デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 



「サモトラケのニケ」(前190年頃、大理石、高さ:328cm)



写真で見ると小さく見えますが、かなり大きいです。人も多いです。

ルーヴル美術館(博物館)で最も有名な「存在」と聞けば、大抵の場合、即「モナ・リザ」と「ミロのヴィーナス」が挙げられると思う。
しかし、どんなにルーヴルにいる時間が短くとも「モナ・リザ」と「ミロのヴィーナス」に加えて、「サモトラケのニケ」だけは見ておいて損はないと思う。
この大きくてダイナミックな"勝利の女神"の像については、こちらやその他検索でたくさん出てくるので端折るが、ニケにまつわる現代的なおもしろいネタといえば、あのスポーツ用品メーカーNIKEの名の由来であることかもしれない。(映画「タイタニック」でニケの像のポーズを真似ているとか参考にしているとかいうネタもあるが、私にとっては不確かな情報だ)
さて、この像は現在、頭部も左右の腕も無い状態である。しかし、右腕は過去に発見されているとのことだ。ただ驚くべきは、薬指の先端と右手の甲がギリシアのサモトラケ島で、同じ手の親指と薬指の下半分がなんとウィーンの美術史美術館の資料室で発見されたことだ(1950年)。
像自体が1863年に発見され、118もの断片に分かれていたのを、現在の状態に復元しただけでもすごいのに、右手がどうなっていたかを突き止めるとは…恐るべし考古学!
ちなみにその右手の発見から、女神が右手に金属製の勝利のリボン(タイニア)を持っていたと分かったそうだ。


カメラのモードを変えて撮。



像はとても官能的で躍動的だった。

台座が船首であるから、像は全身に当たっている風までも表現している。というか、この像を近くでマジマジと見つめて、私などは、彫像や絵画でもって、風の自然な表現として完成の域に達している作品は、「サモトラケのニケ」とモネのいくつかの作品ぐらいしかないのでは、とさえ思った。
他いろんな事を想像した。もし、左肩の方に傾いていたとされる頭部、上方に向いていたとされる右腕、下方に向いていたとされる左腕が現在も残っていたなら、どんなふうな姿になっていたのだろうかと。
でも、ニケの像は古代への想像力をたくましくさせてくれる、見慣れたこの姿だからこそ、より心に残るものだと思う。またこの古代の傑作が、感動と新たなインスピレーションを現代人に与えつづけているのは間違いないだろう。それだけで充分ではないか。

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