外の雨は、やみそうに、ない。
こうやっていると、バイクと落ち着いて過ごすのって、割と、楽しい。
蜜月は、続く。箱の中のタバコが残り少なくなってきたので、作業に戻る。
ワックス掛け。
お気に入りは、TVショッピングで有名な「オーリーゴールド」だ。
数年前、もらい物で、「オーリー」を使ってから、手放せなくなった。作業性と仕上がりともち具合のバランスが実にいい。
今、使用中のコレは、たまたま入ったドンキで@¥980だったので5本マトメ買いしたものだ。
シュアラスターも実にいいワックスだが、本当の意味でワックスなのでモたないのだ。いわゆるクリスタルコーティング系も何だか、好きになれない。
このオーリーゴールドはメッキにもきれいにノルので、ブラストやマット仕上げ以外の全てのパーツに使える。
ダイソーで買った4個入りのワックススポンジの新品をハサミで4等分して、そのうちのヒトツで作業を始める。
コレも洗車と同じ順序で塗り進めていく。
カウル、ライト周り~タンク~リアフェンダー~フロントフォーク周り~足元のメッキパーツ群~マフラー周り。
少し甘めの、ニオイに満足しながら、また、一服。
乾きかけの白い塗り後の付いている車体は、さながら「顔パック中」ってトコかな?
作業が妙に楽しいなと気付き、なぜだか、考えた。
ジャッキだ。
車体が直立しているので、左右の作業効率も等しいし、サイドスタンドだと、左側の作業性が極端に悪く、楽しくないのだ。なるほど。
あまり完全に乾くと、ふき取りにくくなるので作業再開。
1/3のハギレ新品を使用して、拭き上げていく。今回はホイールにも作業したので、最後の部分はホイールだ。ジャッキによって浮かされているので、作業はすこぶる効率的だ。
仕上がった部分は、しっとり手に吸い付きながらすべるようなタッチになっている。
「もう7時まわっているわよ。夕食はどうする?」
「ん。あと、ちょっと。」
ロスタイムに入ったようだ。
樹脂パーツに保護剤を塗りこもうと思っていたが、また、今度。
最後のタバコに火をつけ、くわえタバコのまま、片付ける。
半分の長さを残して片づけが終わったので、残りをくゆらしながらUCCの残りをのどに流し込む。
すこし、不満だが、まぁ、仕方ない。ロケⅢを改めて俯瞰する。
化粧された車体は、何だか、誇らしげだ。
再び、エンジンに火を入れてもらうのを、無言ながら求めてくる。
この機体が、自分自身に向き合うためのフィールドに誘い出してくれるのだ。
「まだぁ?」
「ん。今、行くよ。」
ホイッスルに呼ばれ、タバコを灰皿にモミ消し、消灯して、ガレージのシャッターを下ろす。
雨はやんでいた。
延々、7時間以上に及ぶ、洗車は終了。
オレ、洗車、キライなんだけど。
んでも、好きな人、なのかも。