群と思われる青緑粘土層にしっかり根を張っています。
大きさに違いがあるものの、 2013.6.5.に発見された錦織 高橋下流200m地点の化石木群の中のポイントAによく似ており、検査結果を待たないと確定はできませんが針葉樹で、根の張り方より、メタセコイアに近い種類であろうかと想定できます。
千代田橋~伏見堂大橋の間の両側が切り立った流れの中にこの化石木は存在し、川の中を巡検しない限りなかなか発見できない場所にあります。
その意味でも、今回の長野北高校の科学同好会のペットボトルいかだによる探索は大きな意義があったと言えます。
大阪層群と思われる青緑粘土層が露出しています。地層は北西から南東に昇り勾配で傾斜しており、その下の層は礫を含む固結した層であるようです。
化石木の地点を下流側に130m程下ると、伏見堂大橋が見えてきます。
先ほどの直立樹幹以外にも、根っこか切り株のような材化石も見られました。
粘土層に埋まっていますが、粘土を取り除くと大きな直立樹幹の室(空洞)の縁であったりして、すごく大きいこともあります。
化石木の上流20m位の地点
手前左:大阪層群と思われる青緑粘土層
右奥:こぶし大の礫を含む固着した岩盤のようになっています。
この二つの層は不整合になっているようです。
大きな礫を含んでいますが、実はこの岩盤に固着しています。
大阪層群のように100万年程度では、堆積した土砂は固結しないので、もっと古い時代に堆積した層であると思われます。火山岩をふくむ二上層群かその累層(1500万年前)の可能性もあるかもしれません。
川底の表面をすこし削ってみました。礫を含む岩盤は比較的柔らかく、礫で叩くと崩れていくような感じです。
表面を剥ぐと、礫を取り込んだ白っぽい岩でした。かなりもろく、そして一部チャートの丸い礫含むので、川や池に堆積した凝灰岩の可能性もあるかと思います。
探索の要、ペットボトルいかだ
一見雑ですが、ちゃんと浮力を計算して、探索した清水君の体重に十分耐えるように設計されています。
河内長野市木戸東町の府立長野北高校へおうかがいして、第一発見者の清水 大河君(右)へ発見当時の状況をお聞きしました。
また、ペットボトルいかだの製作やいかだ探索の支援の要として活躍された名嘉山さくらさん(中央)、近藤ニコラス健二君(すんません、写っていません。)の科学同好会のメンバーからも製作に関わるお話を聞くことができました。ありがとうございます。
写真左は、今回の事を取材している高砂さん。(金剛コミュニティ)
今度、高校の近くの細谷池を水利組合の許可を得て、このいかだで探索するそうです。
日本固有種で絶滅が危惧されているイシガメに出会えるといいですね。
5か所に点在する富田林市域における100万年前±αのアケボノゾウの牙・臼歯やシカマシフゾウ(シカの仲間)の角化石、ゾウ・シカ足跡化石と化石木の自然史遺産の、新たな6つ目の新発見として、しかもその南限域での直立樹幹の化石木ということでその意義はすこぶる大きいと思われます。
しかも近隣の市町村では見つかっておらず、富田林市のオンリーワンの一級の自然史遺産です。
今回の発見は二上層群の凝灰岩層と思われる岩盤も見つかっており、『横山潮湧石』の柱状節理や鉱泉湧出地点も上流800m程のところにあり、一大自然史遺産となっております。
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石川化石木・足跡化石(26)
写真撮影:2017.8.30.&9.08.
2017.9.12. HN:アブラコウモリH