アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

「円盤来い来い」で、円盤は来ないと思うが…

2012年11月19日 | Weblog
 三島由紀夫の長編小説「美しい星」(新潮文庫)がじわじわと売れているのだという。50年も前に書かれた本が。なぜ今?それは、作品の中に、「放射性物質、セシウム、半減期」などの言葉が出てくるからでしょう。三島由紀夫が、「放射能に怯える日本を予見していた」…。読んでみようかなという人がいても不思議はない。

 今頃になって、「美しい星」のタイトルを目にするとは思ってもいませんでした。私の場合、放射性物質とは関係なく、「宇宙人が乗ってくる空飛ぶ円盤」で、懐かしく…昔を思い出しました。

 学生時代に、「円盤を呼ぶ会」なるグループがありました。活動するのは、土曜日の夜。小田急線の生田に集合して丘へ登る。そこで、空へ向かって、「円盤来い来い、円盤来い」と呼ぶ。教授が主催者という話もありました。(実際、教授も参加していた)
 それって、三島由紀夫や星新一が所属していた、「日本空飛ぶ円盤研究会」と関係があるのかって?時代が違うので直接関係はないですが…いわゆるパクリでしょう。

 実にバカバカしい。「円盤が本当に来た」という噂(意図的に流したデマでしょうが)も流れました。その時はさすがに、「参加してみようかな」と、心が動きましたけどね。何度か誘われ、拒否しているうちに、「円盤を呼ぶ会」も自然消滅。
 結局、土曜日の夜大勢で集まって、始発の電車まで楽しく過ごそうというものだったような…。丘の上でフォークダンスとかしたのかって?参加していないのでたしかなことは解りませんが、フォークダンスはしていなかったと思います。「円盤を呼ぶ踊り」は、していたと思います。

 どうして、「生田」だったのか?それは、「美しい星」のエピローグの部分に、「東生田の裏の丘に円盤がやってきた」と、書かれているから。それなら、飯能市の羅漢山でもよかったんじゃないかって?たしかに、「美しい星」に、羅漢山へ円盤が来ると書かれています。しかし、私どもの学校は世田谷でしたので、生田の方が近かった。まあ、その程度の理由です。

 小説と、現実がゴッチャになっているわけで…おもしろいといえばおもしろい。平和な時代だったということでしょうか。
 と、いうわけで、「美しい星」にはバカバカしくも平和な思い出があります。

 それから十数年後、家内と一緒に「空飛ぶ円盤」を目撃したわけで…。オレンジ色に輝く楕円形の物体でした。こうゆう話って、信じる人と信じない人がおられる。私も自分で見るまでは、その手の話はマユにツバをツケながら聴いていましたけどね。

 美しいUFOを目撃しましたが、私どもは宇宙からやって来たわけではありません。何の話をしているのかって?「美しい星」の主人公一家は、火星やら水星やら金星やらから来ていましたので…。
 その人達で家族をつくっていた。円盤に乗って「生田(小説では東生田)」に着陸した…だったと。(記憶がまだら…なにしろ、テムズ川とセーヌ川を間違えたり)。
 三島由起夫の円盤の描写が、「あざやかな橙色にかがやく」なのです。私達が目撃した円盤と同じものだったかも知れません。

九九は難しい…

2012年11月18日 | Weblog
 小学校の授業を観てきました。小2の算数は、九九が終わったところ。ところが、九九を完璧に覚えていない児童が30%。ただ、まだ見込みがある子も。
 「この子は九九を覚えられずに生涯を終えるだろう」と、思われる児童は10%。「それはないだろう!」という声が聞こえそうですが、事実だからしょうがない。
 担任の先生とも話をしました。「何とか九九を覚えさせたい」と。努力していることが伝わってきました。先生も、頑張っているのです。もっとも、九九が分からなければ、算数がそれ以上前へ進めないわけで…(九九なしでは、割り算などその入り口にも立てない)。

 小学校教育のプロである定年間近の超ベテラン教員が手をつくしても、10%の児童は九九を覚えられない…。
 その日、石川遼が二年ぶりの優勝。優勝インタビューの石川くんの言葉に「ハッ」とさせられました。長いスランプの間、石川くんは…
 「本当に練習したらうまくなるんだろうか」と、自問自答し悩んだのだと。
 そういうことで悩んだ…さすが若干21歳。練習してもうまくならないのにね。

 練習して上達するのなら、私などとっくにプロゴルファーですよ。つまり、「練習したところで上達などしない」ってことですね。
 石川くんのこの度の優勝だって、練習の成果ではなく、「(練習に裏打ちされた)偶然の産物」です。(いつでも優勝できる力を備えているという意味ですけどね)

 このことは九九にもいえます。「いくら九九をとなえても、覚えられない子もいる」と、いうことです。
 では、このまま指をくわえて見ているだけかって?覚えられなくても「九九の練習」は、続けさせなければなりませんね。スランプ中の石川が練習を怠らなかったように。

 日本の諺に、「九九の陰には保護者有り」が、あります。初耳だって?私も初めて書きましたから当然でしょう。九九が分からない子の保護者の100%が、「子どもの九九の習得に、全く関わっていない」という事実があります。保護者も九九が解らないのだろうって?そ、そうかも…。

夫婦そろってかぁ?!角さんが…

2012年11月17日 | Weblog
 田中直紀元防衛相…北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射実験とみられる「衛星」打ち上げについて質問を受けた際、答弁に立つなり「あ~もしもし?」と発言。質問者のひげの隊長こと佐藤正久さん(自民党)が笑いすぎて次の質問ができない事態となった。そんなことの連続でしたね、直紀大臣は。もっときちんとした人物かと思っていたのですが、ガッカリしました。佐藤正久さんもあの「もしもし事件」で男を下げてしまいました。どうしてかって?「嘲笑が大げさで下品」という評価からです。
 まあ、それはともかく、満を持して田中真紀子の再入閣。いよっ!文部科学大臣!今日からはもう文科大臣じゃないって?まあそうですけどね。

 「三大学不認可」をめぐる二転、三転…結局認可。それだけでも十分おかしいのに…「結果オーライならいい」「官僚が私の真意をくみ取れなかった」「三大学には、逆に良い宣伝」…ひどすぎる。こういう人が、大臣に居座っていた国が日本…。えっ?もう解散したんだから許してやれって?いえいえ、少しでも批判しておかなければなりません。なぜなら、田中夫妻は、12月16日もなんなく当選してきますから。

 御本人に反省の色などない。「大学の乱立に歯止めをかけて教育の質を向上させたい…一石を投じた」…開いた口がふさがらない。大臣が一石を投じてはいけません。

 大学の質の低下は(日本数学会が発表した大学生数学基本調査の結果から)…
 1 大学生の4人に1人は「平均」の意味が分からない。
 2 「偶数に奇数を足すと必ず奇数になる」ことの正答率は33.9%。
※ 全国の48大学で受験を終えたばかりの1年生を中心とする約6,000人を対象に実施した調査。なお、東大・京大など最難関国立大も調査した大学に入っています。

 真紀子文科大臣は、このような調査結果や、学生が定員に満たないおよそ半数の大学の状況から、「三大学不認可」を言ったのでしょう。
 この田中真紀子さんは、安倍晋三さん(元首相、現自由民主党総裁)が、「成蹊大学」の出身であることをかなりバカにしていましたよね。出身大学をバカにする…これは下品ですよ。真紀子さんは、早稲田大学商学部、もしもしの直紀さんは慶應義塾大学法学部…たしかに成蹊大学より偏差値は高い。だけどそんなもの、何も関係ない。

 真紀子さん…「どこの大学を出たかで人物を判断する人」なんですねえ。ですから、地方に新たに出来る私大などゴミ扱いだった。
 だけど、情けないのは北海道のメディアだね。不認可から一転認可となった、「札幌保健医療大学」に関わるメディア報道で、「札幌保険医療大学」と…!テレビ局がこのレベルだから、真紀子さんに一石を投じられてしまう…。

栗と柳、どちらが強い?…栗山監督VS柳田主審

2012年11月16日 | Weblog
 「スタンカ」…これは何か?
 「原油を運ぶ船」・・・ブーッ!それはタンカー。
 「けが人を運ぶアレ」・・・ブーッ!それはタンカ(担架)。
 「電流を流して人を気絶させる凶器」・・・ブーッ!そ、それは、スタンガンだろうがぁーっ!

 「スタンカ」は、元南海ホークスの投手。「だからなんなんだ!また懐古談か」って?いえいえ、いわば、「懐古談ではなく回顧談」が正しいでしょうか…。

 スタンカの凄さは…
 日本シリーズ(1961年)での相手は、長嶋、王を擁する読売ジャイアンツ!早い話が、「巨人」。スタンカは、初戦に先発し、3安打完封。4人の走者を出したが、全て併殺。打者27人で片付けた。長嶋がいて、王がいて…この二人は、現在も有名人。さらに、知る人ぞ知る、知らない人は知らない…国松、坂崎、広岡、森(昌彦)がいた。その打線を3安打完封。凄い投手だったと思います。
 で、このスタンカ、日本シリーズ第四戦ではリリーフで登板。場面は、1点リードで迎えた9回裏の無死一塁。
 なんなく二死を取った。ところが、エラーと内野安打で二死満塁。逆転サヨナラという場面を招いてしまった。ここからが本日書きたかったところ。
 スタンカは打者(エンディ宮本)を、ワンボール、ツーストライクと追い込んだ。そして4球目、外角低めの完全なストライクゾーンにシンカーを投げこんだ。
 「ストライク!バッターアウト!南海の勝ち!」…となるはずが…
 「ボール!」
 主審は、「円城寺満」。キャッチャーは「ノムさん(野村克也)」。ノムさん、猛抗議。スタンカも赤鬼の形相で猛抗議。判定は覆るはずもなく、試合再開。
 そして、運命の5球目。エンディ宮本の打球はライト線を転々と!スタンカは捕手のカバーに入るふりをしながら円城寺に体当たり!江戸の仇は長崎でというわけ。190センチメートル120キログラムが体当たりですから、円城寺はゴムまりのように宙に舞った。背中から地面に叩きつけられ泡を吹いている間にサヨナラのランナーがホームを駆け抜けた。
 この試合のあとに生まれた俳句が…
 「円城寺あれがボールか秋の空」

 今年の日本シリーズ第5戦(11月1日 札幌ドーム)…日本ハムの多田野数人投手が打者(巨人の加藤健捕手)へ投げた球は、インコース高めの胸元付近へ行った。
加藤はのけぞって転倒し、頭を押さえ体を震わせ苦悶。「頭に当たった」と、アピール。しかし、テレビで何度も何度も流されたビデオテープでは、ボールは加藤には一切触れていない。栗山監督の執拗な抗議も実らず。多田野は危険球退場。主審は柳田。
 そのあとに生まれた短歌…(と、いっても私が今作ったもの…)
 「柔らかく風になびくは柳なり栗の抗議になぜ流されぬ」

 誤審はいくらでもある。「カメラ」が発達している時代ですから、抗議を受けた判定については、「ビデオ」で確認する…野球でも、こういう制度をとりいれるべきである。

「時は金なり」ではない

2012年11月15日 | Weblog
この度、私どもは、「珊瑚婚式」を迎えました。結婚して35年経ったということ。このあと、5年ごとに、ルビー婚式(40年)、サファイア婚式(45年)、金婚式(50年)、エメラルド婚式(55年)、ダイヤモンド婚式(60年。または75年)
 このように並べてみると、金婚式まで生きていられるかなあ?つまり、あと15年生きていられる自信がない。

 人生を長らくやっておりますと、つくづく「時は金なり」だなあと思います。この故事、日本だけかと思いきや、英語では、「Time is money.」。中国語では、「时间就是金钱」。韓国でも、「시간은 금이다」。フランス語では、「Le temps est de l'argent」、ドイツ語では、「Zeit ist Geld」。世界中で、「時は金なり」が通用することが分かります。

 し、しかし…このところ、「時は金じゃない」と思うようになってきました。
 3年前の写真を見る機会がありました。フサフサとした髪、顔に皺がない。わずか、3年で…変化の度合いが異常なほど速い…!
 髪は減り、皺は増える。バランスとしてはいい。おっと、そういうポジティヴ名話をしようとしているのではありませんで…。

 「時間」は、二度ともどってきません。し、しかし、「金」はもどってくる…。無報酬の仕事を2つほどしていますが、「費用弁償」とかで、なにがしかのお金が毎月振り込まれます。つまり、「お金」は働けば入手出来ます。「時は金」ではないし、「金は時」でもない。と、まあこのようなことを考えたのであります。

 「時は金なりは、時間はお金と同じような価値があるもの。無駄にしてはいけないということだ」だって?それは分かっています。
 ただ、よーく考えると、「時は戻ってこないけど、お金はもどってくる」つまり別のもの。「時は金なり」は正しくない。

 反省しているのは…
 1 自分が、「薄毛→ハゲ」の道を邁進することになろうとは予想していなかった。「自分はハゲる」という前提の元、若いうちからケアしておけばよかった。後悔。
 2 若い頃、何の知識もなく日焼けしていた。そのツケで、顔が皺だらけになってしまった。日焼けしなければよかったぁ。後悔。

 新しい故事を作りました。自虐的ではありますが…
 「時はハゲなり」…!

ロシアはこれから伸びる…かな?

2012年11月14日 | Weblog
 ロシア…これからどうなっていく?それは、「教育」にかかっていますね。
 教育制度は3・6・2制で、義務教育は9年間。米国のように、国内で義務教育の年限が違うということがない。
1~3 年生 …初等一般教育
4~9年生 …基本一般教育
10~11年生 …中等一般教育
 で、学校に「校名」というものが…あるのかないのかぁ…。「第538学校」のように、番号で呼ばれる。これは味気ない。モスクワ市内だけでも1,500校あるので、「第1学校」から、「第1,500学校」まであることになる。
 
 ロシアの教育は…子どもによく勉強させる…。当たり前ですが、近年特に勉強させているという。基礎知識は徹底して叩き込む。また、創造性を伸ばすために自分で考えるプログラムも多く、児童・生徒の自主性を尊重する選択科目制が導入されている。
 これは、将来伸びる…などと、失礼なことは言えないんですよね。とにかく、日本の宇宙開発と、ロシア宇宙開発は、種子島と国際宇宙ステーションまでの距離ほど水が開いていますから。
 モスクワにある大学では、24学部に4万人の学生が学んでいる…なるほど、優秀な学生がいることがうかがえます。ほとんどの大学は国立で、もちろん授業料は無料。

 外国語教育にも力を入れはじめています。2年生から、第一外国語が必修。英・独・仏・西の4か国語から選択します。
 第二外国語は学校の裁量にまかされていて、5年生から取り入れられる。

サンクトペテルブルクには、音楽学校が30以上、美術学校が20以上、音楽・美術・工芸科などがある芸術学校が30以上。つまり、約90校の、「音楽、美術、芸術学校」がある。それらのほとんどが、国立。しかし、これらの学校の場合、国立でも教育費は有料。だが、格安なので普通の家庭(中流?)でも、十分に払える額なのだそう。義務教育を終えてから入学するのではなく、(学校によって違うが)4~10歳で入学する。音楽学校は7~8年、美術学校は4~6年教育を受けた後、さらに高等教育を受ける。ロシアの音楽、美術のレベルの高さは、このような教育制度からのものということが分かります。

 ロシアでは、村上春樹をはじめ多くの日本文学に人気がある。このことをどうみますか?文学のほかに、食文化…寿司、てんぷら、焼肉、すき焼きなどの人気が高い。 これは、ロシアが「やる気を出している」、つまり、広く世界に学ぼうをいう姿勢を持っているということになりませんか?

 かって、白系ロシア人(ロシア革命により日本へ亡命した)が、食や服装などの日常生活、音楽やバレエなどの芸術などの分野で日本へその文化を伝えました。その繋がりに「縁」を感じさせられます。極端だと言われるかも知れませんが、「ロシアの日本化現象」が今後も加速していくのではないでしょうか。
 大統領のプーチンさんも柔道やら秋田犬が好きな、知日家。二女のカテリーナさんは、サンクト・ペテルブルク大学で日本史を専攻しました。カテリーナさんは、誕生日が来ると26歳です。大学では、プーチンの娘であることは、秘密にされておりました。

 日本に一番近い国、ロシア。面積は日本の45倍。石油、天然ガスが有り余っている(輸出している)。国民の80%がロシア正教徒。女55歳、男60歳でもらえる年金が、月額39,000円。
 ロシア全体の平均給与は7万円。国際宇宙ステーションへの有人輸送はロシアが一手に引き受けている。
 医療保険制度が脆弱、というか未整備(医療費がバカ高く、病気になれないし、怪我も出来ない状況)。
 美味しいものを食べる。高度な芸術を鑑賞する。宮殿、教会、修道院の美しさは世界一…。
 おもしろい国です…。

モスクワの地下鉄駅

2012年11月13日 | Weblog
 ロシアへ行ったので、モスクワの地下鉄駅にも触れておかなければなりません。
 ロンドンの地下鉄は、セーヌ川の下を通っているから、地下深くに駅があります。昔の話で申し訳ないが、螺旋階段を下り続けてくたびれた頃駅に着く…そんな駅もありました。最近行っていないのでたしかなことは分かりませんが、現在は全ての駅にエスカレーターやらエレベーターが設置されていることでしょう。
 モスクワも(サンクト・ペレルブルクも)、大きな川の下を地下鉄が通っているので、長い長いエスカレーターで駅へ降りていきます(地上区間や軽地下鉄なるものもあるので、全ての駅が地下深くということでもない…一概に説明できないということで…)

 モスクワ地下鉄は、12路線、186の駅。総延長およそ300キロメートル。平日には800万~900万人が利用する。東京の次に利用者が多い地下鉄となっています。運賃は、どこまで乗っても28ルーブル(84円 2012年10月)。

 路線図を見ると、モスクワ中心部から放射状に伸びる「放射線」と、中心部から同心円状の「環状線」があることが分かります。
 日本の地下鉄にはないおもしろいところは、放射線では、モスクワ中心部の駅に向かっての運行では、男性による案内放送が流れ、中心部から遠ざかる運行では、女性の案内放送が流れるというところ。環状線ではどうかというと、時計回りの運転で男性、左回りの運転で女性の案内放送が流れます。

 なぜ、モスクワの地下鉄駅にも触れておかなければならないかといいますと、「車内アナウンスが男の声だったり女の声だったりするんだよーっ!」と、いうことではありませんで…。
 駅のホームが、「美術館や宮殿」のようになっているのです。(全ての駅ではありませんが多くの駅でそのようになっている)
 御存知の人は、「んだ、んだ!」とおっしゃるでしょうが、知らない人は、「ん、なわけないべ!」と、信じないかも知れません。実は本当なのです。

 これは、社会主義リアリズムです。社会主義リアリズムは一般的に、「ソビエト連邦などの社会主義国において公式的とされる美術・音楽・文学などの表現方法であり、評論の指針」と、されています。
 社会主義を称賛し、革命国家が勝利に向かって進んでいる現状を平易に描き、人民を思想的に固め、教育する目的を持った芸術…。

 当然ながら、私も地下鉄の「革命記念駅」の長い長いエスカレーターを下りしたよ。改札口を入ってプラットホームへ…!
 広く長いプラットホームの中央部が美術館のようになっていました。美術館の左右に列車が入ってくる。美術館と乗り場の境は、5メートルほどの幅の石積み壁。その壁がアーチ状になっていて乗降客の通路になっていました。
 美術品を眺めて、アーチ状の通路を通って列車に乗る。「革命記念駅プラットホーム」の美術品は、「70数体の銅像群」。1メートルほどの台に乗った大きな銅像群…荘厳でした。

ピョートル大帝夏の宮殿 冬期間の噴水はお休み…

2012年11月12日 | Weblog
 サンクト・ペテルブルクの西およそ30キロの所にペテルゴフあります。そこには、「ピョートル大帝夏の宮殿」と呼ばれる大宮殿があります。その周囲は広大な公園となっていて、数多くの噴水があります。
 ピョートル大帝が初めてペテルゴフにやってきたのは、1705年。1714年から現在の大宮殿と庭園の建設が始まりました。

 ペテルゴフの噴水は、配水管の全長が22キロメートル。取水口からの配管も合わせると51キロメートル。いかにとんでもない噴水かが分かります。この噴水、ポンプを全く使っていない。自然の傾斜を利用した噴水です。で…、噴水は10月の初旬(今年は15日)に終了…。つまり、16日にペテルゴフへ行った私は、噴水を見ることが出来ませんでした…。ペテルゴフまで出かけて、噴水の出ないピョートル大帝夏の宮殿を眺めて帰ってきた。考えてみると、私の人生は全てこんな感じだったような…。「ツキ」というものがない。
 おっと、愚痴コーナーではありませんでしたね。…噴水だって、1日早ければ見られたのに。配水管が22キロメートルですから、見渡す限りぜーんぶ噴水。皆さんに自慢できたのに。噴水目当ての人は、10月15日までに行かなければなりません。放水をはじめるのは、5月末から。5月中旬に行った場合、運がよければ試運転の放水に出くわすことが出来そう。夏などいいでしょうねえ!白夜の中の噴水!もっとも、24時間放水しておればの話ですが。

 ペテルゴフは、第二次世界大戦中のドイツ軍による900日の包囲で廃墟と化しました。戦後50年間に渡って修復が続けられ、やっと1995年に修復作業が完成。噴水も復活したのでした。

 すぐ近く(プーシキン市)に「エカテリーナ宮殿」があります。この宮殿も、二次世界大戦の時に、ドイツ軍に占拠されました。ドイツ軍は撤退の際、爆弾を仕掛けました。しかし、爆発寸前にロシア軍が取り除いたとのこと。

 この宮殿、日本にも若干関係がある。シベリアに漂流した大黒屋光太夫が、この宮殿でエカテリーナ2世に謁見し帰国を願い出た。この話は、井上靖の「おろしや国酔夢譚」に詳しく書かれています。

 エカテリーナ宮殿は、美しいです。ピョートル大帝夏の宮殿よりも遙かに美しい。
 一番人気は、「琥珀の間」。ドイツ軍は全ての琥珀を剥ぎ取って持ち帰った。そのあと、50年かけて琥珀の間も復活したのですが…。一体、なんトンの琥珀を使っているんだぁ!と、あきれかえるばかり。
 私は、琥珀の間もよかったですが、「ダンスの間」に仰天させられました。これまで、贅を尽くした建築を多数観てきましたが、上位に入りますね。「金(きん)」がふんだんに使われている…どこから膨大な金を持ってきたのか?
 1年の半分を雪と氷に閉ざされるロシア。そのロシアに、今後地球人が束になってかかっても建造することができないだろうと思われる宮殿の数々がある。不思議だが、現実だからしょうがない。

黄金の環

2012年11月11日 | Weblog
モスクワから北東へ200キロメートルほどのところに、11世紀から15世紀末にロシア諸公国の首都として栄華を誇った町…早い話が、「古都」があります。この古都群をつなぐと円形になる…。そんなわけで、「黄金の環」と呼ばれています。
中世のロシア正教会の建物…これらが、日本にはもちろんない建築様式。早い話が、葱坊主屋根。帰路とりどりですが、金の屋根が半数を占める。この金色の屋根は、青空にも映えるのですが、曇天にも映える。晴れの日が極端に少ないロシア…薄暗い曇りの日にも映える事を意識した建物の色。
 屋根のさることながら、中世芸術の宝庫ですね。イコンやフレスコ画の多さ…世界一と言っても誰も文句の言いようがないでしょう。

 黄金の環には、どんな町があるか?
 有名な順として…スズダリ、ウラジーミル、セルギエフ・ポサード…そのあとは、どこが有名か不明につき単なる羅列。イワノボ、ペレスラヴリ・ザレスキー、ロストフ、ヤロスラヴリ、コストロマ…以下割愛。どこへ行っても、町自体が野外建築博物館。ロシアの都市(12~18世紀)に特徴的なクレムリン(城塞)、修道院、大聖堂、教会がある。
 ウラジーミルには、黄金の門があり、フレスコ画「最後の審判」が保存されているウスペンスキー寺院があります。ウスペンスキー寺院は、ウラジーミルじゃないだろう?という方もおられるでしょう。実は、「ウスペンスキー寺院」という名前の寺院は、あちこちにあるのです。
 なお、「ウラジーミル」という名前は、ロシアにおける最も人気のある名前。男の名としても、人気ナンバーワン。プーチン大統領の本名は、「ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン」です。
 スズダリは、町そのものが博物館。伝統的な景観を守るため、2階建てまでしか建てられない。ホテルなど、縦に延びることができないので、横へ横へと伸びる。泊まったホテルは、部屋からレストランまで、7~8分かかりました。ホテルの敷地も広大で、林には、落葉茸(粟茸)その他、数十種類の茸が(落葉茸以外、名前も食用可かどうかも分からない。ロシアの食用茸は、200種を越えるという)。ナナカマドが赤い実をいっぱいつけておりまして…名物が、「ナナカマド酒」。ナナカマドの実をウォッカで漬けたもの。日本の梅酒の親類ってとこでした。「蜂蜜ワイン」という酒も名物なんだと…。味は…「ウォッカ+蜂蜜+?」でした。甘くて美味しいのですが、個性に欠けますね。
 セルギーエフ・ポサートには、トロイツェ・セルギエフ大修道院群があります。なお、マトリョーシカ人形の生産地です。

 ロシア、都市を出れば…走れども、走れども地平線。地平線しかない。道路脇には白樺林が続く。ロシアの「国の樹木」が白樺。4月だけ、白樺ジュースを採取できる。白樺の皮で作る器は、パンを入れておく容器になる。白樺の容器に入れると、パンが黴びない。「国の花」は、カモミール。カモミールは、我が家の畑の主。これも何かの縁か?んなわけないけどね。

ロシアで日本語学校をはじめませんか

2012年11月10日 | Weblog
サンクト・ペテルブルク。エルミタージュ美術館があるわけで、魅力的な都市です。広大な湿地帯を埋め立てて都市を建設したということで、運河が65本、島が50、橋が320ある。橋は、一つをのぞいて、残り全てが跳ね橋。夜間、船舶の通行のために319の跳ね橋が上げられる。こうなると、河の向こうへ行けない。そのために、一つの橋だけが跳ね橋ではない。もっとも、その橋は橋桁が高く、下を船舶が航行出来る。
 
 毎日走行する車の量は、「200万台」。
 サンクト・ペレルブルク~ペテルコブまでは、ロシア唯一の高速道路が走っている。 1年間で、晴れの日は、30日のみ。そのため、「雨の都」という別称もあります。 北緯ほぼ60度。そのため、夏は白夜。

 サンクト・ペテルブルクであるにもかかわらず、市内に、「モスクワ駅」があり、「フィンランド駅」がある。列車の行き先が駅名となっている。
 ちなみに、ロシアのバス賃は、23ルーブル(69円)、地下鉄は28ルーブル(84円)

 それで…、ロシアは英語教育がなかなか進んでいないので、英語を話す人が極めて少ない。陽気な若者でも、英語はチンプンカンプン。英語がそんな状態だから、「日本語教育」など、全く期待できない。
 日本語ガイドのみなさんも…失礼ながら、日本語によく似た言葉を話される…といったレベル。どうやって日本語を学んだのか?少なくても、ネイテイヴ(日本人)に習ったものではない。

 ロシア旅行中、日本語をもっとも上手に話したのが、ポーシャくん。26歳(男性)。日本語ガイドをめざして、ガイドの助手をしています。エルミタージュ劇場へバレエ(白鳥の湖)を観に行った時のガイドでした(日本人が個人でバレエ見物へ行くのは少々困難。なぜなら、英語も日本語も通じないから)。ポーシャくんにとっては、バレエ鑑賞のガイドは、お小遣いが稼げる生きた日本語勉強の場。
 それで、なぜポーシャくんが日本語堪能なのか…インタビューしました。
 
 ポーシャくんは、サンクト・ペテルブルク大学の東洋文化科の出身(日本語科ではなかった)。在学中、「日本文化サークル」に所属。そこで日本語を学んだという。サークル活動が生業になろうとしている。大学卒業後、単身日本へ乗り込んだ。降り立ったのが、「大阪!」。自転車を入手して、大阪から東京まで自転車で踏破した。この自転車旅行で、「日本、日本人」が大好きになり、日本語も急激に上達したという。「日本人の優しさ、親切さ、奥ゆかしさが、ロシア人とソックリだ」と、いう。「ロシア、コロシヤ、オソロシヤ」だと思っていたのですが、ロシアの若者は、「ロシア人は、優しく、親切で、奥ゆかしい」と思っている。…たしかに、「さもありなん」という経験もさせていただきましたが…。「優しく、親切」なら北方領土を返還してくれてもよさそうなものですがね。「奥ゆかしい」から、返しますとは言えないのかな。
 ポーシャくんは、ガイドめざして、「歴史」の勉強中。なぜかって?日本人観光客に、ロシアの歴史を説明しなければならないからです。いわゆるイケメンで、優しく、日本語が上手なので、人気ガイドになるでしょう。

 どなたか、ロシアで日本語学校をはじめませんかねえ。日本語が出来るロシア人の需要は、最近の著しいロシア経済の発展から、間違いなく伸びます。
 日本語学校は、モスクワには9校、サンクト・ペテルブルクに3校。そのほかの都市に、合計22校あります。教員のほとんどがロシア人で…失礼ながら、使える日本語にはならない。日本語教材も無に近い状態。
 日本の技術力をコピーするには日本語が必要ですから、日本語のニーズが高まっています。日本人の日本語教師の出番なのですが…。