アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

首相、検察官、プロデューサー、準教授…皆キレた

2008年12月17日 | Weblog
  キレない人がいない時代

 キレないだろうと思われる人たちが、キレた、1年でした。
 福田康夫前首相の「あなたとは違うんです」。これは、明らかにキレた発言です。今年の流行語大賞に選ばれたが、福田前首相は、受賞を辞退した。その断りの文面は、「誠に光栄ですが、御辞退申し上げます。花深く咲く処行跡なし」
 棟方志功さん(板画家)が、好んだ言葉「花深処 無行跡(はなふかきところ ぎょうせきなし)」であるらしい。青森市の棟方志功記念館では、出典は不明だが、「前人未到の独創的な芸術の境地」という芸術論的解釈と、「大自然のなかでは人間の足跡など消えてしまう」という宇宙観的解釈をしているとのこと。棟方志功さん、破天荒な人だとばかり思っていましたが、どうしてどうして。それにしても、福田前首相、さすがに博識。「あなた方とは違うんです」と言われても、「ハイ、スミマセン」ですね。
 私流の解釈は、「咄嗟に出た言葉の尻をいつまでも掴まえて離さないのかこら!仕舞いに表彰するだと?満開の花は、花畑についていた人の足跡を覆い隠してくれますよ。何時までも足跡を目立たそうとしないで花を愛でなさい」…このような心境を、「花深く咲く処行跡なし」と、表現したと思います。福田さんから、お歳暮はいただいておりません。

 この人たちは、「絶対キレないだろう」と思っていたのですが、やはり「絶対」はなかったですね。
 山口地検の検察官と検察事務官ら3人が、嫌がらせ発言をしたり、飲食店で暴言を吐いて、懲戒処分を受けましたが…。新聞には、(場所が、法廷ではなくてよかったあ!)「不安感を与える言動を繰り返した」「差別的な嫌がらせの発言をした」と、ありました。検察官ですから、不安感を与える言動は得意中の得意でしょうが、差別的な嫌がらせ発言って…どんなの?見当がつきません。
 検察事務官が、飲食店で居合わせた客に、「ダニ」「ウジ虫」などと暴言を吐き、さらにつかみかかろうとした…オノレらガキか?怖いのは、法廷勤務の人たちですから、逆らえません。そういう、「お前らのようなダニとはちがうんです」という人、「キレてつかみかかってくる人」が、法廷にいるということを認識してかからなければなりません。次回出廷するときは、背負い投げの練習をしていきます。つかみかかってきたときに投げてやります。

 こういう人もキレるのか?NHKの人気番組「プロジェクトX」の統括プロデューサーだった人が「ゼンモール渋谷店」で、7,300円相当の品を万引き。「自分はこの店でいっぱい買い物をしているんだ。7,000円くらいで捕まりたくない。金を払うから許してくれ」と…いやはや、「プロジェクトジェクトX」って…万引きを見逃してもらうX作戦…

 ガッカリさせられたのが、早稲田大学の准教授さん。キレた理由の低レベルさには唖然とします。コンビニで買い物をし、レジで並んでいた。NHKの「プロジェクトX」の統括プロデューサーなら、「レジに並びたくなかった(本人談)」ので、金を払わずに店を出るところですが、准教授さんはそのようなコソドロはしない。
 そのときの状況を推測すると…
 レジが混んでいるのをみて、店側は別のレジを開け、「お客様どうぞ」と言った。そのとき、准教授の後ろに並んでいた客が、サッとそちらのレジへ行き准教授より先に会計を済ませてしまった。
 普通の人なら、これくらいでキレません。しかし准教授ともなると、コレがおもしろくない。キレてしまって、店から出る際、出入り口のガラス戸をキックして、割った。准教授ともなると、キック力が強い。コンビニの入り口のガラスは、普通の大人が蹴っても割れませんよ。准教授、器物損壊容疑で現行犯逮捕された。「常人とは違うんです」ってとこでしょうか…。

 この准教授、「曽根崎心中(近松門左衛門)」の初版本の完本を発見したことで、その道では知る人ぞ知る、知らない人は全く知らない存在なのだそうです。当たり前だってかぁ。
 曽根崎心中の研究者?そう言われてみると、ストーリーと准教授の行動と似ています。
 曽根崎心中では…主人公の徳兵衛は、自分に非がないのに、九平次に詐欺師呼ばわりされさんざん殴られた。「死んで身の証を立てるよりほかに、身の潔白を証明し、名誉を回復する手段がない」と考え、お初という女性と心中してしまった。何としても心中させようという、凄いストーリー!徳兵衛は、九平次をやっつければよかったのに!お初など、いい迷惑ですよ。准教授も、後ろに並んでいた人に文句を言うとか、レジ係に文句を言えばよかったのに、ドアに八つ当たり・・・。徳兵衛になったつもりか?ドアがお初?

 おじさんもキレます。おじさんが、名鉄笠松駅に停車中の電車の車内で、向かいに座っていた女性の顔をいきなり数回けり、挫傷などを負わせた。「自分をじっと見られたのが気に入らなかった」のだそうで…。ウカウカ、人の顔を見ていられません。キックされてメガネを壊されたら大変。メガネより鼻骨の心配をしろってかぁ。

 「キレる」は、若年層御用達かと思ったら、高齢者の粗暴犯が全国的に増加…法務省によると、2007年に暴行、傷害事件で摘発された高齢者は2,946人。いやはや、じいさん、ばあさんキレまくりだね。2008年版の犯罪白書は「高齢者だからといって良識をわきまえているわけでなく、社会生活の中で高齢者を指導、教育する方策を考えるべきだ」と指摘しています。

 あのー…言いにくいののですが、良識をわきまえないのは、高齢者はもちろんかも知れませんが、政治家の方とか、検察の方とか、大プロデューサーとか、大学の先生とか…私とか…。国民は、皆「キレル」んです。