ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

One Flew over the Cuckoo's Nest : Part3

2006-03-22 00:38:50 | BookClub
思ったより時間がかかってしまいましたが,ようやくPart3読了です。いよいよ怒涛のPart4へ(汗)‥‥

このパートでは映画で印象深いバスケットと釣りのシーンが出てきます。映画では重いテーマを和らげるお楽しみシーン的に描かれていましたが,原作ではこの物語のテーマや,それぞれの患者達の将来を象徴するような伏線が,さりげなくというか,巧妙に描かれていますね。原作ファンの人は,映画のこの辺りの描き方にはちょっと納得いかないかもしれません。

まあ,とりあえずは蛙お婆,じゃなかった(笑),Miss Ratchedの影が薄いパートですので,気持ちよく読む事ができました。(笑)

物語全体の主人公はMcMurphyですが,このパートに限ってはChiefが主役でしょう。何と言っても,彼はこのパートで正気を取り戻します。それが何故なのかと説明しようとしたら,実は意外と難しいのですが。。彼はMcMurphyに出会った日から,自分の尊敬する父親に似た強さを持った人だと感じていたんですね。彼はそんな強さを羨ましいと思ってました。で,彼はふと,自分が口をきかなくなったきっかけとなった事件を思い出します。心無い大人達に無視された事がきっかけでした。一方,McMurphyは,Chiefは耳が不自由ではない事も,口をきかなくなった理由も,ちゃあんと見抜いていました。また,彼はChiefと話をしているうちに,どうしたら彼が強さを取り戻せるかもわかってきて,協力してくれると言います。これがChiefが自信を取り戻す為の,大きな1歩を踏み出すきっかけとなりました。

一方McMurphyの方は,前のパートの最後で,患者とMiss Ratchedを仕切るガラスを割るという暴挙に出ます。彼とMiss Ratchedの間は,嫌な予感が高まって参ります。またPart3の最後,ChiefはMcMurphyの育った家に寄った時,健常者とは一味違う鋭い勘で,とてつもなく暗い予感を感じてしまいますね。ただ,Miss Ratchedや他の看護人達は,McMurphyの自己中心的な我儘な行為と受け取っていますが,Chiefへの態度等を見ると,彼は他の患者の症状の改善に尽くしているように見えますね。ジコチューどころか全くその正反対の人物です。病院のプロの看護人達よりよっぽど他の患者達の回復に役立っている事もわかりますね。

Chiefとは別に,Billy Bibbitも回復傾向を見せてきました。彼の場合問題は精神ではなく,ある意味Chiefと同様,自信が持てない事なのですが,どうやらCandyに恋をしたようで,ここでかなり明るくなりましたね。Candyという女の子も,これだけ病院の患者に強い偏見を持つ人の多い中,純粋に接してくれる,大変いい子ですね。

いつも知性たっぷりの発言をするHardingもカッコいいですねぇ。(笑)「狂気はパワーを持つ」ですか。彼は奥さんはマッチョな男にしか興味がないと思っているようですが,実は彼のそんな知性を奥さんも好きなのではないでしょうか?(笑) ‥でなければ,入院した途端に逃げていますよねぇ。

ところで,魚釣りのシーンのボキャブラリが大変豊かで表現が臨場感に富んでいます。さては,Ken Keseyさん,お好きだったんですね。(笑) そしてGeorgeのすごいキャリアにお口ぽっか~ん(爆),でした。


One Flew over the Cuckoo's Nest (238-245)

2006-03-22 00:35:03 | BookClub
ドクターが魚を釣ったが誰の助けも借りずに引き上げようとしている。皆服が赤と銀のまだらになっていた。何人かは船の脇で洗おうと試みる。Georgeはドクターに天気が荒れてきたので、魚を放すか降ろすかしてくれと言うがドクターは返事をしないで竿を持ち上げリールを巻き上げる。(これじゃあ、どっちが精神病院の先生で患者だか・・・(笑)) ドクターの糸に掛かったのは、大きなひらめだ。

ボートは帰途に就く。波が荒くて救命胴衣を着ける事にしたが,3人分足りない。BillyとHardingとGeorgeが,救命胴衣なしでいいと言った。皆Billyが申し出た事に驚くが(彼はCandyを守る為にそうした),それよりMcMurphyがヒーローに名乗り出なかった事に驚く。

Georgeは鮮やかな腕前で船を港に入れる。港に入ると,船長と釣りえさ屋のろくでなしと警官が待っていた。まずはドクターが交渉に出て,彼らには自分達に対する権限はないと主張する。自分達は公的に認められて外出している,それに救命胴衣が人数分なかった事は問題になるのではないかと迫る。これには警官達も大迷惑。彼らが去った後McMurphyは船長と言い合いをしていたが,彼は酔っていた。

釣りえさ屋のろくでなし達はまたCandyをからかうかと思いきや,獲物の大きい事や,Georgeの腕前を誉め,どこで覚えたんだと訊く。実はGeorgeはただの釣り船の船長ではなく,元海軍の哨戒用魚雷艇(PT boat)の艦長だった。その上海軍十字章(Navy Cross)まで受けていた。でも公的なお仕事は「汚ねぇ」と言ってやらなかったとか。ろくでなし達の態度は朝とは豹変,尊敬の態度に変わっていた。そしてMcMurphyと船長が出てくると,皆で一緒にビールを飲んで楽しんだ。

すっかり打ち解けたBillyと女の子,できればデートの約束をしたいという彼にMcMurphyは,「土曜の夜中2時,俺が夜の見回りにお前を忍び込ませてやる。」彼女はクスクス笑う。

病院に戻ったのはかなり遅くなってから。Acuteの1人はMcMurphyが疲れ切っていると指摘。しかしHardingが,それは彼が一生懸命働いたからと説明する。それを聞いていてChiefはちょっと不安になる。彼はMcMurphyの疲れた顔を既に見ていた。それはMcMurphyがかつて住んでいた所を通った時,そんな表情を見たのだ。

McMurphyは,ここが俺が無駄に過ごしたつつましい家だ,と言う。彼が住んでいたというのは,埃っぽい町の吹きさらしの,元日本人が住んでいたボロ家だった。彼は枝にかかった黄色と黒のボロを指して「あの服が見えるか? 俺が最初に寝た女が着ていたのと同じ服だ。俺は10才,彼女はもっと下だった。」

そんな話をするMcMurphyの顔は,対向車のテールランプに照らされ,とても暗く,疲れていた。あたかも,彼にはもう時間が残されてないかのように‥‥。しかしその一方,彼の温厚な声は我々には生きる力を与えてくれる。夢のような楽しい時間を過ごす事で。。


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