1月1日(月)、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。午後に、眉山のふもとの寺町に初詣に出かけました。最初に行こうと思っていた天神社があまりに混雑して、時間がかかりそうだったので、少し足を延ばして春日神社に行きました。春日神社は元は奈良時代の藤原氏の氏神だったのが、平安時代に藤原氏が栄えて全国各地に広がり、勧請されて1000社ほどに増えました。これらの春日神社の総本社が、奈良の春日大社です。ちなみに姓に藤の字の付く方の多くは藤原氏の系統を引くので、一度は参拝された方が良いと思います。
江戸時代の徳島では、この神社は隣にあった持明院や少し上にある八坂神社と共に、ほとんどの庶民が参詣する場所で、今でいう公園的な存在でした。ですから、頌徳碑や慰霊碑がこの裏山に20基ほど建てられていて、書碑の宝庫となっています。以前、学生の卒業論文で扱って何度も調査に訪れました。巌谷一六書の「阿波しじら碑」もここにあります。今も、年に何度かは訪れる場所です。
ここは、毎年、干支をテーマにした巨大な絵馬を飾っていることで有名です。二人の女性芸術家の合作です。今年は戌年ですので、かわいい犬の絵がありました。小さな亀と話をしているようです。面白そうな物語が感じられます。優れた芸術作品には「物語性」が必要だと、以前学んだことがあります。
ここで今年の破魔矢を買いました。若い巫女さんが破魔矢を渡す時に「良いお参りでございました」と言葉を添えてくれたのは、とても上品で爽やかな感じがしました。日本神道には「言霊」(ことだま)の思想がありますが、たった一言の良い言葉をもらうことで気持ちが全く変わるのは本当に不思議です。この言葉も、神道の礼法で決められていることなのでしょうが、自分も普段から、良い言葉を使わなければいけないと思いました。
お参りをした後に、隣にある「滝の焼餅 和田乃屋」でぜんざいと抹茶を頂いて休みました。この時期は、庭にモラエスが徳島に持ってきた美しい花が咲いているので有名です。冬に咲く花が少ない中で、ここは徳島でこれが最も群生している場所です。初詣客で奥の部屋は満席でしたが、カウンター席が空いていて座ることができ、美しい庭の景色を眺めることができました。
「黄花亜麻」です。詳しくは下記をクリックしてみて下さい。インド北部から中国の奥地にかけての原産で、中国では「雲南月光花」とか「迎春柳」と呼ばれる人気のある花です。日陰で水分の多めの場所を好むようで、北向きで滝のある和田乃屋のような場所が最も適しているようです。徳島にも様々な場所に移植されたようですが、条件が合わずになかなか根付かないとお聞きしています。
モラエスはポルトガルの領事で、一時期はマカオに住み、神戸に移り、後半生を文筆家として徳島で過ごしました。この花はおそらくマカオに住んでいた時に気に入って、日本に来る時に持ってきて、神戸を経て徳島に移植されたものでしょう。
マカオはもと、ポルトガルの植民地で、現在は「東洋のラスベガス」として有名です。幕末に阿波の初太郎がメキシコから日本に帰る途中に、マカオにしばらく滞在しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AB%E3%82%AA
以前もご紹介しましたが、「亜墨漂流新話」に興味のある方は、下記のサイトから入ってPDFでご覧ください。マカオに関する記事は最終巻の「人」の巻の後半部にあります。
外国原産の花がそこに咲いているのにも、人の歴史が深く関係しています。
今年も良い年でありますように。