10月16日(土)、例年開かれている標記の彫刻展が10月3日(日)から開かれています。伺いました。
まずは、井下俊作先生の作品を見せていただきました。
先生の作品はいつも「A MESSAGE TO THE EARTH」という題で、毎年のように素材や形態を変えています。今年は、徳島城公園の最も大きなクスの木の根元を、流木で楕円形に囲んで卵を表現した作品でした。
木の根元には、公園の落ち葉を大量に集めています。公園整備の方の協力を得たそうです。細めの流木で枠組みをした内部には、太めの流木の部材を入れたり、庭の照明に使うLEDライトなども入れています。太陽電池がついているので、夜は自動的に光るそうです。夜の写真も飾られていました。
この卵を突き破って生えているのが、このクスの大木と見立ててほしいそうです。そうすると、今年の先生の作品は、この流木の枠組みとクスの木を合わせた巨大な造形ということになります。引きで全体像を撮影しました。こんなにスケールの大きな作品です。先生の発想には毎年のように驚かされます。庭園もよく「借景」という手法を取りますが、この作品もこれに近いものです。自然と人間の一体感を感じます。
この他の作品も、幾つか紹介しておきます。四国大学短期大学部の居上真人先生の作品。「静寂」です。赤い木の上には黒いフクロウがいます。白い台石の上にフクロウの足跡が彫られているのがかわいいです。
萬 知恵子さんの作品 「森の贈りものⅣ」ステンレスの机には上の枝や空の雲が映っていますので、これも借景の一種です。
周藤豊治さん「Restart」 2人の人物が芝生の上に背中合わせに座っているように見えます。鳥取の方です。
ヒロ忠之さん 「飛(休憩中)雲」 不思議な雲です。模様が面白い。
奈良の方です。
中川伸一さん 「あるでないで」 この方の作品はいつも池の上の犬をモチーフにされています。水面に映った映像も作品の一部でしょう。このタイトルは徳島弁で、「あるじゃないですか」の意味。
吉田正純さん 「Landscape trace」(或る日の痕跡~遺蔵~」 島根の方です。鉄さびの色が美しい。
三原敏文さん 「自在」 木彫の猫がリアルです。
いつもながら、楽しい作品が多いです。全部で33作品あります。野外彫刻展は、環境との調和をよく考えている作品が多いのが特徴です。書道の作品作りにも様々なアイデアをいただけます。
展示は11月12日(金)まであります。ぜひお出かけください。なお、公園内にある「徳島城博物館」では、「住吉派の興隆と阿波徳島の画人たち」という企画展を実施中で、江戸末期の徳島の画人の作品が大量に展示されています。良ければ彫刻展の後にご覧ください。詳細な図録も販売されています。公立博物館などの図録は、質が良いのに価格が安く、お買い得な資料です。