私はサッカーについては素人。
テレビ観戦が主のただのサッカー好きおやじである。
ただ、小さい頃は三菱ダイアモンドサッカー。
それからは実業団サッカー。
高校サッカー。
そしてJリーグ。
取り敢えず、長いだけのファンということになる。
そんな私が、好きな選手は、
古くは杉山隆一選手。
メキシコオリンピック銅メダルの立役者の一人。
釜本選手とのホットラインは、
当時は世界的なものだったと思っている。
さらには、藤枝東高校の中村一義選手。
更にはブンデスリーグで活躍した奥寺選手。
上げればキリがないのでこれくらいとして、
最近で特に好きなのが中村俊輔選手。
エスパルスから見れば、
ライバルのマリノスの選手ではあるが、
私は大好きで、
ワールドカップでの活躍を見ることができなかったが、
彼のピークがぴったりあって、
もし実力を発揮できれば、
日本の成績ももう少し良かったであろう。
特に彼のフリーキックが、
世界的にも認められていることはご承知のとおり。
こういう選手がエスパルスにもいたら。
ずっと思ってきたこと。
もちろん人間好き嫌いがあるから、
中村選手のことを嫌いな人もいるかも知れない。
それ自体を否定はしない。
私だって、
ガンバの遠藤選手は素晴らしい選手と思っているが、
でも、嫌いではある。
私の個人的見解はともかく、
中村選手のインタビュー記事を見つけた。
サッカーに取り組む姿勢は、
テニスにも通用するものであり、
R中の選手たちも、
これをただ真似するというよりは、
その姿勢を学んでくれたら嬉しいのだが。
中村俊輔に聞いた大成するための秘訣――ボール拾い時代の高校1年時に取り組んだこととは?
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2016年08月19日
(おとぼけの父上抜粋)
原点は高校時代の自主練にある。自分を客観的に見つめ、課題を克服するための明確な道筋を立て、それに沿って練習に励んだ結果、中村俊輔は一気に階段を駆け上った。これまでのキャリアを支えたのは10代での成功体験だったと言っても過言ではない。38歳となった今も輝きを放ち続ける稀代のレフティに、プロフットボーラーの心得、そして大成するための秘訣を聞いた。
(『サッカーダイジェスト』2016年8月25日号より転載)
――実際にプロというものを意識したのはいつ頃ですか?
……プロになってから、かな。井原さん(正巳/現・福岡監督)や能活さん(川口/現・相模原)の普段の振る舞いを間近で見て、こういう人たちが第一線で活躍しているんだな、と。プロとはこうあるべきだと真剣に考えるようになった。
――3年の時点では、かなりプロを意識していたのでは?
いや、でもまだ真剣には考えていなかったと思う。やっぱりプロに入ってから。そこで完全に意識が変わった。しかも、いきなりトップチームに入れてもらって、この人たちに追いつかなければいけないと必死だった。ミスしたら気まずくなるし、毎日がプレッシャーの連続。とにかく気持ちを高めて練習に臨むようにしていたし、通常の練習以外でも、筋力とか足りないところをどうやって補うかを考えて、なにかしらの行動はとっていた。
――1年目からいきなりストイックですね。
(プロは)学生とは違って、生活のすべてをサッカーにかけられる。それが本当に自分にとっては幸せだった。朝起きてご飯を食べて、練習に行って、終わったら少し休んで、午後も少し身体を動かし、夜はお風呂に入って、ストレッチして寝る。
全部をサッカーにつぎ込める。そのサイクルの中で、いかに一つひとつの質を高めるかを考えていた。お金がどうこうじゃなかった。とにかくサッカーを極めたかった。
――自身が考えるプロの定義は?
お金を払って見に来てくれるお客さんを喜ばせる。それはよく言われていることだと思うけど、さらにその先を行くプレーができるかどうか。良いパフォーマンスでスタンドにいる人たちを喜ばせたり、楽しませるのは当たり前だから。
――具体的に言うと?
例えば、メッシを生で見たいがために、100万でも1000万でも出す人がいて、その金額が選手の価値になるかもしれない。ただ、そういう次元の話ではなくて、金額はまったく関係なく、純粋にこの選手を見に行きたいと思ってもらえるかどうか。そういう選手になりたい。
――プライスレスな選手。
泥臭いヘディングのクリアでも、身体を張ったスライディングでもいい。なんていうのかな、見ている人の感情を揺さぶるようなプレーヤーが、今は少ないように感じる。大事なことではあるだろうけど、戦術とか、勝ち負けにこだわり過ぎているんじゃないかな。
――エモーショナルなプレーでお客さんのハートを刺激できるかどうか。
簡単に言えば、“熱い”プレー。ただ、そればかりだと、『なんかあいつ、熱いだけだな』とネガティブに評価しがちなのが、日本の風潮だったりもする。『パス回しが弱いんだよなぁ』とか、ウイークポイントをまず見つけようとする傾向も強い。サイズの大きなFWには、『ヘディングは強いけど、足が遅いし、ポストプレーもいまひとつ』となる。これがブラジルなら、『ヘディング、いいね! 最高だよ!』と長所を褒めちぎったりする。
――大きな違いですね。
岡田(武史/元横浜監督)さんも選手を乗せるのが上手かった。ボンバー(中澤佑二)に対しても、持ち味のヘディングや思い切り飛ばすクリアをどんどんやれ、と。そうするとボンバーも段々ノッてきて、練習でも見せたことのないボール捌きを試合で見せたりする。
――欠点を修正するのではなく、長所を磨く育て方が、オンリーワンの選手を生み出すのでしょうか?
でも、それも人によるかもしれない。指導者の話をすれば、良い選手を見てきた監督の言うことって、面白い。ただ、そのニュアンスの受け止め方が大事だと思う。
ジーコの『シュートはゴールにパスするように』という言葉を、“シュートは正確に、丁寧に”と理解している人が多いけど、ジーコが伝えたかったのは違う気がする。“強いシュートでも、パスと同じくらい正確に打て”というのが俺の解釈。だって、ジーコはめちゃくちゃ強いシュートを打っていたからね。どんな難しいボールが来ても、パスをする時のようにリラックスして、正確なシュートを打てるようになれってことなんじゃないかな
――選手が成長するうえで、監督との相性は重要ですよね?
セルティック時代のストラカンも面白い監督だった。ある試合で、新しい選手を使うために、俺がスタメンを外されたことがあった。危機感を持ちつつも、ベンチで不満げな表情こそ見せなかったけど、空元気を出してチームを盛り上げようともしていなかった。
それで残り10分ぐらいになって、ストラカンが俺のところに来て、『ナカ、出たいか?』と聞いてきた。『なにを不満げにしているんだ』とは言わない。スコアはすでに7-0だったけど、俺は『出たい』と志願して、アグレッシブにプレーした。そうしたら、すぐスタメンに戻れた。
だから、そこはストラカンも人を見ているんだよね。あの時、ふてくされた態度を取っていたらどうなっていたか分からないけど、結果的に俺は良い方向に進めたわけで、今振り返れば、そういう監督の手腕はさすがだなと思う。
――周囲の期待通りに成長していく若手もいれば、プロになってからトーンダウンしてしまう選手もいます。両者を分かつ決定的なものはなんだと考えますか?
一番はメンタルかな……日本語で言ったほうがいいね。忍耐力とか、絶対に負けないっていう心。
あとは、自分はこうなりたくて、それに向かって何をすべきかというビジョンをしっかりと描けているか。目標は誰でも掲げられる。大事なのはそこまでの過程が、頭の中で整理されているかどうかだと思う。過程が明確じゃないと、無駄なことが増えるからライバルとの差が開き、チームにもついていけなくなる。
結局は自分次第だけど、今はこれを我慢して、これをしっかり続けようとか、ステップアップするためのコツを掴めると、成長スピードは上がっていくと思う。俺がそれを掴めたのが高校の時だった。
――中学卒業後は、横浜マリノスのジュニアユースからユースに昇格できず、桐光学園高に進学しました。
ボール磨きとかライン引きとかは初めての経験だったよね。ジュニアユースではなかった上下関係が部活にはある。正直に言えば、最初は選択を間違えたと後悔しそうになったけど、先輩の小林さん(稔/現・磐田コーチ)を見て考えが変わった。
桐光は朝練がないのに、小林さんは自主的に朝早く練習に来て、筋トレとかをやっている。キャプテンで、関東選抜に選ばれるほどの実力者でもここまでやるんだと、その背中を見て、自分ももっともっと練習しなければならないと思った。
――ただ、高校の部活の1年は思うように練習できないのでは?
ボール拾いとかね。一緒に練習をさせてもらえないから、そうなると、始業前の朝と、放課後の練習が終わった後の自主練しかない。その時にどれだけ自分を磨くか。ある意味、そこが原点でもあるかな。
まずは、自分に何が足りないかを客観的に見る。まだ当時は身体も小さくて、それでもボールを取られないようにするにはどうすればいいかを考えて、ならば相手の逆を突こう、と。それでひとつ上の先輩と、1対1ばっかりやっていた。あとは、ひと回り小さいリフティングボールを使って技術を高めたりとか。
高2になったら、だんだん背も伸びてきて、3年生に対しても思うようにプレーできるようになった。そうしたら国体に選ばれ、関東選抜に入り、1回戦で負けたけど選手権にも出場して、高校選抜に選出された。高3ではU-19代表に選ばれたりと、一気に階段を上っていった。自分でも驚くほどだったけど、その時の成功体験があるから、こういう時はこうすればいいんだ、試合に出られないからこそ伸びるチャンスなんだって、成長するためのコツが分かったのは大きかった。
――自分で練習できる環境を作り出し、課題をいかに克服するかを考え、トレーニングに打ち込む。そういう自主練が原点だ、と。
落合さん(博満/元プロ野球選手)の本にも書いてあったけど、自主練に集中して、ハマっている選手を止めてはいけないって。それは俺も思う。止められたくないし、そこが一番、伸びている瞬間だから。自分の感覚を養う時間だよね。
――感覚、ですか?
一瞬一瞬での判断が求められるサッカーでは、感覚が本当に重要になってくる。あるシチュエーションを想定したパターン練習ももちろん必要だけど、味方がこう動いているからあそこを狙って蹴りましょう、だけではなく、蹴った瞬間の感覚や、顔を上げるまでの時間の感覚とかを研ぎ澄ませたい。自分だけの感覚を磨く。それは忘れないでいてほしい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
中村俊輔に聞いた大成するための秘訣――ボール拾い時代の高校1年時に取り組んだこととは?
テレビ観戦が主のただのサッカー好きおやじである。
ただ、小さい頃は三菱ダイアモンドサッカー。
それからは実業団サッカー。
高校サッカー。
そしてJリーグ。
取り敢えず、長いだけのファンということになる。
そんな私が、好きな選手は、
古くは杉山隆一選手。
メキシコオリンピック銅メダルの立役者の一人。
釜本選手とのホットラインは、
当時は世界的なものだったと思っている。
さらには、藤枝東高校の中村一義選手。
更にはブンデスリーグで活躍した奥寺選手。
上げればキリがないのでこれくらいとして、
最近で特に好きなのが中村俊輔選手。
エスパルスから見れば、
ライバルのマリノスの選手ではあるが、
私は大好きで、
ワールドカップでの活躍を見ることができなかったが、
彼のピークがぴったりあって、
もし実力を発揮できれば、
日本の成績ももう少し良かったであろう。
特に彼のフリーキックが、
世界的にも認められていることはご承知のとおり。
こういう選手がエスパルスにもいたら。
ずっと思ってきたこと。
もちろん人間好き嫌いがあるから、
中村選手のことを嫌いな人もいるかも知れない。
それ自体を否定はしない。
私だって、
ガンバの遠藤選手は素晴らしい選手と思っているが、
でも、嫌いではある。
私の個人的見解はともかく、
中村選手のインタビュー記事を見つけた。
サッカーに取り組む姿勢は、
テニスにも通用するものであり、
R中の選手たちも、
これをただ真似するというよりは、
その姿勢を学んでくれたら嬉しいのだが。
中村俊輔に聞いた大成するための秘訣――ボール拾い時代の高校1年時に取り組んだこととは?
広島由寛(サッカーダイジェスト)
2016年08月19日
(おとぼけの父上抜粋)
原点は高校時代の自主練にある。自分を客観的に見つめ、課題を克服するための明確な道筋を立て、それに沿って練習に励んだ結果、中村俊輔は一気に階段を駆け上った。これまでのキャリアを支えたのは10代での成功体験だったと言っても過言ではない。38歳となった今も輝きを放ち続ける稀代のレフティに、プロフットボーラーの心得、そして大成するための秘訣を聞いた。
(『サッカーダイジェスト』2016年8月25日号より転載)
――実際にプロというものを意識したのはいつ頃ですか?
……プロになってから、かな。井原さん(正巳/現・福岡監督)や能活さん(川口/現・相模原)の普段の振る舞いを間近で見て、こういう人たちが第一線で活躍しているんだな、と。プロとはこうあるべきだと真剣に考えるようになった。
――3年の時点では、かなりプロを意識していたのでは?
いや、でもまだ真剣には考えていなかったと思う。やっぱりプロに入ってから。そこで完全に意識が変わった。しかも、いきなりトップチームに入れてもらって、この人たちに追いつかなければいけないと必死だった。ミスしたら気まずくなるし、毎日がプレッシャーの連続。とにかく気持ちを高めて練習に臨むようにしていたし、通常の練習以外でも、筋力とか足りないところをどうやって補うかを考えて、なにかしらの行動はとっていた。
――1年目からいきなりストイックですね。
(プロは)学生とは違って、生活のすべてをサッカーにかけられる。それが本当に自分にとっては幸せだった。朝起きてご飯を食べて、練習に行って、終わったら少し休んで、午後も少し身体を動かし、夜はお風呂に入って、ストレッチして寝る。
全部をサッカーにつぎ込める。そのサイクルの中で、いかに一つひとつの質を高めるかを考えていた。お金がどうこうじゃなかった。とにかくサッカーを極めたかった。
――自身が考えるプロの定義は?
お金を払って見に来てくれるお客さんを喜ばせる。それはよく言われていることだと思うけど、さらにその先を行くプレーができるかどうか。良いパフォーマンスでスタンドにいる人たちを喜ばせたり、楽しませるのは当たり前だから。
――具体的に言うと?
例えば、メッシを生で見たいがために、100万でも1000万でも出す人がいて、その金額が選手の価値になるかもしれない。ただ、そういう次元の話ではなくて、金額はまったく関係なく、純粋にこの選手を見に行きたいと思ってもらえるかどうか。そういう選手になりたい。
――プライスレスな選手。
泥臭いヘディングのクリアでも、身体を張ったスライディングでもいい。なんていうのかな、見ている人の感情を揺さぶるようなプレーヤーが、今は少ないように感じる。大事なことではあるだろうけど、戦術とか、勝ち負けにこだわり過ぎているんじゃないかな。
――エモーショナルなプレーでお客さんのハートを刺激できるかどうか。
簡単に言えば、“熱い”プレー。ただ、そればかりだと、『なんかあいつ、熱いだけだな』とネガティブに評価しがちなのが、日本の風潮だったりもする。『パス回しが弱いんだよなぁ』とか、ウイークポイントをまず見つけようとする傾向も強い。サイズの大きなFWには、『ヘディングは強いけど、足が遅いし、ポストプレーもいまひとつ』となる。これがブラジルなら、『ヘディング、いいね! 最高だよ!』と長所を褒めちぎったりする。
――大きな違いですね。
岡田(武史/元横浜監督)さんも選手を乗せるのが上手かった。ボンバー(中澤佑二)に対しても、持ち味のヘディングや思い切り飛ばすクリアをどんどんやれ、と。そうするとボンバーも段々ノッてきて、練習でも見せたことのないボール捌きを試合で見せたりする。
――欠点を修正するのではなく、長所を磨く育て方が、オンリーワンの選手を生み出すのでしょうか?
でも、それも人によるかもしれない。指導者の話をすれば、良い選手を見てきた監督の言うことって、面白い。ただ、そのニュアンスの受け止め方が大事だと思う。
ジーコの『シュートはゴールにパスするように』という言葉を、“シュートは正確に、丁寧に”と理解している人が多いけど、ジーコが伝えたかったのは違う気がする。“強いシュートでも、パスと同じくらい正確に打て”というのが俺の解釈。だって、ジーコはめちゃくちゃ強いシュートを打っていたからね。どんな難しいボールが来ても、パスをする時のようにリラックスして、正確なシュートを打てるようになれってことなんじゃないかな
――選手が成長するうえで、監督との相性は重要ですよね?
セルティック時代のストラカンも面白い監督だった。ある試合で、新しい選手を使うために、俺がスタメンを外されたことがあった。危機感を持ちつつも、ベンチで不満げな表情こそ見せなかったけど、空元気を出してチームを盛り上げようともしていなかった。
それで残り10分ぐらいになって、ストラカンが俺のところに来て、『ナカ、出たいか?』と聞いてきた。『なにを不満げにしているんだ』とは言わない。スコアはすでに7-0だったけど、俺は『出たい』と志願して、アグレッシブにプレーした。そうしたら、すぐスタメンに戻れた。
だから、そこはストラカンも人を見ているんだよね。あの時、ふてくされた態度を取っていたらどうなっていたか分からないけど、結果的に俺は良い方向に進めたわけで、今振り返れば、そういう監督の手腕はさすがだなと思う。
――周囲の期待通りに成長していく若手もいれば、プロになってからトーンダウンしてしまう選手もいます。両者を分かつ決定的なものはなんだと考えますか?
一番はメンタルかな……日本語で言ったほうがいいね。忍耐力とか、絶対に負けないっていう心。
あとは、自分はこうなりたくて、それに向かって何をすべきかというビジョンをしっかりと描けているか。目標は誰でも掲げられる。大事なのはそこまでの過程が、頭の中で整理されているかどうかだと思う。過程が明確じゃないと、無駄なことが増えるからライバルとの差が開き、チームにもついていけなくなる。
結局は自分次第だけど、今はこれを我慢して、これをしっかり続けようとか、ステップアップするためのコツを掴めると、成長スピードは上がっていくと思う。俺がそれを掴めたのが高校の時だった。
――中学卒業後は、横浜マリノスのジュニアユースからユースに昇格できず、桐光学園高に進学しました。
ボール磨きとかライン引きとかは初めての経験だったよね。ジュニアユースではなかった上下関係が部活にはある。正直に言えば、最初は選択を間違えたと後悔しそうになったけど、先輩の小林さん(稔/現・磐田コーチ)を見て考えが変わった。
桐光は朝練がないのに、小林さんは自主的に朝早く練習に来て、筋トレとかをやっている。キャプテンで、関東選抜に選ばれるほどの実力者でもここまでやるんだと、その背中を見て、自分ももっともっと練習しなければならないと思った。
――ただ、高校の部活の1年は思うように練習できないのでは?
ボール拾いとかね。一緒に練習をさせてもらえないから、そうなると、始業前の朝と、放課後の練習が終わった後の自主練しかない。その時にどれだけ自分を磨くか。ある意味、そこが原点でもあるかな。
まずは、自分に何が足りないかを客観的に見る。まだ当時は身体も小さくて、それでもボールを取られないようにするにはどうすればいいかを考えて、ならば相手の逆を突こう、と。それでひとつ上の先輩と、1対1ばっかりやっていた。あとは、ひと回り小さいリフティングボールを使って技術を高めたりとか。
高2になったら、だんだん背も伸びてきて、3年生に対しても思うようにプレーできるようになった。そうしたら国体に選ばれ、関東選抜に入り、1回戦で負けたけど選手権にも出場して、高校選抜に選出された。高3ではU-19代表に選ばれたりと、一気に階段を上っていった。自分でも驚くほどだったけど、その時の成功体験があるから、こういう時はこうすればいいんだ、試合に出られないからこそ伸びるチャンスなんだって、成長するためのコツが分かったのは大きかった。
――自分で練習できる環境を作り出し、課題をいかに克服するかを考え、トレーニングに打ち込む。そういう自主練が原点だ、と。
落合さん(博満/元プロ野球選手)の本にも書いてあったけど、自主練に集中して、ハマっている選手を止めてはいけないって。それは俺も思う。止められたくないし、そこが一番、伸びている瞬間だから。自分の感覚を養う時間だよね。
――感覚、ですか?
一瞬一瞬での判断が求められるサッカーでは、感覚が本当に重要になってくる。あるシチュエーションを想定したパターン練習ももちろん必要だけど、味方がこう動いているからあそこを狙って蹴りましょう、だけではなく、蹴った瞬間の感覚や、顔を上げるまでの時間の感覚とかを研ぎ澄ませたい。自分だけの感覚を磨く。それは忘れないでいてほしい。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
中村俊輔に聞いた大成するための秘訣――ボール拾い時代の高校1年時に取り組んだこととは?