〈リバイバル・アーカイブス〉2024.6.17~7.1
原本:2023年6月2日
2023年5月23日 19:48 富田林市中野町二丁目7 岸本記念自然緑地公園(中野竹林)
5.21 21:43 今まさに飛ぼうとしているオスのヒメボタル。後翅が大きく飛ぶことができます。
メスは前翅がオスと同じく黒く硬くてほぼ同じですが、後翅が退化していて飛べません。もちろん歩くことはでき、地上の竹の葉っぱなどに普段は隠れています。夜に子孫をつなぐためオスが見える葉っぱの上に出てきます。
5.23 20:22 クモの捕獲されたヒメボタル。捕獲されても光っています。
毎年見かける風景で、クモの巣でぐるぐる巻きにされたヒメボタルも見かけます。
(ピントが合わず申しわけありません)
【ヒメボタルとは】
ヒメボタルは、大阪府レッドデーターブック準絶滅危惧種に指定されている貴重なホタルです。
ヒメボタルは、ゲンジボタルやヘイケホタルと 異なり、陸生で幼虫は竹薮や林の落ち葉の中で、カタツムリの仲間の陸生の巻き貝キセルガイなどを食べて生育します。
ヒメボタルのメスは後翅が退化し飛ぶことが できず、行動範囲が限られているので、生活環境が破壊されるとそこを移動して生活できず、絶滅し再生は不可能となります。
発光の色はゲンジボタルが、やや緑がかった白(関西は2秒周期)に対し、ヒメボタルは白っぽく、発光の間隔がチカチカと短いため、観測数が多いとまるでクリスマスツリーの電飾のようになります。
観測数は天候や時刻において変動しますが、20時30分から21時30分頃までが 多く光ります。(地域差があります)
また、ヒメボタルの発生は年のより変動がありますがゲンジボタルより早く、5月中旬より発生しピークは5月下旬から6月上旬(5月28日頃が最大のピーク)で、石川上流部 のケンジボタルの6月上旬から下旬(最大のピークは6月15日頃)よりかなり早いです。
〈画面をクリックすると拡大します。〉
岸本記念自然緑地公園(=中野竹林、楠公支城群中野城または中野砦) 外観
現在の竹藪
整備しないで以前の状態を残している部分
真竹は5年位で幹の緑を失い黄変します。そしてなかなか腐って倒れないため立ち枯れしています。
5.23 19:58 遊歩道内にいたオスのヒメボタル。
オスはメスより眼が発達しているようです。またオスは後翅により飛ぶことができます。だだ、あまり高く飛ぶことはありません。せいぜい1m程度の低い位置で飛びます。ヒメボタルの場合はおそらく地上にいる飛べないメスを捜すために、低く飛んでいるようです。そして、オスの眼が大きいのも地上で光っているメスを識別するために発達したのではないでしょうか?
三大ホタル(ゲンジホタル・ヘイケボタル・ヒメボタル)の内、メスが飛べないのはヒメボタルだけです。
5.21 19:48 これもオス。
5.25 20:40 遊歩道内にいたオスのホタル。
5.25 21:02 オスのホタルに光を当てて動かなくなったのを裏返した姿。
死んでいるわけではないのですが、光を当てたり触れると動かなくなります。発光器は3節。
5.27 21:19 これも動かない状態のホタルを裏返した姿
夜気温が下がり、活性が落ちると光らなくなったり、光度が落ちたり、動かなくなったりするようです。詳しいことは今後の研究課題になります。
今年は元富田林高校の小川力也先生が主宰する「力塾」の富田林高校の生徒さんが調査に来られています。地元の高校生で課題研究されるのはとてもありがたいことです。まだ解明されていないことが多いので、今後の研究の成果を期待します。
5.23 20:42 眼がすこし小さいのがメスのようです。
正確には後翅を見ると解ります。21:30以降の比較的遅い時間に竹の葉っぱの上などの見える場所に出てきているようです。
5.27 21:46 これもメス。オスに見つけてもらうためか発光器は点滅しています。
ヒメボタルは陸生のホタルで落ち葉や腐葉土に潜む陸生の巻貝(キセルガイ、オカチョウジガイなど)を幼虫の時に食べています。成虫期にはほとんど何も食べません。成虫期に夜露を補給する程度だそうです。ヒメボタルは幼虫期に蓄えた栄養分で、蛹・成虫期を生き抜きます。
よって生存できる期間は1週間程度。その期間に相手を見つけ、卵を生んで子孫を残します。
5.23 21:01 これはメスのようです。発光器がオスの3節に比べ、2節しかありません。
富田林市ではこの岸本自然緑地公園(中野竹林)、須賀の西除川支流の竹藪(絶滅寸前 2020.5.28 出現数3匹)、佐備川流域(下佐備の佐備川流域の真竹・女竹の竹藪 30匹)、彼方奥の谷(50匹 ここは4種類のホタルを確認しています。ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル、オバホタル)
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5:27 21:57 左がメス、右がオスのようです。
眼の大きさが違うことに注目。体長はメスの方が大きいようですが、個体差が大きく識別しにくいようです。
メスは飛ぶことができないので生活域が狭く、行動範囲が限られているので、生活環境が破壊されるとそこを移動して生活できず、絶滅し再生は不可能となります。
5.25 20:11 「つがい」でいたホタル。これも左がオス、右がメスのようです。
富田林市域の石川左岸は錦織から喜志まで比高10~15mの河岸段丘崖が続きますが、そこには古くから真竹が植えられていて、ほぼ連続的に竹藪が存在しました。崖面の保全と新堂のように竹細工の原料として使用するためです。
その後多くの竹藪が切られたため今では断片的に錦織、富田林、中野地区の狭い範囲で残すのみとなっていますが、おそらく以前は連続的にヒメボタルが生息していたのではないかと思われます。
5.27 21:20 比較的遅い時間にカップルが誕生しています。3匹、4匹集まっていることもあります。
中野地区の地元の方への聞き取りによると50年前に竹藪の外側からホタルを見たと言われています。
竹藪の中は竹の落ち葉が15cmくらい積み重なった腐葉土でした。
2009年、今から14年程前に「富田林の自然を守る会」が地権者岸本忠三氏をはじめ4名の依頼で、竹藪の整備と保全をされるようになり、チッパーを導入して竹藪の整備を開始しました。
5.27 21:22 眼が大きいのがオスのようです。
自走式チッパー(竹の粉砕機)2台を導入して立ち枯れした古い竹をおがくず状に粉砕し全体に散布することにより、腐葉土が格段に多くなり、微生物、小さな昆虫、カブトムシの幼虫、ホタルにエサになる陸生の巻貝(キセルガイ、オカチョウジガイなど)が増えたようで、出現するヒメボタルも急激に増加しました。つまりメスを加えて千匹以上のヒメホタルが発生できる環境ができたわけです。
ここ数年間に発生数が急激に増えた理由はここにあります。
5.27 21:22
今回の写真はほとんど遊歩道内(人が歩いて踏みつけるところ)で撮影しています。よってホタルを遊歩道内で踏みつぶしてしまう危険性があります。ここは腐葉土でなくなりましたので、踏まれた時のダメージが大きくなったと言えます。(ホタルが遊歩道に溢れるほど大量に発生しました。光のジュウタンの上を歩いているようでした。)
遊歩道を2m弱から2.5mに広げることにより、太陽の直射の影響が出てくる可能性も否定できないかと思われます。
現在の遊歩道
整備前の遊歩道 2022年4月22日 竹のおがくずがまかれているのが解ります。
ここで今後の課題を考えてみましょう。
・遊歩道上の地下茎を切って外から砂(真砂)入れたことへの影響。この部分はホタルのエサなる巻貝に必要な腐葉土がなくなりました。掘り下げた深さによっては、両側の竹藪の分断による影響も出てくると思われます。
・遊歩道を2m弱から2.5mに広げることにより、太陽の直射の影響。土壌の乾燥度や直射を嫌う微生物、ダニや節足動物、陸生の巻貝への影響。
・遊歩道上もホタルの子孫を残す出会いの場所になっていますが、人の往来が今後増加するに当たり、ホタルを踏みつぶしてしまう危険性。
・夜に街灯が点灯(ホタル期間は消灯)しますが、それがホタルの生態系にどうゆう影響を及ぼすかが解りません。
今後以上のような課題を検証していく必要があるかと思います。
「ホタルに優しい環境は、人にも優しい。」
5.27 21:26 遊歩道で踏みつぶされたヒメボタル。
遊歩道内の竹の落ち葉にヒメボタルがいることがあります。遊歩道内で光っていますので、見学時にはご注意ください。
遊歩道を2.5mまで広げ、一部竹を伐採し腐葉土と竹の地下茎を取って、他から砂(真砂)を入れたことが来年以降ホタルの生息に影響しないかが心配です。
今後じっくり見守っていきたいと思います。
以下は追加いたしました。kusu
夜間の竹藪。
白いところがヒメホタルの光です。(写真撮影は難しいです)
岸本記念自然緑地公園(中野竹林)のヒメホタル(2022.05) 小島氏撮影
60秒間シャッターを開けて撮影とのこと(一枚の写真で合成ではない)
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ようこそ、おかえりヒメボタルー富田林市域で(最後に現在の状況あり) 2019.6.5
富田林市および周辺のホタル情報はこちらをご覧ください。
- ホタル(26) 26記事あります。
撮影日:2023年5月21日、23日、25日、27日、28日、31日
2023年6月2日 ( HN:アブラコウモリH )
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