アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

結果を返すのも、知る権利も当然

2008年12月28日 | Weblog
  非公開で学力はつきません

 年の瀬、このタイミングにどうして?秋田県の寺田典城知事が、全国学力テストの結果を公表した。昨年度と本年度の秋田県内全25市町村別の平均正答率。県のホームページにも掲載されています。世界中の人が、見ることが出来ます。都道府県がすべての市町村別データを公表するのは全国で初めて。

 寺田知事は、「公教育はプライバシーを除いて公開が基本だ。県の成績は公開されているが、市町村が公開されないというのは不合理。有益な情報が県民や一般の教員に知らされていないのはいかがかと思う。秋田の子どもたちの生活、学習習慣の素晴らしさが公表の勇気を与えてくれた。情報を共有することが教育の向上につながる」と、述べた。
 公表を受け、塩谷立文部科学相は、遺憾のコメントを発表、秋田県市町村教育委員会も反発を強めている…。どんな言い分か。
 八峰町(千葉良一教育長)・・・「公表する必要はない」
 三種町(大塚強教育長)・・・・「自由競争も行き過ぎると弊害が多い」
 八郎潟町教委(課長)・・・・・「学校の序列化につながる。残念だ」
 塩谷立文部科学大臣・・・・・「公表は遺憾。事情を確認したい。教育委員会の意に反した公表にどのような意図、ねらいがあるのか、教育上の観点からプラスに働くものかどうかも含め、事情をしっかりと確認していきたい」

 一か月前の、新聞では、「8割の国民が公開賛成」だったはず?現在、形勢として寺田知事が四面楚歌の状況に置かれている。ここは、寺田知事に強く生きていただきたい。全国学力学習状況調査に関しては、何度か書かせていただきましたが、「公開すべき」ものです。
 それを、「競争は、悪い」「序列化に繋がる」と理由をつけて反対。八峰町の場合、「公表する必要はない」と、言っています(必要がない理由は、公表されていない)。思うに、本音は、「どっちだっていい。世論として、非公表に追い風が吹いているから必要なしとしておこう」と言うことでしょう。なぜそう思うか?八峰町は、秋田県のトップ。言い換えると、日本一。余裕しゃくしゃくです。風向きを見て、コメントしておればいいのです。 それにしても、文部科学大臣…確認してくださるそうですが、どうして公表が遺憾なのか、2日前に、「2009年度の実施要項で公表を禁止」と発表したからかな。朝令暮改ということわざもあります。舌の根が乾かないうちに、変えたっていい。21世紀ですから、それくらいのスピードで対応してほしいものです。
 河村建夫官房長官は記者会見(12月26日)で、秋田県が市町村別の全国学力・学習状況調査の結果を公表したことについて「各市町村の結果の開示は、あくまでも現場の教育委員会の判断に委ねるべきではないか」と述べました。 官房長官の記者会見の直後、文科大臣は、「情報がどんどん公開されると(市町村教委の)参加が少なくなることも考えられる。情報公開条例に対抗するためには法律みたいなものを作らないといけないのかなと思う」と、述べました。
 つまり、「公開する都道府県に対する脅し?」そのように受け止められますよ、「法的規制を視野に入れる」というのですから。文科大臣がそこまで公開を嫌う?是非納得のいく説明をしてほしいです。「一度禁止と言ったから、もう変えないもんね」じゃなくて。

 そもそも、全国学力テストはどうして約40年ぶりに再開されたか?「学力低下の実態を調べる」ためです。調べてどうするか?「対策を立てるのです」上位市町村の実践を知ることにより、効果的な対策が講じられるはずです。自分の所の点数だけ知って、対策が立てられますか?もし、立てられるというのであれば、テストの前にとっくにやっているでしょう。
 「テストをさせておいて(競争)、結果は非公開」、そのことが全くの間違いなのです。
 もう一点、「知る権利は何よりも尊重すべきもの」ということです。日頃、「知る権利」を、なんとか教のお題目のように唱えておられる方々が、全国学力テストの結果公表になるとその権利を棚上げ。

 「点数比較だけが興味本位で取り上げられ、地道な教育活動を阻害する」・・・地道な教育活動をしているのなら、学力ついているだろうが!
 「過度の競争を招く」・・・公開しなければ、適度な競争になるんだぁ?
 「市町村の成績が悪いと、そこの教員が悪いと見られ、意欲低下を招く」・・・自業自得。学校は、教員への慈善事業じゃないんだから、授業の中身については、厳しくしなければなりません。「意欲低下?」非公開なら意欲が高揚するのか!?それでいいと思い、何もしないでしょう。
 「序列化、差別化が進む恐れがぬぐえないから公開反対」・・・これらは、試験を受けさせておいて結果を返さない理由にならないでしょう。19円のもやしを買っても、レシートくれますよ。「刺激に対しては反応する」これが社会の常識です。序列化?いいと思います。序列が下位の学校でも、やる気のある教員が3人おれば、這い上がってこられます。差別化は、あり得ないです。もしあるとしたら、児童生徒の学力とは無関係の要素による差別化です。すり替えないでいただきたい。
 「公開した際のデメリットをカバーする方法はあるのか?」・・・ピグマリオン効果を御存知でしょうか?アメリカで、実験的に立証されている効果です。日本でも昔から、言われているものです。早い話が、「ほめる」ことです。「ほめられると伸びる」、子供だけではありません。大人も同じです。デメリットなどと言わずに、メリットにすればよいでしょう。公開は、ほめるチャンスですよ。

 …なんとか非公開にしようと、屁理屈ばかりつけているが、肝心の知る権利はどうしたの?非公開は、知る権利と矛盾するでしょう。2年間で、135億円使っているんだから、知ろうよ。