内田樹編『街場の日韓論』 ★★★★★
…両国とも自国の近現代史については自国民優越主義的かつ自国民にとって都合の悪いことは省みることなく同じことを声高に主張する現状の問題の根本原因がよく分かる本だった。
D・デフォー『
ペストの記憶』 ★★★★★
安正孝『
ホワイト・バッジ』 ★★★★★
内田樹『映画の構造分析-ハリウッド映画で学べる現代思想』 ★★★☆☆
…読み始めるとその内容にはまり込んで一気に読めた。著書のなかで出てくる映画から現代思想の要素取り出してくるのはおもしろいが、中には周囲に映画と著書の内容の関連性を声高に語ると、結果的に語っている自分の映画に対する直感とそれを説明する哲学用語との間の違和感だけが残ってしまうものもあるように思う。
馬部隆弘『
椿井文書―日本最大級の偽文書』 ★★★★★
養老孟司『無思想の発見』 ★★★★★
…まぁ確かに日本のいい意味での強さは一つの思想に固執しない思想に固執しているところかも。
マルクス・ガブリエル『「私」は脳ではない-21世紀のための精神の哲学』 ★★★★★
…人間の自由と尊厳は絶対侵すことはできないことを主張するのに相当苦労していると感じた。これを書いている現在、養老孟司の『唯脳論』を読んでいるが、M・ガブリエルは『唯脳論』を読んでいたらもうちょっとラクにこの本を書けたかもと思ってしまう。
アガサ・クリスティー『アクロイド殺し』 ★★★★★
…展開も結末も知ってはいたが、実際に読んでみるとまた格別な驚きがあった。ものの二日で一気に読めた。
佐藤信編『古代史講義-邪馬台国から平安時代まで』 ★★★★★
佐藤信編『古代史講義(戦乱篇)』 ★★★★★
佐藤信編『古代史講義(宮都篇)』 ★★★★★
…学校で習った古代史ってほんの一部で、何も覚えていないのに等しいことを痛感させられる。それにいわゆる従来の定説というものが発掘の技術の進歩のおかげで、日本史の重大事件の新たなる解釈がなされようとしていることにも触れているので、凝り固まった頭の中をアップデートするには最適だった。コロナ禍で国内の古代遺跡を巡ることが増えてきていることもあり、行きたい場所のきっかけづくりにもさせてもらっている。
水野俊平『韓国の歴史』 ★★★★★
…『街場の日韓論』を読んでから、そういえば古代の朝鮮の歴史って全く知らないことを自覚して手に取った。島国でなく大陸にあって強国と対峙しつづけて国の運営してきたことによって培われた感覚的なものが少しは分かったかもしれない。
マルクス・ガブリエル他『
未来への大分岐』 ★★★★★
レイ・ブラッドベリ『
華氏451度』 ★★★★★
五木寛之『
さらばモスクワ愚連隊』 ★★★★★
五木寛之『蒼ざめた馬を見よ』 ★★★★★
司馬遼太郎『
坂の上の雲』 ★★☆☆☆
五木寛之『青年は荒野をめざす』 ★★★★★
三島由紀夫『
金閣寺』 ★★★★★
С・アレクシエーヴィチ『
戦争は女の顔をしていない』 ★★★★★
ヘミングウェイ『移動祝祭日』 ★★★★★
…
こちらの番組で興味を覚えた回想録。どの章もとても楽しく読めるが、特に「スコット・フィッツジェラルド」の章がおもしろかった。そのおかげで『グレート・ギャツビー』をもう一度読もうと決めた。
S・フィッツジェラルド『
グレート・ギャツビー』 ★★★★★
R・ホワイティング『メジャーリーグ とても信じられない話』 ★★★★★
…10年以上も前の時点での本なのでメジャーリーグのデータ内容は最新のものとはいえないが、アメリカのベースボールの歴史、東部のチームが西部に移っていく過程や、一度は耳にしたことのあるメジャーリーガーの日本ではほとんど知ることのできない豪快にえげつないエピソード、吝嗇な球団運営が生んだ八百長試合の闇、ベースボールと政治がどう絡んでいるか、など興味深い内容が目白押しだった。
ヘミングウェイ『ヘミングウェイ全短編1』 ★★★★★
…この作品も
こちらの番組で興味を覚えた。ヘミングウェイのパリ時代の概要を知ってからだと、より味わい深く読める作品ばかりだ。『敗れざる者』が一番心に突き刺さった。
仲尾宏『朝鮮通信使をよみなおす』 ★★★★★
…コロナ禍での国内旅行先で偶然「朝鮮街道」に出くわし、歴史の教科書の補足程度のつもりで読んだら、豊臣秀吉による朝鮮出兵とその撤退、その戦後処理のため、朝鮮王朝が徳川家康の出方を探ったり、対馬藩の経済復旧のために神経をすり減らして両国の間を奔走した人々や、家光の時代以降に幕府の官僚だけでなく民間の人々が朝鮮通信使の人々とさまざまなやりとりがあったことが分かり、とても驚いた。日本国内にはいくつかの朝鮮通信使ゆかりの場所があるが、いずれ遠い九州や美濃路のゆかりの場所にも足を運びたくなった。
越年読書は、ニーチェ『ツァラトゥストラ』、大江健三郎『燃えあがる緑の木』、佐藤信編『古代史講義(氏族篇)』、ほか。『燃えあがる緑の木』はいつになったら読み進められるのだろうか…。
来年も良い本と出会えますように。