アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「残心」のあと受話器を置く

2009年05月16日 | Weblog
ジャンボ氏から時々電話をいただく。ジャンボ氏は、オランダ、北米の勤務が長かったが、現在は、中国、タイ、台湾、東京が仕事場。東京へ来たときは、病気の旧友(私のこと)を気遣って電話をくれるというわけ。
 ジャンボ氏は、こちらが受話器を置くタイミングを読んでおります。のちに述べる、「残心」を心得ています。

 自宅へかかってくる電話…振り込め詐欺関係は今のところないが、セールス関係はある。「どうして、うちの電話番号を知ったんですか?電話帳に載せていないんですけど」と、問うと、「ガチャン!」と電話を切る。その気分の悪いこと。
 友人知人でも、人によっては用件が終わり次第、「ガチャン!」と切る人がいる。気分を害したのかなあと、こちらが心配になる。

 電話の切り方ですが、私は相手が受話器を置くまで待ちます。自分から先に切りません。相手の人が、私と同じ考えを実践しているケースが多いです。そんな場合は、「阿吽(あうん)の呼吸」で、分かるものです。ほぼ同時に受話器を置くことが出来ます。

 これが、「残心(ざんしん)」です。武道にも芸道にも用いられる言葉です。(「残身」と書いたり、「残芯」と書くこともあり。意味は全く同じ)
 電話を例に取ると、用件が済んでも、「お話が出来てよかったですよ。ありがとうございます」と、余韻を残して静かに受話器を置く。美学であり、禅にも通じます。

 柔道の指導で、練習が終わった後の挨拶…(リーダーが)「正座!黙想!(間)やめ!ありがとうございました(礼)」この後が問題。小学生は、礼が終わるか終わらないかのうちに、パタパタと更衣室へ向かおうとします。私は、そのようなことがあるとそれを引き留め、「正座!」の号令からやり直しをさせました。「礼」の後、すぐに立ち上がったのでは、「残心」がない。「今日の練習も無事終わったな」と、達成感を味わいながらゆっくりと立ち上がってほしいのです。

 焼香の後も、「残心」してから立ち上がるべきです。食事の後も、「ごちそうさまー」と、立ち上がらずに、「ごちそうさまでした」と静かに言って、残心してから立つ。

 ジャンボ氏からの電話…受話器越しに、かすかにBGMのようにクラッシックが流れてきます。受話器越しに、テレビの音声(芸なし芸人がバカ騒ぎしている番組など)がガンガン聞こえるのとはえらい違いです。
 電話の時、ジャンボ氏が聴いていたクラッシックは、セザール・フランクの、ヴァイオリンソナタのイ長調だった…?と、思います。
 「ソナタだぁ?適当に書いているんだろう!」って?うーん、アナタだったか…ドナタだったかも知れません。この最後の段落が、本日の残心のつもり…です。